アチラのお医者さんとなぞの玉3の11
あんまりのやかましさに、おもわず耳ふさいじゃったよ。
それに対して、カラス女は
「コキャアッ!!!」
負けず劣らずのけたたましい一鳴きをひびかせると、すべらかに祭壇から滑空してカッコウにおそいかかる。
太っちょのオジサン鳥は俊敏に天井に飛び上がり器用に反転、するどい突きをみせる。
カラスはそれをさらによけ、すきあらばと回旋する。
空中決戦だ!
そのすきに、ムサシがぼくにむかって
「少年、その玉をもってこっちへ来い!」
言うもんだから、ぼくは祭壇に足をかけて玉を取ろうとする。
(こんなことして、だいじょうぶ?バチ当たらない?ぼくは言われてやってるだけだからね。マリアさまがほほえんで見下ろしてるから、だいじょうぶだよね)
銀の玉……たまごに手をかけようとすると
「させるか!」
クロハさんが目の色変えて、ぼくにおそいかかってくる。
「ひぃっ!――わっ!」
こわくて手がはなれちゃった。下でムサシがカバーしてくれなかったら、床に体を打ちつけてたとこだよ。
それにしてもいやだな、知り合いにおそわれるのって!
のんのん先生は
「――いいです!もうそのたまごはほっときなさい!逃げますよ!」
言うもんだから、ぼくらはそそくさとはなれたよ。
先生とムサシ(そしてジェームス)にかくまわれるようにして、ぼくは教会から逃げだした。
ふりかえると、うすぐらいなか、ずれた十字架の下でクロハさんがたまごを抱きかかえながらこっちをにらんでいる。
その敵意のこもった眼は、ただただおそろしいアチラモノのそれだった。




