アチラのお医者さんとなぞの玉3の10
「……へへっ、カラスのねえさん。すいませんね。なにせオレものんのん先生には借りがあるもんで、さからえないんすよ」
おじさんは、その青黒いつばさで頭をかいた。
「かむので、あなたに匹敵する鳥類といえばこのカムノカッコウぐらいですからね。ムサシくんを空に抱えとんで、においをたどってもらったんですよ」
ハナキキ・カンパニーの優秀な若社長は
「さすがの私も上空のにおいをたどるだなんて初めてです。たまたま雨もふらず風が弱かったからなんとかなったが、こんな追跡、ほんとうなら出来っこないですよ」
苦笑いだ。
先生は
「ジェームスくんががんばって、できるかぎり追いかけてくれてたから、よかったんです。においでたどる分が少なくすみました」
なんだか、トカゲが空中で胸をはってるように見える。
――ああ、ジェームス!やっぱりきみは最高のトカゲだよ!
「……それよりもクロハさん。ふざけてないでおとなしくホウイチくん、そしてそのたまごを返してください」
先生のことばに、カラス女は目の色を変えて
「なにふざけたこと言ってるんだ!あたしが自分のこどもをわたすはずがないだろう!」
そのはげしい口調に、のんのん先生はとまどったような悲しい顔をした。
「……本気で言ってるんですか?」
「本気に決まってるだろう!」
なじみのカラス女のとりつく島もなさに、先生は
「……では、しかたないですね。――カッコウ、おねがいします」
うしろにひかえる中年男性ふうのものに声をかけた。
カッコウはいやそうに
「……ほんとにしなきゃいけないものかね?先生」
「ええ。あのカラス女性とやりあえるのは、あなただけです」
「しかたないねぇ……黒いのとやりあうのは、気が重いんだけどねぇ」
そう言うと、おじさん鳥はその青く大きな翼を広げて、胸をはると
「――クワッコウ、クワッコウ!!キョ!キョ!キョ!キョ!!」
おそろしくけたたましい鳴き声をひびかせ、カラスを威圧した。




