アチラのお医者さんとなぞの玉3の8
「なんで、さっきのんのん先生から逃げたりしたの?先生に相談したらいいじゃない」
ぼくのことばに、クロハさんは(すごく鳥っぽい感じに)首をかしげて
「そりゃ、たしかに先生は良い方よ。あたしがこの子を生んで体の調子をくずしたときにも、熱心に治してくださった。でも、先生はこの子がつれさられるのを守ってはくれなかった。それどころか、この子をあたしから引きはなそうとする。
だから、あたし今度は先生には、たよらないの」
なんだよ?ぜんぜん話がわからない!
「先生があたしの邪魔をするのなら、ゆるさない」
目がこわい。あんなに親しそうにしてたのに。
「なんで、ぼくをつれてきたの?」
「……さあ、なんでかしらね。ついつい昔を思い出したのかしら。ひなが孵ると栄養をつけさせなきゃいけないから、あなたぐらいのこどもをよくさらってたのよ」
それって……やっぱし、ぼくが栄養になるってこと?
……やだなぁ。初めて会ったアチラモノにならまだしも、親しく思ったモノに、ごはんとして見られるのはつらいよ。
「のんのん先生と約束して以来、もう何年もコチラモノの子は取ってない。正直、もう必要ないと思っていたしね。でも、ひなが生まれたらそうはいかないわ。赤ちゃんに栄養をあげないといけないもの。そんなとき、あなたみたいなサカイモノのコドモは一番いい。栄養がたっぷりだもの。
――そうね、あたしがよくかんでやわらかくしたごはんを口移しであげるの。ひなったら、ピーチクパーチク言いながら必死についばんでね……そりゃ、なんともいえずかわいらしいものよ」
うっとりと語ったクロハさんは、ぼくをじいっと見つめる。
その視線は、ふだん気さくにおしゃべりしてるときとまるでちがって、エモノを狙う捕食者のそれだった。




