アチラのお医者さんとなぞの玉3の7
「あの銀の玉……たまごは、あなたが生んだの?」
ぼくのいぶかしげな声に、クロハさんは表情けわしく
「もちろんそうに決まってるだろう!……そして、あの子はもうすぐ立派に孵るんだ!」
そうさけぶとカラス女は祭壇に飛びあがり、大事そうにその羽で銀のたまごをつつみくるんだ。
その顔は、ふだん見せないやわらかさだった。
前に、ヤンチャで有名だった親戚のおねえさんが赤ちゃんを産んで抱いてるとき、見たことのないやさしい表情をしてたのを思い出した。
「おかあさんらしい顔になったねぇ」
って、うちのお母さんが言ってたのとおんなじだ。
「……あたしは、このたまごをずっと探してたんだ」
そう言って、くるむクロハさんに
「『あなた』のたまごを、リトル・グリーンが持ってたの?」
たずねると
「そうさ。にくったらしいあのよそものどもが、あたしのたまごをうばったんだ」
「……そうなの?」
ぼくはとりあえず、そう言ったけど――でもさ、よく考えたらそれっておかしくない?
あの銀のたまごがもともとクロハさんのものだとしたら、リトル・グリーンはのんのん先生に玉探しをたのんだりせず、まず第一にクロハさんのところに行くんじゃないかな?
でも、そんなことあのみどりいろしたものたちはなにも言わなかった。
それにクロハさんが大事なたまごを生んだのに失っていたとしたなら、それをのんのん先生が知らなかった、ってはずがないと思うんだ。
ふつうに考えたら、クロハさんはまず先生に相談するだろうし、もしなにか事情があって言えなかったとしても、のんのん先生ならなにかしらカラス女の異常を察知するだろう。
なのに、先生がさっきまでなにもピンとこなかったっていうのは不自然すぎる。
――やっぱり、なんかヘンだよ、このはなし。
そもそも、どうもさっきからクロハさんの目がヤバい気がするんだよね。
「いったい、これからどうするの?」
ぼくがさらに問うと
「どうするって、そりゃこの子が孵化するまであたためるわ。それが母鳥のつとめですもの。あたしにはわかるの。この子、もうすぐ孵るわよ」
たしかに、なんだか脈を打つようにたまごが光ってる。
でも、それっていいことなのかな?まずい予感しかしない。




