アチラのお医者さんとなぞの玉3の5
「大事……ほお、そうですか?」
先生の問いにクロハさんは
「そりゃ大事ですわ。あんなのに大事な『たまご』を取られたらたいへんです」
「たまご?」
ぼくは思わずたずねた。
「ええ、ですからあなた方が探している銀色のたまご……」
のんのん先生は
「――なんで、あなたはあの銀の玉がたまごだと思ったのですか?」
「そりゃ、先生があたしにそうおっしゃったから……」
クロハさんのことばに、しかし先生はきっぱりと
「いいえ。わたしはあなたにそんなこと言っていません。銀色の球状のものとしか伝えてないはずです。たしかに、わたしたちが求めている銀色のものは『たまご』でしょう。さきほどリトル・グレイが『世界』だと言ったので、わたしたちにもそのことがわかりました」
そんなの、ぼくにはわかりやしなかった。
銀の玉が『世界』で『たまご』ってなに?なんかのなぞなぞ?
ぼくが知ってる「世界」っていったら、散髪屋さんで読んだマンガにのってた「星の白金」とケンカしたやつぐらいしかないよ。
のんのん先生はきびしい表情で
「しかし、そのことをわたしたちが知ったのは今さっきです。どうして、あなたはわかったんです?」
「――」
だまりこくったカラス女の顔を、先生はじっと見ていたが
「……そうですか。おかしいと思ってたら、そういうことだったんですね。あなた、自分が何をやっているかわかっているんですか?」
問い詰めのことばに、クロハさんが見せた表情は……
ヒトではないアチラモノのそれだった。
「コカァ――――ッ!!」
なにも答えず一鳴きすると、黒い翼を大きく広げて……えっ、なんで?
ぼくを爪でひっつかんで、ふたたび空へと飛びあがる。
「あっ、こら!ホウイチくんをどうする気です!?」
ぼくは手足をジタバタさせるけど、どうにもならない。
「先生!ジェームス!」
ジェームスがぼくを必死になって追いかけようとしてくれるけど、さすがにトカゲとカラスじゃ、飛び上がる空の高さや速さがぜんぜんちがった。
あっという間にはなされて、追いかけてくれるハネツキギンイロトカゲは見えなくなった。




