アチラのお医者さんとなぞの玉2の14
子ザルはびっくりして
「い、痛いよ、おじさん。なにするんだい?」
そんな子ザルにガンジロウは、その重たい口を開いた。
「うるせえ、ガキ!ピーチクパーチク耳そばで騒ぎやがって。てめえみたいなクソガキをひろったせいで、とんだやっかいごとにまきこまれちまった。くだらねえ!
今まで辛抱してきたが、これ以上てめえみたいなうるさいガキンチョにつきまとわられるのは我慢ならねえ。おまえとはこれぎりだ!」
……わあ、ガンジロウでもあんなにしゃべるんだ。
「そ、そんなおじさん。じょうだんだろう?」
そう言って駆けよる子ザルを
「うるせえ!」
なんと今度は蹴飛ばした。
「ぎゃん!」
シチノスケは痛みに起き上がることもできない。
「そんなぁ……おじさん、ひどいよぉ。こんなふうにオイラを蹴るなんて、あいつらといっしょじゃないかぁ」
子ザルはしくしくと泣き出した。
「――知るか」
そう吐きすてると、ガンジロウは子ザルに背を向けた。
「先生……」
ぼくが声をかけると、アチラのお医者さんは
「――しかたないでしょうね。あれが一番良い形だと、ガンジロウは判断したんです。
イワザルは本来群れで生きていくアチラモノです。ガンジロウのように、群れを外れたハグレとして生き続けられる個体なんて、ほんとうに特殊例なんですよ。とてもじゃないですが、ガンジロウとの生活にあの弱い子ザルではついていけません。だから、ああやって預け置いていくんですよ」
たしかに見ていると、うずくまって泣いているシチノスケに、グラサン・グループのサルが一頭かけよりなぐさめている。
昨日、シチノスケにかまっていたメスザルだ。
「昨日言ったとおり、メスのイワザルは子ザルをかわいがるものなんです。ただ彼女としては、ボスのグラサンが決めたことにはさからえなかったんですよ。今後は、ちゃんと世話を見るでしょう」
メスザルはシチノスケをだっこした。子ザルもその胸に顔をうずめている。
「今回の失態でグラサン、そしてスカーフともに群れのボスの地位を追われるはずです。あの二つのイワザルの群れにとって大きな変わり目です。さすがに、もうシチノスケに手を出そうなどというものはいないでしょう。……ガンジロウもさいごにいいことしましたね」
「さいご?」




