アチラのお医者さんとなぞの玉2の12
子ザルを背負ったまままっしぐらにスカーフのもとに駆ける(速い!)と、そのまま腕をふるって、ボスザルの鼻っ柱にパンチをくらわしふきとばす。
「ふうむ。猿臂をのばす、と言うだけあって、ほんとうによく腕がのびますね。……それに、彼はケンカ慣れしてますよね。なんといっても、ひとりで多数とたたかう場合、まずそのヘッドをつぶすのが鉄則ですから」
と先生が教えてくれたけど、そんなケンカのコツをぼくみたいな弱虫が知っても、将来1ミリも役に立たないな。(坂上さんは静かにうなずいて、かみしめるようにしてた)
機先を制したガンジロウは、その後もスカーフ・グループのサルたちを取っては殴り、取っては投げ……をくりかえす。しかも、背中の子ザルには指も触れさせず完全に守り切っている。
「――ちょっと、強すぎるんじゃない?あのサル。ほかの個体とレベルがぜんぜんちがうよ」
一流の武芸者である坂上さんのつぶやきに、のんのん先生は
「……あのサルは、特殊なんですよ」
まるで、こうなることがわかっていたかのようにつぶやく。
鼻をつぶされ血をだらだら垂らすスカーフがあわてて、群れに檄を飛ばす。
「ちきしょう!こうなったら集まるぞ!サルダンゴだ!」
ボスのことばに、スカーフを巻いたサルたちは一か所にウゴウゴと集った。
冬のテレビ・ニュースでサルたちが、おしくらまんじゅうみたいに集まって寒さをしのぐのは見たことある。
でも、今そんなことしてなにになるんだろう?
パニックになっておかしくなったのかなと思ったけど、見ているとそのサルたちの動きはなにか統一が取れていて、まるで一つの大きな生きものになったかのよう……
そう、まるっきり一頭の巨大なイワザルだ!
「前に、ムラガリチスイコウモリが集まって一つの個体のようにふるまってたのを見たでしょう?あれと同じですよ。群れでかたまって、一つの存在となるんです」
そんな!合体ロボットじゃないんだから、そんなのアリ?3メートルぐらいの背丈があるよ!
何十匹がかたまったサルダンゴの馬力はすごくて、その大きな手をふるうだけでガンジロウははたきとばされた。
あんなでっかいのに、一匹のサルが勝てるはずがないよ!




