アチラのお医者さんとなぞの玉2の11
「な、なにしやがる、スカーフ!?」
グラサンのことばに、しかし赤い布を巻いた大ザルはキキキとわらうと
「バカだなあ、グラサン。なんで、このおれさまが自ら群れ全員をひきいてこんなところにまで下りてきたと思う?
たかがこんな子ザル一匹引きとるだけなら、せいぜい使いを出して終いだぜ。そりゃウチの狙いの本筋は、この子ザルにかこつけておめえらのなわばりをうばう、それに決まってるじゃねえか」
「そ、そんな。そりゃ約束がちがう!」
「約束なんてそんなもの、オレらエテ公が守るわけねぇだろ?現におまえだって古いダチザルをうらぎってるじゃねえか。そんなこともわからねぇマヌケ野郎にひきいられている群れはかわいそうなもんだな」
「くっ……この畜生が」
おサル同士の急な展開に、ぼくらもびっくりだ。先生は
「ふうむ……おそろしいぐらいテンプレな展開ですねえ」
と、つぶやいた。
「テンプレ」って、決まりきった型どおりって意味らしいけど、ほんとそのとおり、映画とかでもイヤんなっちゃうぐらいよくある、裏切りモノがさらに裏切られるパターンだ!
「負けザルがキーキー吠えてもやかましいだけだ。そこのガキザルもろとも、このままくびり落としてやる!」
たくましいスカーフの腕によって、グラサンの首がしめつけられる。
「――うっ!」
同じく子分ザルの手がシチノスケの首にもかかり、危ないと思った瞬間
「キ――ッ!」
子ザルはシッポのとこにはさんでいたちっちゃな袋を、自分をつかむサルの顔に投げつけた!
あれは!かむの鋼の粉くずだ!
「痛っ(つうっ)!なにしやがるこのガキ!」
昨日のんのん先生が言ってたとおり、かむの鋼のくずは丈夫なイワザルにとっても目に入ると痛いらしい。力がぬけてくびりがゆるんだすきに、シチノスケはころがり逃げて
「――おじさん!」
ガンジロウの背中につかまった。
「て、へーんだ!せっかく置いといたおやつだけど、くれてやったぜ!ありがたくおもいやがれ、このサビがまわったこわれおもちゃ野郎!」
まさか、きのうあげた粉くずを目つぶしにつかうだなんて……見ると、のんのん先生はお得意の遠くを見る目で
「……わたしは純粋に食べ物としてあげましたからね。無関係です」
なんて、すっとぼけてる。
「ちいっ!こうなったら、その老いぼれザルごとぶちのめすぞ!やっち……」
グラサンをくびり落としおえ、味方に指示を飛ばそうとするスカーフだったが、その前に白猿は動いていた。




