アチラのお医者さんとなぞの玉1の4
「――それでなんです?そのスリとったものを返したんですか?」
先生のことばに、ヒカゲモノは心外そうに
「これは先生のことばとも思えねぇ。おいら、物欲はそんなにない方だってことは先生も知ってるだろ?いっぺんスリとったもんには、おいらは執着しないよ。そんなもの……スリとったあとすぐに、ドブにポイしてやったさ」
なんだかエラそうに言う。
「……」
のんのん先生は、頭が痛そうに眉間のつぼをペンでおした。
「コイツガ、ヌスンダノハ、大事ナ宝。ナントシテモ、見ツケ出ス」
「はぁ」
先生のとぼけた声に、みどりは四つの目をよせて
「『ハァ』ジャナイ。オマエガ、探シ出セ」
「へっ?……なんでわたしが?」
先生のおどろきとぼけ声に、みどりはさらに目をよせて
「オマエガ、コイツノ医者。患者ノ不始末ハ、医者ガ見ル。アタリマエ!」
「そんなルール、聞いたことないですけど……」
のらない先生の態度に、みどりはおこったらしい。
「オマエガ、探サナイナラ、仕方ナイ。コイツ、コラシメル。強イ光ヲ、浴ビセル!」
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「ヒョエ――ッ!そんなことされたら、おいらおっ死んでしまうよ。たすけて先生!」
かごの中の影はあわててふるえる。
先生も
「ちょ、ちょっと。そんな野蛮なことしちゃだめですよ。文明あるもののすることじゃありません」
なんとか説得をこころみるが、みどりたちはかたくなに言うことを変えない。
「トニカク早ク、オマエガ宝ヲ探シダセ。サモナイト、コイツ消ス」
「……そんな、むちゃくちゃですよ」
とかなんとかぼやきながら、結局、先生はなくなった宝とやらを探すはめになった。
のんのん先生に患者を見捨てるなんてことは、できやしないのだ。
「――先生、あのみどりみどりしたものたちは、いったいなんなんですか?」
ぼくとジェームスは、のんのん先生について道を歩いている。
「ああ、リトル・グリーンねぇ。あなたは会うのは初めてでしたか……」
あの緑色……先生がリトル・グリーンと呼んでいるものたちには、本当は正しい名称があるらしい。
「ただ、それはわたしたちには発音することも表記することもむずかしいんです。なにせ、彼らはかむののアチラモノのなかでも特殊でねえ。もともと『この』世界のものではないんです」
どういうこと?




