アチラのお医者さんとなぞの玉1の2
「彼はもともと自由気ままを愛するものですからね。一か所に長くとどまるのはきらいなほうです。それに一口に縁があると言っても、いろいろなかたちがあります。毎日顔を合わせてあきない縁もあれば、百年に一回顔をあわせたらじゅうぶんという縁もあります。どちらが上とか下というものではありません。ともに値打ちのある関係性です」
ふうん。じゃあ、ぼくとジェームスなんかは毎日いっしょにいていい縁なんだな。
のんのん先生やヨシノさんとは、数日にいっぺん会えばいい縁ってことか。
「フフッ、そうですね。そうかもしれません」
先生とヨシノさんはわらってる。
べつに、ぼくは毎日でもいいんだけど。(決して、おかし目当てじゃないぞ)
ぼくがほかのものと親しくすると機嫌をそこねがちのジェームスが、ダットに対しては余裕のある態度をとってたのも、もしかしたらこうなることを見こしていたからなのかな?
あのウサギが長居しないってわかっていたから……って、まさかそこまで二匹が話をつめてたとかないよね。
とにかく、もうハンターのことで心配をする必要はなさそうだ。
ひとくさり話をすると、のんのん先生は時計を見て
「――ああ。そういえば、もうそろそろ予約していた患者さんが来るはずなんですけど、来ませんね。治療の経過を見ないといけないんですけど……」
そのことばに
「ぼくは、じゃましたらいけないから出ていきます」
「そうですね。ケガした傷を縫った後始末……抜糸ですから、あまり見ていてよいものではないでしょう」
ううぅ、傷を縫うなんておそろしい。パイを食べおえたらすぐ出て行こう。
そう思ってリンゴをフォークで突き刺すと
どたどた、と受付の方で音がした。
ヨシノさんがさけんでる。
「ちょっと!あなたがた、かってに入ったりしないで!」
そのことばを無視して診察室に入ってきたのは
……緑色の肌を持つ、ちいさなものたちだった。
そう言うと、まるでファンタジーに出てくるわるいゴブリン(ジャックとかとはちがうよ)みたいだけど、そうじゃない。
このものたちには、変わった形の目がいくつもついていた。
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