アチラのお医者さんとハンター27
先生は
「しかも今回、ベティーはわざわざ髪を金色に染めてましたね。本来、彼女はメアリーとおなじく栗色の髪ですよ」
ぼくに近づくため、すがたまでのんのん先生に似せようとしてたんだ。
「単純な考えです。どうせ変装するなら、もうちょっと工夫したらいいのにね」
先生は不思議そうにわらってたけど、ベティーさんがのんのん先生のまねをしてたのは、おそらく、なんだかんだ言っても彼女が先生のファンだったからなんじゃないかな、とぼくは思った。
メガネかけてた時とかかなり似てたし、ちょっとしたコスプレみたいだった。
五行の精の件でケンカ別れみたいになったらしいけど、たぶん、あのハンターはのんのん先生とまた仲良くしたかったんだ。
それとあわせて
「……ぼく気になってたんですけど、ハンター・ベティーとかメアリーって、ちょっと坂上さんに似てませんか?」
髪の毛の色とか顔だちも、なんとなく似てる気がするんだよなぁ。
先生はうなづいて
「――それについては、わたしも考えました。
おなじサカイモノですし……もしかすると、あのハンターたちと坂上さんは近い血縁なのかもしれません。
ただ、そこからあのおじょうさんのもとの生まれを探ることはむずかしいでしょう。
なにせ彼女たち狩道会は、サカイモノのあかんぼうを見つけては保護して育てますが、その際にもともとの出生データは完全に抹消してますから。
世の中と完全に切りはなして育てるんです」
すごいな、それ。だからあんな……ちょっとかわった人が育つのかな?
「あのおじょうさんにこの話は言わないでくださいよ。ほのめかしもダメです。憶測まじりの不正確な情報は、相手を惑わす毒となりますから」
そのきびしい口ぶりに、思わずぼくも「ハイッ!」と、「気をつけ」ポーズで返事した。
のんのん先生は、つかれ顔で首をまわすと
「……やっぱり、ハンターなんかとかかわるとくたびれますね。アチラモノだけ診てるほうがラクです」
しみじみ言うと、つづけて
「坂上さんがもどってきたら、昼ごはんにしましょう。今日はもうあわただしかったので昼は出前を注文したんですよ。あなたも朝から動きっぱなしでおなかすいたでしょう?ぜひ食べていってください」
「えーっ、そんなぁ。いいんですかぁ?」
そんなうわっつらだけの遠慮を言いながら、ぼくは、なんで今日はいつもちがってお茶菓子が出ないんだろう、とふしぎに思ってたんだ――でへへ。
ギューッとおなかの音が鳴って、ダットがおどろいちゃった。




