表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

171/428

アチラのお医者さんとハンター25

 ぼくはベティーさんが収容されている棚を見て

「――先生。ぼく、すっかりだまされちゃいました。てっきり、あのベティーさんって先生のお友達の研究者だと……」

 言うと、


 のんのん先生は背筋をのばし

「いえ。それはウソではありませんよ。彼女……ベティーとわたしは古い友人でしたし、今でもそのつもりです。そして、彼女がアチラモノのすぐれた研究者というのも本当です。医療にもくわしい。

 弱ったジャックに対して、彼女は適切な治療をしていました。今、彼が問題なく寝ていられるのは、彼女が初めにちゃんとした応急処置をほどこしたからです」


「へえ」


「そんなアチラモノに精通している彼女だから、わずか一晩で幽体をネチョネチョにしこむなんて荒技も可能だったのです」

 どうやら、先生はベティーさんのことを高く評価してるらしい。


 つづけて

「わたしも彼女にはいろいろ教わり、また助けてもらいました。特に極地におけるアチラモノ生態について、彼女よりくわしいものはコチラにいないでしょう。たとえば、あなたが初めてこの診療所に来たとき、ケガしたジェームスくんを治療するために使ったコオリムカデのつばやユキハキグモの糸は、すべて彼女が採取したものです。 それらがなければ、ジェームスくんの治療はうまくいかなかったかもしれませんよね」

挿絵(By みてみん)

 ――ふうん、じゃあベティーさんにジェームスは助けられたんだ。恩人なんだね。

 でも、だとするとややこしいなぁ……。


「だって、五行の精を追いつめたのはあの人なんでしょう?先生にとっては敵みたいなものじゃないの?」

 ぼくが問うと、


 先生は宙を見て

「……まあ、そのあたりは実にあいまいですね。わたしは診療所にゴギョウボウズがたすけを求めて来たから、できるかぎりの処置をして彼らをベティーの目からかくしましたが、そのいっぽうでベティーがハントした多くのアチラモノを医療素材としてつかっているんですよ。彼女は敵と言えば敵だし、協力者と言えば協力者です」


 う~ん、むずかしいなぁ。


 こんがらがったぼくの顔を見ると、先生はうち笑んで

「かむのでアチラモノにかかわるかぎり、あまり四角四面にものを考えるのは、不利ですよ。その場その場で適当にやっていかないと、身と心が持ちません」


 「その場その場でテキトーに」って、先生が好きなフレーズだ。アヤツリツカイと初めて会った時にも言われた気がする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ