アチラのお医者さんとハンター12
ぼくが思わず公園の入り口を見ると、そこに立っているのは
「のんのん先生!」
まっ黄ぃきぃの髪をしたアチラのお医者さんだった。
「……やあ、ホウイチくん。どうやら、わたしが留守のあいだにとんだ迷惑をかけてしまったようですね。もうしわけありません」
ちょっとやつれたように見えるのんのん先生は、そうぼくに言いながらもベティーさんに目を配りつづけている。その先生の横に立っているのは
なんと!あのフードすがたのハンターだ!
「先生!ほんとうにハンターにつかまってたの!?」
「えっ?……まあ、そういえばそうですね。はい、つかまってました。とんだ目に会いましたよ」
おどけたように顔をしかめるのんのん先生に
「なにをおっしゃる、先生。あなたには当然のつとめをはたしていただいただけだ」
そう言ってフードをはずしたそのすがたは……あら、意外!まだ若くてクリっとした女の人だった。
ハンターって、女の人だったのか!てっきり、ごついオジさんをイメージしてたのに……って、あれ?この人、どっかで見たような顔だち……
まじめそうなハンターは、顔をこちらに向けると
「それよりも、先生のおっしゃるとおりです。いいかげんこんなおろかな真似はおよしください、ハンター・エリザベート!」
ハンター・エリザベート?エリザベートって……ベティ?
そんな!まさかベティーさんがハンター?
アチラモノ研究者じゃないの?
ベティーさんは声低く
「ハンター・メアリー……おまえこそ、ハンターの本分をわすれたのか?ハンターがアチラモノを狩ろうとして、なにが悪い?」
そんな!昨日は「貴重なアチラモノは保護しなきゃだめだ」って言ってたくせに!
のんのん先生はあきれ顔で
「ハンターはアチラモノを討伐すればそれでよい……そんな時代は、とっくに終わったでしょうが。ハンターは、あくまでコチラとアチラのバランスをとるために存在する。それは、あなたが一番よくご存じでしょう?」
「うるさい、このウソツキ医者が!あたしがコンプリートしかけた五行の精を逃がしやがったくせに!」
知り合いだったのは本当らしいハンターにののしられると、
先生は
「……はて。わたしはなにもあなたをだましたつもりはないですよ、エリザベート。ただ五行の精たちは『そのままでは』いないんじゃないかなぁ?と言っただけです。……実際、だいぶん性質は変わってたでしょ?」
そう言いながらも、目はよそに向ける。
「うるさい!このテキトー医者が!」
それはウソじゃないな。ぼくもそう思う。
先生の言うことはテキトーが多い。




