アチラのお医者さんとハンター7
「だって、きみが村雨をとったんでしょう?」
ぼくの疑問に、
リスは首をすくめて
「……はてさて。どうも、あなたにはほかのものになら決してもらさないようなボクの失敗や愚痴をこぼしてしまいますねぇ。あなたは、どうやらボクが禍王家にちょっかいを出したのをご存じのようですが」
ちょっかいって、襲撃したんでしょう?あぶないことして。
「ふむ。たしかにボクらはチームを組んで禍王家から村雨をうばうのに成功しました。しかし、それは『ボクにとって』の成功とはなりませんでした。やとったハンターにうらぎられ、村雨をうばわれてしまったからです」
ハンターに?うらぎられたの?
「まったく、とんだまぬけ話です。……これもすべて、あのおじょうさんのせいですよ。人形をこわされた今のボクの戦力では、さすがにあの禍王家とやりあう余裕はありませんでした。だから外部に協力を発注したんですが、その結果がこれです」
リスはぷんぷんしながら、手というか前足をふって
「思うに、あのハンターは最初から村雨を横取りする気だったのでしょう。それのみならず、鵺郎博士の研究素材までかすめていった。本当ににくったらしいことです。やとうのだって高かったのにね」
いったいどういうこと?
「でも、さっき村雨をふるってたのはハンターじゃないよね?それどころか、ハンターの襲撃を防いでいた」
「ええ。もちろん『あれ』はハンターではありません……うん?どういうことですか?あれについては、あなたのほうがよく知っているのではないですか?だって、あなたは昨日ジャックを助けたのでしょう?」
えっ?どういうこと?ぼくのほうがくわしいって?そもそも
「ジャックのこと、知ってたの?」
「ええ。とはいえ彼とあなたが遭遇したのをボクが知ったのは、昨日の晩おそくです――それで、ボクは今日あなたのもとを訪れることにしたのです。まさかこんな朝早くから、あんなに多くのものがあなたのことをまちうけているとは知りませんから、すがたを見せるわけにもいかずこまりましたよ。
ふふふ、しかしあなたもこんなに追いかけられて……人気者はつらいですねぇ」
イヤミ言いやがって。




