アチラのお医者さんと刀とぎ8
――ボトッ。
ぼくが気づいたときには、床に鬼の右腕がころがっており、とびのいた鬼がにくにくしげに
「おのれ!!またも、わしを拒否しおるか!?闇丑光!」
さけんだ。
(またも……って、どういう意味?)
鬼は「チイッ!」とはきすてると、腕も拾わず逃げていった。
坂上さんは強いてその後は追わず
「……刀に敬意を持たないものが、まともな研ぎ師のはずがない」
刀を宙におさめると、なにごとでもないかのようにつぶやいた。
冷静に語る少女のわきで、ぼくはふるえてた。
(いやっ、そんなことより!いきなり刀をピュッとぬくのって、どうかな!?
こわいって!!いま、はっきりとは見えなかったけど、ぼくの鼻の先を光るものが通ったって!
切れちゃうって!こんなせまいところで、刀ぬいたりしちゃいけないって!)
そんなぼくの恐怖をまるで頓着せず、少女は
「いまの鬼が、先生がすすめた研ぎ師だとは思えない……だとすると、いったいホンモノの研ぎ師はどこにいるの?」
ぼくに、まるで案内役としてなってないのを責めるかのように言った。
(知らないよ、そんなこと。それより、この胸のだくめきをどうにかしてほしい。……ああ、こわかった)
そんなふうにむねをさすって気持ちを静めていると、
ジェームスがぼくのもとをはなれてふらふらと、となりの部屋に飛んで行った。
どうやらそこは作業場で、四方にしめ縄と紙垂がはりめぐらしてあり、天窓から入るやわらかい光の下、水がはってある桶や研ぎ石があった。
――でも、なんだか道具ひとつひとつがみょうに小さいな。まるでミニチュア制作をしてるみたい。
「だめだよ、ジェームス。よそのお家をかってにうろちょろしちゃ」
ぼくは、なんとかたしなめようとするんだけど、いたずらもののトカゲは言うこと聞きやしない。
まるで、なにかを探すみたいに作業場をあれこれ飛び回っていたけど、部屋のわきに置いてある小さな木箱(手紙入れかな?)を見つけると、その上をぐるぐる飛びまわる。
「どうしたの?その箱の中に、なにかあるの?」
他人の家のものをかってにさわるのは気が引けたけど、だれもいないし事態が事態だけにしかたない。
ぼくは厳重にしばりつけてある封の紐をなんとかほどくと、ふたを開けた。
すると、そこから出てきたのは




