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あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


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アチラのお医者さんと妖刀つかい23

「それに、学校生活に慣れるのもたいへんだった。実はあたし『はじめて』なの、学校に通うのって。前はせいぜい世話役と接するぐらいだったから、ひとがいっぱいいるのには慣れてない。いやじゃないけど、ちょっとつかれる。

 それに鵺郎博士がつきまとってくるのにはヘキエキした。しつこいんだもの」

 少女のボヤキに、


 先生は

「怪心尼は、あなたの身を守るため寺に結界を張りましたね。あの『よみつとり』の歌は古来より『鵺よけ』として知られています。鵺郎博士をしりぞけるには最適の歌でしょうが、わたしには何のためなのかわかりませんでしたよ」


「あたしにもあの歌を書いた札はわたされていたけど、不要だった。松風があったから」


「『それ』も、話を分からなくさせた一因です。あなたは、自分が鵺郎博士のもとから闇丑光を一振り持ち出したことを、尼に言っていなかったんですね?」

 なじるような先生のことばに、


 少女はすこし首をすくめて

「……だって、聞かれなかったもの」


「まったく……それで、わたしと尼御前の会話がおかしくなったのです。彼女は、鵺郎博士が闇丑光を二振りとも所持していると思っていた。だから、わたしたちがあなたを切りつけ魔でないかと疑っていることが、尼には伝わらなかったのです。尼の頭には、弟のことしかなかった。

 ほかにも、怪心尼と鵺郎博士が同じようにチバシリオオメダマを使役していたのもわたしたちを混乱させました。

 ホウイチくんが最初に見た、あなたが切ったオオメダマは鵺郎博士のものでしたが、それもあなたは尼に報告してないのでしょう?すっかり呪宝寺のものだと思ってしまいましたよ。……まったく、女性同士もうすこし話をしておいてほしかったですね」


 尼さんとの生活がぎくしゃくしていたのが想像できる。

 坂上さんが学校からまっすぐ寺にもどらないのも、そういうことがあるからだろう。


 シロタヌキによると、彼女はぼくらと喫茶店でわかれたあと、ひとりでかむのの街をさまようように道草をしていたらしい。なにも用事なんてなかったのだ。

(もちろん、本人にはそんなこと言わないけど)


 無口な女性が二人、むかいあって黙ったまま、質素なご飯を食べている絵がうかぶな。

挿絵(By みてみん)


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