アチラのお医者さんと妖刀つかい17
そんなの!アチラモノに食べられちゃうのといっしょじゃないか。
こんなひどいやつに殺されるぐらいなら、アチラモノに食べられて栄養になる方がまだいい!
ぼくが必死に身をよじると
「うーん、逃げようとしても無駄だよ。きみの力ではオレから逃れるのは不可能だし、きみをさらったのも、だれに気づかれないようにうまくやったからね。追いかけられないように、においもちゃんと消しといたんだ」
においがないなら、ハナキキ・カンパニーでもぼくを見つけ出すのは無理じゃないか。
――ああ、もうダメか。こんなところで、ぼくのささやかで短い生涯は終わりをむかえてしまうのだ……
くやしいな……と思った
そのとき
上から、パラパラと光る粉がふりそそいできた。
ヌエロウ博士には見えていないようだが、ぼくは見おぼえがある。なにせ、ついこないだかけられたものだからだ。
この氷月石の粉が落ちてくるってことは、その上にいるのはもちろん……
「ジェームス!!」
くるくる飛びまわっているのは、小さなハネツキギンイロトカゲだった。
ジェームスが来てる、ということは……
ズカ――ン!!
大きな雷音とともに廃工場の門扉が打ちぬかれるように開いた。
そこに立っているのは電気を帯びたハインリッヒ、そして月光灯を手にしたのんのん先生たちだ。




