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俺をバ美肉させないで  作者: 天才川 スプリーム太郎
23/41

二 ツイッター、チャンネルのフォローのほう、よ

挿絵(By みてみん)

 今日も学校についてからマスクを外す。

 俺自身は折り合いをつけた。が、騒ぎになって周囲に迷惑をかけるだろうから、通学のあいだはまだマスク男子のままだ。

 あと何度か痴漢にあったってのもある。男女さまざまな相手から。


「ぱふぇ子の生放送見た? 良かったよな〜」


 近藤が今日もスマホを片手にいつもの話題を喋っている。


「うるせーな。見たよ。アーカイブで」


 付きあわされる中田もかわいそうだ。


「面白かっただろ? 魚のとことか」

「正直な。でもクオリティは落ちるじゃん。生で動かすと」


 後ろの席で気配が身じろぎした。もっとかわいそうなやつがいたか。


「集金手段を増やすためにやってんだろうけどな、生。スパチャとかでないとできないんだろ?」

「うーん」


 言われて近藤は首をひねる。そのわざとらしさに、中田も気づいたようだ。


「おまえまさか、投げたんじゃねぇだろうな、金。貯めるって言ってただろ。ランドいくために」

「いやいや、そのー、メンバーシップのほうを……」


 背後で椅子か机かがカタリと鳴った。


「馬鹿。いくらだ」

「月五百円」

「もったいな。横見ろ横」


 中田と近藤がそろって俺を向く。


「すぐ隣にぱふぇ子がいるだろうが。こっちはタダだぞ」

「なに勝手に……」

「なんでもやってくれるぞ。笑顔でもウィンクでも。小豆畑、手ぇ出して」


 差し出した俺の手に小銭を置く真似をする。


「チャリーン。ほら、投げキッスして」

「やだよ」

「熱中症ってゆっくり言え」

「声は関係ないじゃん」


 うしろから茶々を入れるエコに、近藤が突っこむ。俺からちょっと視線を逃がすようにして。

 俺の素顔を見せ、俺の父親がリアル系Vチューバーぱふぇ子のモデル製作者で、俺の顔を元に作ったから両者はそっくりだという事実を教えて、一大決心で近藤帆子と連絡先を交換をしたものの、そこから一文字のやりとりもしていない。

 エコとなら適当にやりとりできるんだけどな。


「まだ照れてんの? 付きあうの、おまえら?」

「ばっ」


 言いかけて近藤の口が止まる。どっち、それ。


「小豆畑もランド一緒に行く? 金貯まったらだけど」

「いいけど、俺も金、ないよ」

「何割か入ってこないの? ぱふぇ子から」

「こないね」

「そう考えると薄情だろ? こいつも。リアルの友達よりネットを取るんだから」


 責められて近藤はまたもエコ相手に話題を逃がす。


「ねー、中野さんも行くなら行く?」


 振り返ると、エコはマスクの顔に頬杖をついて俺たちを見ていた。


「考えとく」


 そう言ってから、気だるげに前傾していき、また机に突っ伏した。

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