番犬を手に入れた?
よろしくお願いします。
この世界に来て【穢れ】についてわかってきた事がある。それは最初に遠征に行って穢れの塊に遭遇した時感じた事だ。
穢れは生きる者の負の感情が生み出したもの。
穢れを身に纏ったものは、理性を無くし、見るもの全て破壊していく一方で、穢れは、浄化を望んでいる。
知能の高いものほど無意識に浄化を避ける傾向がある。反対に、知能がある程度低いと、従順に浄化を受ける。例外に、リスなど元々の気質が悪戯っ子は、浄化を受け入れるが、悪戯もする…。厄介だ。
まだ穢れを纏った動物達を見ただけだが、この王城から離れれば離れるほど、ミニーの浄化も行き渡って無いから、もっと魔獣や、武蔵のような霊獣がいる事。もしかしたら……いや、むしろ、いるだろう。穢れを纏った人間も。
私に太刀打ちできるだろうか。武蔵の攻撃もラシルがいなかったらきっと……。無力な自分に腹がたつ。
目を閉じ、今まで瞬間的にしか発動しなかったシールドを、徐々に展開していき、維持する。
頭の奥が痺れるような感じがしていくが、徐々に頭の先から体を膜が覆っていく感覚がある。
一つ心臓が強くなった感覚があり、一瞬の微かな痛みが襲う。そのまま落ち着くのを待ち、目を開け、自分の体を見下ろす。
「何も変わってないかぁ…。…。あれ?」
一見何もないように見えるが、じっとしばらく手のひらを見続けていると、たまにキラリと光る粉のようなものが見える。……。やっぱり錯覚じゃ無い。
今までシールドが張れたのは一瞬だけだったからこんなキラキラしてるものがあったのか、わからない。
とりあえずラシルに相談しよう。
と、言う訳で、闘技場へ向かう。
なぜ闘技場かというと、ラシルが、武蔵に何か指導があるからって言って呼び出しているからだ。
闘技場に着くと、いつにもないくらい騎士達で賑わっていた。
人垣を去り抜けて行くと、広場に金の髪を靡かせながらラシルと、空に鳥籠の様な檻の【結界】に閉じ込められ、今まさに突き破り出てくる武蔵がいた。結界を破った瞬間、周りにいた騎士達から歓声がわく。
どうも、今の様なやりとりがしばらく続いていた様だ。両者ともに肩で荒い息をし、疲れ切っている様だが、大丈夫なんだろうか…。
見守っていると
「もうかれこれ2時間以上今みたいな感じで膠着状態だ。俺たちの声もまるで耳に届いてない有様だよ。でも、ハルカなら止められるかもしれないね」
ヒッ!びっくりした…いきなり肩を掴まれたと思ったら…耳、超至近距離でリアムの低い心地の良い声。声に乗って吐く息も耳と首筋をくすぐり顔が赤くなるのがわかる。
反射的に振り向くと触れ合ってしまいそうな距離にリアムの顔があり、目が合うと悪戯っ子のようなニヤリとした笑みを浮かべている。
……。はい、確信犯なんですね。
赤い顔でじっとり睨んでも威力は無いようで、全く応えてない…。悔しい。
『『ハルちゃん・ハルカから離れろ!!』』
一瞬にして私の体が、【結界】で包まれ、リアムに向かって風の刃が襲う。
リアムは、難なくその風の刃を腰から抜き取った剣で弾いていく。超至近距離で突然始まったやり取りに体が硬直してるのがわかる。
ふっと私の体に温かいものが巻きついてきて金縛りのような硬直が解け、下を見ると金髪のラシルがニコニコと見上げていた。
『草が!どさくさに紛れて我のハルカに触るでない!!』
バササっと羽音をたてながら私の肩に降り立つ武蔵。
武蔵、今日はちょっと薄着だから肩、痛いです…。
御構い無しに、武蔵とラシルの口喧嘩が耳元で始まる。…うるさい。
闘技場の端でベンチに腰掛け、武蔵を膝の上にひっくり返してお腹を出した状態で抱き上げる。つま先が丸くなって可愛い。お腹に指を差し込むとフカフカな羽毛にどこまでも吸い込まれていく。地肌に着いた指で撫でれば更に足指はキュッと丸くなる。触り心地最高…。
ラシルは相変わらず私の腰に腕を回しひっついていて、武蔵を撫でると、もう一方の手をとり、自身の頭の上に持っていく。撫でろって事かしら…。
両手で、ラシル、武蔵を撫で続け、それを正面からニコニコと爽やかな笑顔で眺めるリアムに気まずい目を向ける。助けてくれる人は…いない。
「ハルカの番犬が増えちゃったね」
たっぷり時間をかけ、ラシルと武蔵が回復した頃、やっと解放され、こちらがある意味疲労困憊に陥っていると、
『そう言えば、ハルちゃんは何か用があったの?』
「あっ、そう、ラシルに【シールド】について聞きたいことがあったんだ」
『聞きたい事?』
「うん、えっと、シールドをもう少し長い時間張り続けたいと思ってて、イメージトレーニングしてたんだけど、体の周りにキラキラ光るものが見えた気がして、これ、成功したって考えていいのかな?」
『キラキラ光るもの?今もできる?』
「やれるかわからないけど、やってみるね」
意識を集中して頭の先から体を覆うようにイメージする。
『ハルちゃん、そのまま目を閉じて集中しててね。絶対目を開けちゃダメだよ』
ギン!
一瞬体に衝撃が走る。思わず一歩後ろにたたらを踏む。
『目を開けていいよ。すごいね。ハルちゃんのシールドでアイツすっ飛んでいったよ』
数メートル先に木刀を持ったリアムがうずくまっていた。
「えっ?どうしたの?リアム大丈夫?」
走り寄り、手を貸そうと差し出すと、びっくりしたように目を丸くしているリアムがいる。
話を聞いたところ、ラシルに剣で思いっきり撃ち込めと言われ、撃ち込んだところ、とてつもなく強い力で押し返されてしまったと言う。
どういう事だと不信に思っていたのがわかったのか、ラシルがおもむろに石を投げてきた。
投げられた石はすごいサピードで弾き返されていた。
その夜新たにステータスに追加された項目に納得。
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【ステータス】
氏名 : 安藤 遥 / アンドウ ハルカ Lv59
状態 : 好調
性別 : 女性
年齢 : 28歳
所属 : バルダイア
属性 :《 聖属性魔法》《光属性魔法》《風属性魔法》《水属性魔法》《火属性魔法》
【スキル 】
《浄化・吸収》…対象に触れる及び狙撃
する事で効力が発揮する。
《祝福》…名付ける事により、絆きずなを結ぶ。対象は『癒し』が常に発動。
《シールドA》…ブロック。瞬間的に発動。
《シールドB》…アタック。常時発動。三倍返し。
【オリジナルスキル 】《 言語転換》《癒し》
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シールドB・アタック。カウンターができるようだ。しかも常時発動で、三倍返しって…。今も発動してるのかな?
さっきのリアムの時も自分ではシールドを張れてた感覚は無かったが、実際にはリアムは数メートル弾き飛ばされていた。
手元をじっと見つめる。特に何も無い。意識を集中させる。
今度はキラリと光るものが見つけられた。でも、しばらくしたら光るものは無くなってしまう。
常時発動って有ったが、発動条件が何かあるのか明日ラシルにもう一度相談しよう。
いつもありがとうございます。
読み返してみると、誤字脱字が結構あって、今後、時間のあるときにコツコツと編集していきたいと思います。もし、お気付きの箇所がありましたら誤字報告頂けると助かります( ´∀`)




