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フランスにいくはずが…… 。  作者: カモネギ
23/32

リアルキャンプ ・ 二日目

しばらく更新あけてしまいすみません。

お待ちいただいてくださった方ありがとうございました。


今回、虫出ます。苦手な方はお気をつけください…。

 



 温かな何かに幸せを感じつつ、目を開けると、薄暗い車内にキラキラとした柔らかそうな金髪が視界いっぱいに広がる。おもむろに寝癖でふわふわとした柔らかそうな金髪に指を差し込む。


「ふふふ。くすぐったいよ」


 一気に覚醒してガバっと起き上がる。

 目の前には、目をこすりあくびをしているラシル。


「えっ?なんで?」


「アドルの天幕寒いし、イビキもうるさいから寝れなくて…きちゃった…。ダメだった…?…」


 うるうるおめめで下から見上げられ息がつまる。


「ぃ、嫌じゃないけど、びっくりしたよ。

 っ…じゃなくて、なんで実体化してるの?てか、松に帰れば済んだんじゃ?」


「だって、ハルちゃん寒いの苦手でしょ?いつものでも触れるけど、体温は分けてあげられないから…ボク…温かくなかった?…ここにきたらハルちゃん寒そうに丸まってたからつい一緒に寝ちゃったんだ…ごめんね…」


 またこの目だ…どうしても許しちゃう……。


「あっ、温かったよ。ありがとう。でも…心臓に悪いから一回起こして欲しかったかなぁ…

 あっ!で、シシリーもそうだったけど、精霊は実体化すると金髪になるの?話し方もテレパシーじゃなくなるんだね。不思議な感じ」


「この世界の神も金髪だから、自然と金髪になっちゃうんだ。でも、意識すれば、どうとでも変化できるよ!」


 ちょっとドヤ顔で座りながら胸を張る。いつもよりキリリとした表情はカッコいいが、寝癖で所々跳ねた髪が愛らしさをプラスしている…。


「ん、さて、起きますか。ラシルは外で待っていてくれる?」


 熱の集まった顔を見られないようにラシルを押しやり、エンジンをつけ、エアコンから暖かい風を感じながら着替えていく。

 今日はもう少し王城から離れて、一番近い霊山があるポアン方面に向かう。

 もちろんポアンまで行くわけではなく、その手前の町と森の様子見だ。


 外に出ると、フランが朝食の用意のためか、バーベキューコンロを温めていてくれた。


「フランさんおはよ。火、ありがとう。冷えたでしょ?ミニー温めてあるからユノアと行ってきたら?」


「おはようございます。ハルカ様にお借りしたマントのおかげで、冷たい風も全く感じませんでしたよ。ありがとうございます」


 ふわりと微笑まれて、見惚れるように目が釘付けになるが、昨日の少年のようにキラキラな笑顔でくるくる回っていた姿が脳裏をよぎり、ついつい口角が上がってしまう。




 朝食も終えて撤収作業。私のテントは折り畳み傘の要領なので骨組みをたたんで生地部分を折り目に沿ってくるくる本体に巻いていけばあっという間に撤収完了。アドル考案テントはまだもう少し時間がかかる。

 余ったた時間で森を散策。この世界は自然が多く美しい。





 ミニーを走らせ、途中、穢れの塊が漂う場所をいくつか通り抜け、昨日の集落より一回りくらい大きな集落に到着。入り口に白い布が巻きついている。これは集落内で何か問題があって閉鎖している印。

 入り口に近づいて中を伺うと、非常釣鐘の下に青年がうずくまっていた。


「大丈夫ですか?この村では何が起きているんです?」


 リアムは、近づかずに入り口から声をかける。青年は一瞬ピクリとしたが、返答はない。


「流行り病かもしれません。感染が気になるので退却したらどうでしょう?」


 フランの言っていることはわかるが、門番らしき人さえ動かないのを考えると中はもっと深刻だろうと推測される。


「だったら余計手伝える事あるんじゃない?幸い、ミニーで【状態回帰】ができるんだから感染症だって怪我だってなんでも治せるでしょ?」


「しかし、ハルカ様に感染してしまったら…」


「だから、感染してもミニーで治るし、ちゃんと予防もしてくから、そういう心配なら要らないよ。

 アンディー、私の心配してくれてありがとう」



 その後、【鑑定】で出たのはインフルエンザ。

 この世界にもインフルエンザがあるのかとビックリしていたが、もともと名前はないが、冬の時期にたまに流行してしまい、感染力が強く、閉鎖に追い込まれる集落がたまにでるそうだ。



 とりあえず、ラシルが精霊体で集落の中の情報収集。

 その間にウォータージャグに水を用意し、ありったけの鍋やケトルでお湯を沸かしておく。

 エタノールとBB弾を沈めていた水を1:10の割合くらいで薄めた除菌液を作る。

 全員にマスクを渡したら簡易診療所のできあがり。

 まず、手始めに、門番の青年を運んでもらい、ミニーに乗せる。彼はまだ軽かったのか、あっという間に

 回復したようで、ミニーから興奮気味に出てきた。


 門番の青年はヤシムといって、この村の状況を説明してくれた。


 先月あたりからポツポツと具合の悪い者が出始めて、最初はただの風邪だと思って過ごしていたら、あっという間に感染者が増えてしまって、隔離したが感染がとまらず、まともに動ける者がほぼない様な状況までになってしまっている。なんとか数名、一番最初に発症したの者が回復して、村全体を介護して回っている現状らしい。


 効くかどうかも怪しい薬はあるようだが、やっぱり回復する者も中にはいるが、ほとんど回復していないようだ。

 ラシルも村の様子を見て回って帰ってきたところで、今後の手順を相談する。


 まず第一に、重症患者をミニーに乗せる。

 その間に、私の【浄化・回復】の効果があるBB弾を村人全員に配る。

 各家をエタノールで作った除菌液で消毒して回る。


 今が朝で良かった。今日は長い一日になりそうだ。


 ラシル&アドル、ヤシム&アンディーの二組で案内と搬送をしてもらい、その他全員でこの村の隅々までBB弾を配りに歩く。その時、動けそうな人がいたら家屋の除菌を手伝ってもらう。


 この村はスーパという人口200人にも満たない村で、絹織物で生計を立てているらしい。しかし、村人が、倒れて満足に世話をしてやれず、原料になるカイコも元気が無くなってしまっているようだ。

 で、頼まれたのが、BB弾で回復させるのと、弱り切っているカイコをミニーで回復させる事。


 はい。私、アウトドア 好きで虫にも特に苦手意識ないから引き受けたけど……。これは……。


 倉庫のような場所の扉を開け、目に入ってくる映像は、腰くらいの高さの棚に木で仕切られたケースいっぱいに蠢く白いカイコ…中には既に羽化が終り、真っ白で、ぽってりボディの飛ぶ姿がちょっと重そうなカイコガ。


 単体ならいい。カイコのすべすべプニプニの感触も見ないで触れば極上もの。蛾も、落ち着いて見れば愛嬌あるフォルムでマスコットのようだ。


 し・か・し!!


 詰め込みすぎだろ!!うようよいんよ!?


 正直発狂寸前。おもむろに隣のリアムを見ると、今まで見たこともない感情の一切無い笑顔。

 感情ない笑顔なんて初めて見たわ。


 ここで救世主が、ユノア!!

 やんちゃボーズらしく、虫網片手におめめキラキラさせてあっという間に蛾の回収と空気の入れ替えをしている。

 ぼーっとしている私達にピンセットと、カゴを持たせる。


「ほら、アンタと副団長で瀕死のやつ集めて持ってきなよ。あとやっとくから」


 とりあえず、飛んでくるやつはもういない。

 心を落ち着け、いざカイコの詰まっているケースへ…。…。





「はー。…なんかどっと疲れた…。リアム、虫苦手だったんだね。つき合わせてごめんね」


「ハルカ。勘違いしないでくださいね。別に苦手ではありませんから」


 どうだろ。遠い目で会ったばかりのように敬語に戻っている。本人自覚ないのかな?


「おー…私も苦手意識無いはずだったんだけど、どうもキャパオーバーだったわ…うようよいすぎよね…」



 とりあえず精神的なダメージが大きすぎたので、休憩がてら炊き出しの準備をしようかな


 昨日作った豚汁に被るけど、村から借りてきた大きな鍋に一口大に切った鶏肉と、大根、里芋、ジャガイモ、人参、玉ねぎ、ごぼう。根菜類を投入し、顆粒だしとお醤油でけんちん汁もどきをつくる。


 ごぼうはここでは雑草に近いあつかいで、食べるものではなく、乾燥させてお茶にしているらしく、軒下に細かくして乾燥させているものや、取ってきたばかりでまだ土がついているものが転がっていて、料理に使いたいといったらびっくりしていた。


 バーベキューコンロでお餅を焼き、元気な人にはお餅を入れて配った。

 はじめてのお餅は案外受け入れられたようで、子供が一番気に入ってくれていた。


皆んなで昼食を囲み、午後はひたすら掃除、除菌して回り、日が暮れる頃には身動きの取れない重症者の治療が終わった。このままここで野営しようと思っていたら、村長が部屋を提供してくれ、夜番も村人がしてくれるという事で、皆んなでゆっくり休ませてもらう事になった。

久しぶりに一日中動き回っていてすっかり疲れ切っていたようで、お風呂にも入らず案内された部屋でベットに転がったところで眠気に負け、意識を手放していた。






この話を作成中にいきなり体調を崩したので、何かのおつげかと思いました…。

インフルエンザではなかったので良しとします。

皆様も体調お気をつけください。

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