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フランスにいくはずが…… 。  作者: カモネギ
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リアルキャンプ ・ 出動

よろしくお願いします。

 



 アンディー、ユノア、フランさんがバーベキューの後片付けをしてくれている間に装備とドローンの準備をする。


 今回は距離も稼げるアサルトライフルを装備。


 万が一の場合のために、ミニーの座席にガトリングガンもバッテリーを接続していつでも撃てるようにしておく。


 ドローンのリモコンにスマホをセットし、電源を入れる。

 ヴンという羽音と共に空へ舞い上がる。

 見渡す限り獣の反応がない。が、画面に映る景色に陽炎(かげろう)のような、煙ではないが、揺らめくようなものが見える箇所がある。

 気になるので、ミニーを包むようにラシルに【結界】を張ってもらい、私達も靄へ近づくため、森へ踏み込んだ。


 森の中は薄暗く、鬱蒼として、いかにも何か出てきそうな雰囲気。その間も上空ではドローンが周囲を映し出し、生き物がいないかチェックして行く。

 だいぶ進んだ先にある大きな岩の裂け目の奥、黒い靄が湧き出している場所があった。ドローンで映し出すと、案の定【穢れ地】と出た。


 一度ドローンを回収し、【穢れ地】から少し距離をおいて何か出てくるか待ってみる。ドローンにも生物の反応はなかった。

 しばらくしても何も変化がなかったので、とりあえずライフルで岩の裂け目を狙ってみる。


 ッダン!という音が響き、ほんの少し光った気がした。特に変わった様子がなかったので、連射モードにして、ある程度撃ち込む。薄く立ち上っていた黒い靄が消えたのを見て、効果があったのかなと、スマホで【鑑定】して問題がなくなったのが確認できた。


 とりあえずもう一度ドローンを飛ばし、周囲の状況を確認していると、距離はあるが、私達を中心に、バラバラな方向から、兎の魔獣、鹿の魔獣、狸の魔獣、熊野魔獣が近づいてきている。

 あるものは、私達ではなく、ミニーに向かっているものもいるようだ。


 手元のライフルの残り玉が気になる。スペアのマガジンがひとつあるからこれで()ってくれるといいのだが…。

 浄化できない魔獣は屠るしかないらしく、出来るだけ避けたい。


 しばらく待っていると、茂みを揺らして黒い塊がいくつも進み出てきた。


 私達と対峙するように来た一際大きな、穢れで輪郭が曖昧だが多分熊の魔獣。一度大きく後ろ足で立ち上がって二足歩行のままゆっくり歩み寄り、座る。それを先頭に、左右に様々な魔獣が伏せていく。


「ラシル、この子達の伝えたい事ってわかる?」


『わかるよ。穢れをどうにかしてほしいって。』


「近づいても大丈夫そうかな?大人しく出来るなら()()で撃つのはかわいそうだし、触ってみたいな」


『大丈夫そうだよ。もし、何かあってもボクが守ってあげるから心配いらないよ!さぁ、いこっか』


 極上の笑顔で私に腕を絡ませ、軽い足取りで熊に近づいていく。

 動物園で柵越しに見たことはあるが、こんな近くまできたこともなく、迫力に圧倒される。ついつい、爪の鋭さや、四肢の力強さに目がいく。

 前に鹿の魔獣に会った時程、大量に蠢く穢れは纏っていなかったが、十分デカイ…。

 後ろ足で座っている状態だから目線が私より上にある。

 両手を伸ばすと、熊の思ったよりつぶらな瞳が細められ、私の手に擦り寄る。大きな熊さんの圧は凄かったが、最後、大きな腕で抱きしめられるようにぎゅってされたのには「キュン❤︎」では無く、「ヒュッ…」と、心臓が止まるかと思った…。


 その後、各々浄化されれば、次の魔獣と交代するという、本当に野生動物か疑いたくなるような行動をとられ、気分はアイドルの握手会だ…。


 とりあえずここに集合してる動物達の浄化が終わり、ベースキャンプへ戻る。



 ベースキャンプには、ラシルに張ってもらった【結界】にへばりつくようにリスがモフモフな尻尾をツンツンッと動かしながら大量に蠢いていた。


 私が近づくと、ラシルが待ったをかける。


『この子達には近づいちゃダメだよ。』


 さっきまで、熊などに囲まれていたせいか、全く危機感を感じさせないリスの魔獣…。


『この子達は元々が、イタズラっ子だから触ったら何されるかわからないよ。』


 えー…。でも小動物を撃つのは嫌だ…。

 多少、引っかかれたりしてもまだ私が傷付く方が心の負担も無い。


 リスに近づきつつ、ユノアがバーベキューの時に使っていた軍手を装着。


 あと三歩ほどで触れる距離に来たところで、正座で座り込む。


 近寄っている間中ずっと一身に視線を浴びていたが、座った瞬間、ピョーンピョンと、目にも止まらぬ速さで肩の上も、頭の上も背中にもリスがペッタリと張り付いてくる…。思った通り微妙に爪が痛い…。髪も結んでいるが、あっちこっち引っ張られて痛い。


 しばらくされるがままにジッとしていると、一匹がおもむろに私から離れると、それに続くように続々と森へ脇目も振らず帰っていった。


 その姿をぼーっと見送り続けていたら、頭の上からリアムの顔が降ってきた!ビックリしていると、両手で頬を包まれ、濡れたハンカチで顔を拭ってくれる。


 その行為にもまたビックリして慌てて自分でやるから!って言っても、見えないでしょ?って…。結局正面からちゃんと拭いてもらい、伸びた髪も肩まで切ってもらった。

 リアムは遠征が決まってすぐに、散髪師にコツを習いに通っていたらしく、首元から鎖骨に沿うような前下がりの長めなボブに切りそろえられていた…。



 リアムは、もしかしたらクマハグより心臓に悪いのはではないか……。







いつも読んでいただきありがとうございます。

まだまだ遠征が続く予定です。

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