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3.反撃の狼煙

累計100PV 有難う御座います。

次の目標は500PV!!


「うああああ! 」


雄叫びとも叫び声ともつかない、甲高い声をあげて雪継は力の限りゴブリンを押し返す。


素足に落ち葉が滑り、小石がめり込むが構いはしないとばかりに踏ん張った。


予想していなかった抵抗に、タタラを踏んで後退ったゴブリンは驚きからか、濁った黄色の眼を大きく見開いた。何も持っていなかった筈の人間の子供の手にいつのまにか緑色の何かがあったからだ。あれはとても嫌なモノだ。


だかそれだけではない。子供の雰囲気がどこか変わっている。弱々しい姿は見て取れない。つい先ほどまでの餌では無くなっていて、強い瞳でゴブリンを睨み返している。


震える人間を、痛め痛ぶり、踏み躙って殺して喰らう楽しみに水を差されたゴブリン。


つい先ほどまでの、ゴブリンに恐れ慄いていた姿とは異なり、雪継は落ち着いた様子で、いつの間にか血の固まった左手を持ち上げて、その手のヒラをゴブリンに向けている。腰を低く、右肘を曲げてエメラルドグリーンの銃の様な武器を構える。まるで闘いに慣れた戦士のように。真っ裸で。


ゴブリンの醜くい顔には戸惑いと僅かな怖れが現れる。突然の変化に混乱していた。グギャグギャと耳障りな声も幾分小さい。だが、逃げる様子は無く、雪継の行動をじっと見ている。


雪継はゴブリンから視線を逸らさずに、手にしたソレに鋭い注意を向ける。エメラルド色をした銃の様なモノ。


(いやいやいや! はあ~?! 何だこれ。銃? やべ~。こんなもん使い方分からんぞ!)


雪継はもっと混乱していた。構えなどただの偶然とハッタリの産物だ。


そんな心の中で焦る雪継と勘違いしたゴブリンのあいだに、一瞬の静寂が訪れる。


風に吹かれて木の葉が舞う。


先に動いたのは、雪継だ。


雪継の腕よりも大きなエメラルドグリーンの銃身。その銃身には、雪継が飲み込んだ種子の表面に似た紋様が彫られており、形状は独特のな形をしている。雪継は銃について詳しくはないが、もし詳しい者が見れば、雪継の好きな映画の主人公が使用する、ベレッタ92に似ていると言ったかも知れない。


奥の見えない穴の空いた銃口をゴブリンに向ける。その大きさに比べると子供の身体でも持ち上がるほどの重さしかない。


(銃だよな。こんな場面で現れたんだ。喰らいやがれ。こんちくしょーめ!!)


ピンチの場面で現れる武器や才能や特殊能力。


(腕が突然変化したり、眠っていた力が目覚めるのはお約束だよな!!)


グリップを絞るように握りしめて、引金をひく。


衝撃に備えて身体が固まる。ゴブリンも何か起きると感じたのか、身を小さくした。


「かちん」


雪継は引金をひく。ゴブリンは身を小さくしながら雪継をチラ見する。


「かちん。かちん」


雪継は--


「かちん。かちん。かちん。かちん。かちん」


何も起きなかった。


雪継は駆け出した。ゴブリンに向かって。


雪継に背を向けて顔を背けていたゴブリンと目が合った。


「うあああああああ!!」


思いっきり、両手で握りしめたグリップの角でゴブリンを殴りつけたのだった。





「はあはあはあはあ」


満身創痍。肩で荒い息をしながら体中に土や木の葉をつけて、血で汚れて立っているのゴブリンではなく小さな子供になった雪継だ。


雪継は足にうずくまって動かなくなったゴブリンを見ながら叫んだ。


「うおおおおお! えいどりあ・・・・・・!?」


興奮と混乱で可笑しな事を口走りそうになりながら、何か足を取られてすっ転んだ。


「ひっ!」


紫色の血と形の変わった顔面のゴブリンがゆらりと立ち上がった。

潰れていない片目が怒りに燃えている。剥げた顔の皮膚の下には骨が見え、一部割れた骨からは灰色の何かが溢れそうになっているがけれどもそんな状態になりながらもゴブリンは生きていた。高い生命力か、もしかしたら、生き物を殺すことへの抵抗から無意識に雪継が力を加減を抑えてしっまたのかもしれない。


ゴブリンは殴られながらも、離すことの無かった石のナイフを握って、腰が抜けたように、尻餅をついた雪継に覆い被さろうとする。



興奮から一転してピンチになった雪継は逃げ出そうとするが上手くいかない。


しかもいつの間にか唯一の武器であった銃という名の鈍器が無くなっている。


やばい・・・・・・と思う間もなく。すぐ近くにゴブリンの顔があった。


(死ぬ!)


そう諦めかけた時――――


一陣の赤い風が通り抜けた。


音も無くゴブリンと雪継の間に割って入る。


銀の一線がゴブリンの首に走った。



「子供? ・・・・・・キミ大丈夫かい?」


目の前、突然現れた赤い髪の若い男が心配そうに雪継に声を掛ける。


その後ろで、ゴブリンが糸の切れた人形のように、力無く崩れ落ちていた。


「僕は、カルアの街の鉄級冒険者――――」


それが、初めての『冒険者』と雪継の出会いであった。


が、お腹の上に落ちてきたゴブリンのめちゃくちゃな形相をした血と脳漿にまみれた生首のショックで気を失った雪継が知るのは少し後の話であった。


反撃反撃詐欺・・・・・・

ちなみに筆者も銃は撃ったことありません。

では次話もお楽しみ頂ければ幸いです!!


またブックマーク登録お待ちしております。感想や評価も頂けましたらうれしいです。



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