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02 学院修技場sideB


クルスは学院内東にある修技場にいた。


修技場の中を見回す、中は円形の建物で幾つもの扉を壁に配している。


「此処が魔術教練を行う場所か」


三つの扉の上に灯りの灯る魔石が埋め込まれていた。


「三つが使用中みたいだな」


クルスは手に納まるほどの水晶を上着のポケットから取り出し、右の掌を上にして構える。


「プロジェクション」


水晶の上に球体が現れる。そして、球体に炎の燃える森が映し出された。


「貴女に教育というものを叩き込んであげるわ」


丸眼鏡を掛けた黒髪長髪の壮年男性、テイラー・ガストニアは炎の球体を左手で玩びながら両膝を折り、身体を支えるように緑の大地手をつく艶のある銀髪の眼帯の少女、アルル・スカーレットに向けて言う。


「…貴方に…教わるこ…となんてな…い」


「まだ無駄口を喋れるだけの余力があったのね」


「…うぅ…」


「苦しいでしょう?」


テイラーは不適な笑みを浮かべると辺りの炎の勢いが増す。


「私怨の戦いね」


クルスの後ろから少女の声が聞こえた。


「当主様がこんなところで何をされてるんですか?」


クルスは丁寧な口調で訊ねる。


その言葉の先にはアナミリスがいた。


「しっかりと勤めをこなしているかの監視」


「素直にセナが心配で見にきた。でいいと思いますが」


「なっ、にを言っているのよ?」


「それで私怨とは?」


「…色々と蟠りがあるのよ。ガストニア家とスカーレット家には…」


球体にアルルの姿が映る。


アルルの顔を薄い水の膜が覆っており、身体で隠した口元と指先が動いている。


「異属性の複合魔術、恐らくは彼女の魔技でしょうね」


「なるほど、水中の空気を取り込んで酸欠を防いでたわけか。家督から遠くとも六花の名家ということか」


森の炎が一気に鎮火し、水の木々が立ち並ぶ森へと様相が豹変する。


テイラーは突然変わった光景に周囲を警戒するするとアルルはのそりと立ち上がる。


「まだこんな力が残っていたのね…」


テイラーは左手の炎を右手に分けて両手を広げる。


「…少し遊びが過ぎたようね」


「スカーレットの名に懸けて、ガストニアには負けないわ。例え模擬戦だとしても」


「スカーレットの名に懸けてね…貴方ごときがスカーレットの名をねぇ、それを懸けることの出来るのは彼女だけよ」


テイラーの両手の炎の中に魔方陣が交差するように三つ出現する。


「姉様を手に掛けた貴方に言われたくないわ!」


アルルは右目の眼帯を手で覆うとその覆った手に力が籠る。


「あれは公の場でのこと、私に憤るのは間違いじゃないかしら」


テイラーは口角を上げ、不適な笑みを浮かべる。


「さて、終わりにしましょうか」


「そうね、…」


アルルはそう呟くとテイラーの両手で揺らめいていた炎が見る見るうちに弱まり、中の魔方陣が砕ける。


「馬鹿な!」


テイラーの言葉が乱れ、罵詈を吐く。


そして、テイラーの足元から大地を覆う緑が締め付けるように伸びて一瞬でテイラーの全身を覆った。


その覆ったものの隙間から液体が流れ出る。


「さて、次に行きましょ」


球体の映像を閉じると二人は程近い扉へと歩き出した。


「あれって死んでないですよね」


「加護結界が正常に働いていれば肉体的な損害は抑えられてるわ。けどあの様子だと精神には暫く異常を来すでしょうね」


扉の前に着き、クルスは掌にある水晶を構える。


「まぁ、エルフの加護を得られれば別でしょうけど」


「それは無理な話、人間を蔑む彼等がそんな事するわけないですよ」


「…でしょうね」


アナミリスは少しの間の後に答えると球体が現れ、映像が映し出された。


しかし、球体に映し出されたのは暗闇。


「何も映らない?」


「映っているわよ。ただ隠滅術式の派生術式ブラックウォールで視覚出来ないようにしているから見えないだけよ」


アナミリスの瞳は何かを注視するように瞳孔が狭めると瞼をゆっくり閉じた後、瞼を開いて視線を次の扉に向ける。


「あの扉に」


二人は三つ目の扉へと真っ直ぐ歩み寄り、クルスは球体を構える。


「見つけたわ」


球体には荒野の大地に立つセナが映し出されていた。


「大丈夫かな」


アナミリスは球体のセナと視線が合う。


「我、真実の力によりて生きながらに万象に打ち克てり」


セナは口頭と指を用いて詠唱する。


「デュアルスペル?」


クルスは驚きの声をあげる。


「違う、あれはトリニティスペル」


「三重詠唱だって!?そんなもの使えるのか、セナは」


クルスは驚きの余り、大きな声をあげる。


「それくらい普通でしょ」


「いや、普通じゃないってデュアルスペルすら普通の魔法師には難しい代物だって聞く」


「そう」


クルスは失念していた目の前にいるのはクロウリー家の当主であり、皇国専任魔術師だった。常識が通用するはずもない。


そう思いながらクルスはアナミリスを見た後、球体に映るセナを見る。


セナとグラツの模擬戦が終わり、目の前の扉が開く。


グラツが厳しい顔をして最初に現れ、二人に気付く。


「何をしている、許可を得ないものが此処へは立ち入る事は…」


グラツは見覚えのある姿に言葉尻を切る。


「許可は必要ないはずですが?私は陛下より権限を賜っているもの」


「クロウリーの当主か…で何用で此処に?」


「用はもう済んだわ」


そう言うとアナミリスはグラツに背を向けて修技場の出口に向かう。


アナミリスが修技場から出ていくとセナがグラツの出てきた扉から出てきた。


「クルスがどうして此処に?」


「セナが何処に行ったのか気になってな」


使用中だった残り二つの扉が開く。


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