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久我崎ちゆりのレシピ帖  作者: 時田シューゴ
2/2

2.技ありのソース焼きそば

週明け、大学生活がスタートした。オリエンテーションの後、講義概要(シラバス)を見ながら選択科目をコンピュータで登録していくのだが、これが意外と頭を使う。必修科目との兼ね合いもあるし。

「ちっと休憩しようぜ」

同期の谷山 寛人(たにやま ひろと)が声を掛けてくる。名簿で前後の彼は人懐っこい性格で、入学式の日から何かと話しかけられ、何となくつるんでいる。


誘いに応じて荷物を片付け、校舎の外に出た。少し汗ばむような陽気に、アイスコーヒーで一服したい気分になる。

「そういや田辺ってドコ住んでんの?」

「西門出て真っ直ぐ行った先にあるコンビニの隣のアパート。チャリで10分くらいかな」

「結構いい立地じゃん、俺もそれくらいの場所が良かったわー」

谷山は埼玉の実家からの通学組だ。聞けば朝のラッシュは相当大変らしい。在学中、味わうことなく済めばいいけど。


「念願の一人暮らし!って思ったけど、家事全般やるのって結構大変なんだよなー。飯の用意ひとつ取ってもメニュー決める所からだし」

「だろうな。皿でも洗うからさ、今度泊めてくれ!」

「皿洗いだけじゃ宿代にもならんだろ!貢ぎ物の一つでも持ってこんかーい!」

強めにツッコミを入れてやった。


まだ本格的に授業が始まっていないので、スケジュールも午前中で終了。履修登録を済ませてもおやつ時の時間だった。


「さーて、今日は何にしようかな」

自炊生活は概ね順調である。それもブログ『久我崎ちゆりのレシピ帖』のお陰なのだが。

あれからも幾つかのメニューを試しに作ってみたが、書き方が料理初心者にも分かりやすく失敗することはなかった。


久我崎ちゆり。ブログの文面から判断するにどうやら都内に住む大学生らしい。家政科の大学にでも通っているのだろうか。レシピの投稿を始めたのは去年からで、挨拶欄には一人暮らし生活の記録と料理へのモチベーションを上げるために始めましたと書いてあったので、おそらく歳は1つ上。

イメージ像は家庭的なほんわか系女子なんだけど、実際の彼女はどんな人かな。


帰りがけ、常連になりつつあるスーパー『サライ』に足を運ぶ。夏の風物詩である某テレビ番組のテーマソングみたいな店名だが、どうやらその由来は経営者の『皿井(さらい)』さんらしい。彼は今日も名札を付けて、広い額に汗をかきながら店頭で元気に声出ししている。


「今日は在庫処分セールだよっ!見てってねー!」という威勢のいい言葉に誘われて特設コーナーを覗く。どうやら調味料を大々的に入れ替えるらしく、ワゴンには『お買い得!3本セットで500円』の文字が踊る。

放っとくと醤油とか味噌とか決まり切った味になっちゃうもんなぁ、試してみるか…とセットを籠に入れた。3本の内訳は、スイートチリソース、トマトソース、オイスターソースだ。


ついでにその場でレシピ検索。どうせなら今日使いたいもんな。

ブログを開くと、数分前に記事が投稿されたばかりだった。しかも、うってつけのメニュー。『オイスターソースを使ってコクを出した、深みのある味わいの焼きそばです!』…か。


オレはレシピに忠実に『技あり!ソース焼きそば』の材料を集めた。


アパートに戻ると、隣の407号からのいい匂い。タイムリーだな、うちも今日はソース焼きそばなんですよ、ふふふふふ。

ちょっと愉快な気持ちで部屋のドアを開けた。

技あり!ソース焼きそば・レシピ


【材料】

豚肉(薄切り)

ピーマン

もやし

中華麺

サラダ油

水 少々

ソース(オ◯フク お好みソースがお薦め)

オイスターソース


【手順】

1.豚肉は一口大、ピーマンはヘタと種をとって千切りにする。

2.油を熱したフライパンで豚肉を炒め、しっかり火が通ったらピーマンを入れる。

3.中華麺はレンジで30秒ほど温めてから入れる。水を少し入れるとほぐれやすい。もやしも入れて炒める。

4.ソースを絡める。オイスターソースも隠し味程度の量入れる。しっかり味が絡んだら完成。

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