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般若~波羅蜜多~……何だっけ?

中々話が進まない……謎。

 



 私がフラフラと城門を出て、眼下に広がる城下町に向かおうとすると、背後から男性の声がする。


「お待ちくださいっ!女性が一人で町に向かうのは危険ですっ!馬車を御用意させますので、しばしお待ち下さいませっ!」



 その声を聞いて勇気が湧いてきた!私の他に徒歩で、町に向かおうとする豪気な女性が居るのかっ! 良ければご一緒したいな?


 そう思い振り返るが、私以外に女性は居ない。

 ついでに先程聞こえた、声の主である男性もパッと見居ない。


 頭にクエスチョンマークが浮かぶ。


 あるぇ? まさか……今の男性の声って空耳だった?だとすると、やっばいな……あ、あんなにハッキリと聞こえたのに……コワッ……。


 王城で亡くなった男性の幽霊とかかな?ホラー系は余り得意では無いし、早くこの場を離れよう。


 恐怖に後押しされて、セカセカと速足で歩いて居ると、今度は後方からガラガラと何かが凄いスピードで近付いて来る音がする。


 こ、これは……幽霊が近付いて来る音だろうか?

 気になる……しかしこういったホラーの定番で、気になって後ろを振り向くと、幽霊と一緒にあの世に連れていかれるんじゃ無かったっけ?


 どうする? どうすんだよ? やっぱ王城で大人しく地下牢に入っとくべきだった?


 更にガラガラヒヒーンと、聞こえてきた。


 ん? ちょっと待てよ?ヒヒーン? ヒヒーンって、それ馬の嘶きじゃね?

 冷静に考えたら……幽霊がガラガラなんて音を出すだろうか? しかも現在は真っ昼間だ。



 若干の落ち着きを取り戻した私の横を、ガラガラと異常に豪華な馬車が追い越して行く。


 おっふ。恥ずかしい……。ただの馬車じゃん!しかも追い越してったよぉ~。

 私はどんだけ恐怖に脳をヤられてたんだろうか。


 しかしホッとしたのも束の間、何故か追い越してった馬車が少し行った先でピタリと停車している。



 何故そこで止まる?



 真っ昼間に出るセオリー破りの、幽霊馬車とかか?

 流石異世界っ!地球人の矮小な脳では、想像のつかない斬新なホラーだ。


 ここは町へ行く為に、進か?それとも安全を記して戻るか?

 私が究極の選択を迫られていると、豪華な馬車から人が降りて来た。

 私はその瞬間、日本人の習性に従い、大きな声でお経を唱えてしまっていた。


「般若~波羅蜜多~えっと…色不異空~空不異色~色即是空……………………」


 あれっ?これで良かったんだけっか?何か色々飛ばしたような……しかし…まあ、般若波羅蜜多~だけリピートしてりゃ、何とかなるかっ!!


「般若~波羅蜜多~般若~波羅蜜多~般若~波羅蜜多~」


 薄目を開けて、幽霊とおぼしき人物を確認すると、メッチャポカン顔で私を凝視してやがるっ!

 やはり異世界っ!地球産の除霊方法では、昇天なんかしてやるかって、言うことか?


 ちくしょうっ!ここに御札があったら……悔やまれてならん!


 私は地面に両手をついて、降参の…そしてお許しをのポーズを取る。


 そう、ジャパニーズDOGEZA☆だっ!


「さぁーせんしたっ!まだ私は死にたくないので、どうかこれで勘弁して下さいっ!」


 DOGEZAと共に、コッソリと王城でくすねてきていた、キャンディを賄賂にする。

 しばらくして、私の方に慌てて近寄ってくる幽霊の男性。


「あっあの……。お顔をお上げ下さい。誰かと勘違いなされていらっしゃる様ですが、私はただの門番ですので」


「なっ…何ですと?幽霊じゃ無かったのか~。あっ!確かに足があるねっ!」


 私は男性の足を掴みながら、立ち上がる。


「幽霊だと思われていらっしゃったのですか?そうてすね……確かに幽霊には足は御座いません。私はこの通り足は御座います……」


 男性は安心させる様に、地面で足をトントンと数回蹴った。


 うん。こりゃあ…間違いなく生きてますな。

 本当にホッとしたよ。


「それで……私に何か用ですか?」


 まぁ用がなきゃ、私の進行方向に馬車を止めないよな?


「ええ、そうですね。貴女様に先程お声を掛けたのですが、気付かれなかったので、追いかけて参った次第で御座います!」


 あっ?あっと……あれか?最初に聞いた男性の声。

 あれ、私に声を掛けてたんだ~。


「でも……何故私を追いかけて?」


「いえ、その…陛下と仲睦まじく会話されて居たのを、拝見してとても仲が宜しいので、もしや陛下の愛しき方かと………」


 この人の目は節穴か?


 あのやり取りを見て、どうしたら私とあの脳内お花畑が仲睦まじく見えるんだ?

 眼科へ行く事をお進めした方が良いんじゃないだろうか?


「そんな関係じゃ無いです!」


 全くの誤解なのでキッパリ否定してやった。

 すると男性は、驚きながら私に謝って来た。


「ええっ?そうなんですか?私はてっきり……」


 うん?てっきり……何なんですか?私が本気で射殺しそうな眼光で睨み付けると、それっきり門番の兵士は喋らなくなった。アッハッハッ!いやあ、誤解が解けて良かった良かった~。えっ?無理矢理黙らしただろって?その辺は気にしないで宜しいっ!


 じゃあ、もう行っても良いですよね?

 これ以上深く聞かれると、要らん事までペロッと言っちゃいそうだし。投獄されてたとか投獄されてたとか投獄されてたとか、ね?


「じゃあ、そろそろ私は町に行きたいので、失礼します~」


 男性の脇を通って、歩き出そうとすと、男性に腕を掴まれた。


 はっ?もしや……もと囚人ってバレたのか?

 って思ったが、どうやら杞憂だったみたいだ。


「勘違いしたせめてもの罪滅ぼしです。この馬車にお乗りくださいませっ!」


 う~ん。腕をガッチリ掴まれてる。

 こりゃあ折れないな、この人。


「じゃあ……お言葉に甘えて、御願いします」


「畏まりましたっ!」


 こうして私は豪華絢爛な馬車で、城下町に降りる事になったのであった。






次回もサービスしちゃうからね☆

見所を擬音で見せちゃうZO☆


ほれチラリ!


やれポロリ!!


おまけだベロベロベロベロ~!!!






冗談です。



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