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王の脳内は、現在絶賛お花畑!

いずれ手直しを……と、思っております。




 こうして私とアゼルさんは地下牢から、釈放された。そして釈放されると、先に釈放された人たちと同様に、出たくないな……と、思ってしまったのであった。すっかり怠惰なニート生活が気に入ってしまったみたいだ。


 ダメダメ!!シャッキリせんと!


 アゼルさんは即時釈放……。息子さんに任せてあった領地に帰るそうだ。

 2年ぶりのシャバだそうで、目にうっすら涙を溜めながら、私と固い握手をする。

 そしてもし良ければアゼルさんの領地で暮らしてみないかと、誘われた。


 まあ……必ず1回は顔を見せに、アゼルさんの領地であるフェノメーテル領に赴くと、約束をした。

 フェノメーテル領と言えば、誰でも直ぐに分かる大きい領地だそうで、辻馬車の御者に聞けばどの馬車に乗れば良いのかも、教えてくれるそうだ。


 嬉しそうに手を振って王城から、出て行くアゼルさんを見つめる私を見つめるウザい奴がいる。


 そう、皆さんお察しの通り、エイアスです。


「もう良いだろっ!アゼルは釈放したし……早く…早く聞かせてくれっ!」


 コイツ…何かヤバイ薬の中毒者みたいだな?

 早く早くと目をギラギラさせて、私の周りをグルグル回る……。恋って人をこんなにするのか……怖ろしい。


「分かった、分かったから……ハウスッ!!」


「ん?ハウスって何だ?」


「いや……何でもない」


 ヤベェ…つい私の周りをグルグル落ち着かない様子で回るから、昔飼っていた犬のコタローの躾を思いだして、ついハウス!って言ってしまったなんて……流石に言えない。


「なぜ教えない?どういう言葉か、シオリに聞くぞ?」


 それで脅してるつもりか?反撃してやろう。


「シオリに聞いたら、まず間違いなく彼女が貴方を嫌いになる言葉ですが?」


 私がシレっとそう言うと、途端に黙り込むエイアス。

 うん。扱い方が分かると、メッチャ扱い安いな……コイツ。流石は最強チョロインだ。


「………ん?待てよ……シオリに嫌われる言葉という事は、良い言葉では無いな?」


 くそっ!変なところは鋭いな。そこは気付かんでもよろしいっ!!


「あ~あ!そろそろシオリの好きな男の情報を言いたくなって来たな~?」


 そう言いながらチロリと、エイアスの方を窺うとピタリと詮索を止めた。

 よしよし、躾がいがあるな。本当に犬みたいな奴だよ。


「そっ…それで…シオリの好きな男は………」


 う~ん。多分雷の事だと思うんだけど……まあ、違ったら違ったで私には不利益は無いし、いっか。


「えっと……。寂しがりやで甘えたで、いつもボンヤリしている……かな?」


 改まって聞かれると、それぐらいの情報しかないな。


「うん?何だそれは?そんな情報しか持って無いのか、貴様は………」


「では、どんな情報をお望みで?」


「まずは身長と体重だ!」


「確か……身長は168cmで、体重は50㎏だったかな?」


「低いし、細いなっ!因みに俺は身長192cmの体重は85㎏だっ!筋肉は結構重いんだぞ?」


 ふ~ん……長さと重さの単位って、地球と同じで通じるんだ。良かった……。


「後は…好きな食べ物と嫌いな食べ物だっ!」


「好物はチーズパンで、嫌いなのは辛い食べ物」


「俺もチーズパンは好きだし、辛い食べ物も食べるぞっ!因みに俺の好物は香辛料をタップリ効かせた肉だ!嫌いな食べ物は不味いものだ」


 エイアスの奴……自分の情報を雷の情報に張り合って私に言って来なくても、良いんですけど?知りたくも無いし、ね?


「それと外見は……?容姿はどうなんだ?」


「一言で現すのならば、可愛い系……」


「男に求められるのは可愛い……よりは、格好いいの方が上だよな?」


 な?って、私に同意を求めんなよ。シオリの好みの問題だろ?そんなの知らんがな。


「あ~ハイハイそうなんじゃないっスかねぇ~?」


 もう面倒なので、適当に相槌だけしとこ。


「貴様っ!その態度はなんだっ!俺が恥を偲んで頭を下げて聞いているのに………」


 おい?お前がいつ私に頭を下げたよ?ただのギブ&テイクだろっ!しかも私に頭を下げるのを、サラッと恥って言ってやがる。

 これだから恋に惑う脳内お花畑野郎は相手にしたくないんだよっ!


「そろそろ良いですか?」


「はっ?まだまだ貴様には聞きたい事が………」


「そろそろシオリが今日のお務めを終えて、神殿から戻ってくるのでは無いですか?」


「なっ……なぜ貴様がそれを?」


 なぜって?愚問だな。そりゃ、その神殿の関係者が毎回牢の中に居る私に、得意気にペラペラと喋って来たからさ?聞き流してたけど、流石に何度も繰り返し同じ話をされたら、覚えちゃうでしょ?


 私は驚くエイアスに、ニタリと悪質な笑みを浮かべると、エイアスは勝手に納得したらしく、去り際に「無礼な上に気味の悪い奴……」と、言いながら去って行った。

 神殿にシオリを向かえにでも行くんだろ。甲斐甲斐しい事だな。




 その場にポツンと一人残された私は、これからどうしようかと考えた。


 このまま城に残るのは悪手だ。また投獄されかねない。(若干それも良いなと考えたのはナイショだ)


 エイアスの奴にも、このまま城に残るとは言って無いし、私が居なくなっても別にそこまで心配とか……無いだろうしな。



 よっしゃ!王都に降りて生活してやるか?


 言葉も通じるし、問題ないな!異世界の生活ってどんなのだろうか?オラ、ワクワクすっぞ!!



 私が一人城門で握り拳を作ってニヤニヤしているのを遠巻きに見ていた門番は、こう思っていた。


 あの尊大な王と、こんな場所で対等に話し合い、無礼な振る舞いをしても、投獄されない彼女は王にとって特別な人物だと、勘違いしていたのであった。






乗ってる時に書かないと、書かなくなる……の、法則。

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