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オリジナルマスター   作者: ルド
魔法使いの出会いと再会。
96/265

第9話 逆鱗と未完。

年末の更新三回目になります。

今年の本編更新は、これで最後になります。

『氷のナイフによる奇襲か』


サナの氷魔法で場内が煙立つ中、ジークが冷静な口調で仕事である解説を行なっていた。


『普通なら効果的で良いと思うが、この場面だとなぁ』

『何かマズイですか? 私的には十分ありだと思いますが』


誰から見ても上々な場面である筈が、少々辛口なコメントのジークに不思議そうに尋ねるカリア。戦闘方面はあまり得意ではない彼女から見ても、サナの行動は良策であったと思われたが、ジークは違った。


(ちゃんと説明出来るか自信がないが、まぁ、それらしく言えば大丈夫だろう)


何か難しいそうな顔をして、カリアや周囲で疑問を浮かべる者達になるべく分かり易い言葉で、かつ試合の動きを考慮して短めに説明した。


『一言で言うなら狙った両者。……相手が悪かったな』

『……え』


簡単な説明かと思えば、ますます分かりづらくなったカリア。いったいどういう意味か改めて問い掛けようとした……次の瞬間。


「ルールブ姉か、よくも邪魔したな……!」

「まったくこれだから後輩は、僕の戦いに割って入いるとはいい度胸だ」


煙が晴れ、最初映ったのは二人の男子生徒。

先ほどまで戦っていたガルダとトオルである。サナの攻撃が全然効いてなかったのか、ホコリなどの汚れがあるも、二人共大した怪我もなく、苛立ちな目で少し離れた場所にいるサナを睨みつけていた。


「───っ」


両者共、怒りのオーラとも呼べる闘気を身体中から噴き出しており、その気迫は奇襲が上手くいって嬉しげな笑みを浮かべていた、サナの口元を引き締めるには十分なものであった。


ちなみにミルルを含めた残りの参加生徒達は、未だに動かず様子を見ている。というよりもミルル以外の二人の男子生徒は、単に変わっていく戦況にただただ立ち尽くしているだけであったのだ。


まだ始まったばかりであるが、既に場内におけるそれぞれの力量の差が、ある程度理解できる光景であった。


『す、スカルス先輩、あれは……』

『戦いの美学とでも言うべきか、たぶん似てると思うんだようなぁ、あの二人は』


不機嫌面でサナを睨みつける両者に実況のカリアが戸惑い、言葉を失いかけるが、隣のジークがフォローする。ちょうどいいタイミングなので、先ほどの説明の続きを口にした。


『ああいうタイプは、自分の戦いを邪魔されるのが一番嫌なんだ。その証拠に二人してご立腹顔だ』


アハハと軽く笑ってそう言い終えるジークだが、聞いていた者達からしたらどこに笑い箇所などあったかと疑問を覚えて冷や汗を掻いてしまう。


『こうなるとヤバイかもなぁ、サナの奴』


かつての友人の危機(ピンチ)であるが、彼の声音は楽しげである。なかなか見られるものではない三者の対決につい見入ってしまったジークである。欲を言えば、様子を見ているミルルも参戦してはくれないか、と期待してしまうジークであった。


『お』


そこで場内で動きあった。

不機嫌面であったガルダが今度はトオルよりも先に駆け出した。


「お、オイ!?」

「貴様の相手はあとだ」


ガルダの行動に驚くトオルを置いて、標的をサナに切り替えた。


「貴様から排除しよう」

「っ、ガルダ先輩!」


強化した身体能力によって一気にサナに詰め寄るガルダ。

拳を握り締め、邪魔した愚か者に鉄槌を下そうとした


それに対しサナは近付かせないよう、魔力を練り上げて妨害を実行する。


「させないわ『氷の地表面(アイス・リンク)』!」


得意の氷魔法で地面を凍らせて歩行を乱す策に打って出た。

サナは直感で感じ取っていた。ガルダ相手に接近戦では勝ち目がないことを。


「『氷球(アイス・ボール)』!」


さらに妨害レベルを高めるため、前後左右から氷球を操作状態で放った。


(この人を倒すなら全力全開でないとダメだわ! 倒せれるぐらいの魔法が組み上げれるまでこれで……!)


敢えて低級魔法を無数に放つことで相手に行動を制限し、サナは威力のある上級魔法を準備を取り掛かっていた。


「く……」


地面が滑りやすい。サナの魔法で足場が安定せず、膝をついてしまうガルダ。

サナに向かって駆け出した反動もあってか、膝をついた後の動きが遅くなっていた。


「そこっ!」


サナはこの好機を逃しはしない。放出した全魔法球を操り翻弄して、


「───凍る氷風よ、猛の威風にて……」


「! その詠唱は」

『Aランクの……』


詠唱を唱え出すサナに、魔法球に邪魔されイラだっていたガルダと解説のジークが呟きを漏らす。


しかし、彼ら驚くのも仕方ないことであった。

なにせ今彼女が発動しようとしていたのは、本来学生には身に余る領域……最上の一つ、Aランクの魔法であるのだから。


「『凍氷の暴風(フリーズ・テンペスト)』っーーー!」


未だに動けずにいるガルダ目掛けて放ってみせた。


「───」


四方から魔法球に狙われているガルダに新たなサナの攻撃が襲いかかる。体勢もまだ覚束ない状態の彼にこれ躱すのは容易ではなかった。


だからガルダは回避を捨て、全て攻撃魔法を叩き潰すことにした。


「ふんっ」


まずガルダがとった行動は周囲から迫り来る氷球に対してであった。鬱陶しくもハエのように飛んでくる氷球の動きを先読みして、まとめて払い除けた。


先ほどまでとはまったく違う、速い動きで的確に。


「っ!?」

「これが噂に聞いた《氷姫》の魔法か、精密性はあるが、威力が足りないな。────そして!」


上位魔法を放った状態で動揺の色をみせたサナに向かけて、ガルダは淡々とした口調で言い、魔力を込められた拳を握り締めて正面からくる『凍氷の暴風』に向かって、


「ふッ!」


勢いよく殴ってみせた。

その瞬間、サナの『凍氷の暴風』に力と魔力の衝撃が走り、壁にでも激突したかのように膨れ上がると、そのまま破裂するようにして掻き消されてしまった。


「そ、そんな……」

「詠唱で補助して発現させたようだが、まだまだだな。Aランク魔法にしてはあらゆる面で足りな過ぎだ」

「──っ!」


上位魔法を破ってみせたにも関わらず、微塵もやり遂げたような表情をしないガルダは、寧ろ残念そうな声音で、打ち破られて愕然とするサナに言った。言われてしまったサナは悔しげな顔でガルダを睨むしかなかった。


『す、スゴイですガルダ先輩、まさか上級魔法を強化したパンチで吹き飛ばすなんて……!』

『そりゃできるさ。あんな未完な魔法(・・・・・・)じゃ、先輩なら防御だけでも耐えたと思うな』

『え、未完? どういうことですか?』


驚きの顔をするカリアの隣でジークが困った顔をしていた。


『ガルダ先輩の得意魔法は硬化だ。今みたいに正面からダメージを与えるのなら、確かに上位魔法を使うのがいい。……が、それでも』


身体強化に硬化魔法で頑丈になったガルダには、未完成な『凍氷の暴風』は効果はなかったのだ。


『威力もそうだが、魔力操作もガタガタだ。俺もそれほど魔力操作が得意な方じゃないからあんまり強く言えないが、アレなら普段使ってるヤツを使用した方が良かった』


サナなりに色々と対策を打った上で発現させたが、それでも見た目だけという印象がジークにはあった。なんとか形だけは似せてみせたが、それ以外がまだ脆過ぎた。


「解説者の奴に賛同するのは不本意だが、そういうことだルールブ。貴様にはまだAランク魔法は早すぎた」

「くっ……!」


悔しげな顔のままサナは二人に言われて……内心少し泣きそうになっていた。


「……では、覚悟してもらうぞ?」


そして慣れない足場に苦戦していたガルダは、遂に攻略するべく魔力を通した足で上手く相殺し、滑りを無くすこと成功したので、サナのところまであっという間に駆け抜けた。


「な!?」

「はっ!」


目を見開くサナ目掛けて接近したガルダが蹴りを入れた。

強化され、頑丈になっているその足は咄嗟に、間に挟んだ氷の障壁を易々と蹴り破り、サナに─────とそこへ。


「オレがいるんですがっ!」


蹴りが直撃する直前、ガルダの背後からトオルの攻撃が迫る。


先程のサナと同じように、トオルもサナとガルダが攻防する中、様子を見ていたのだ。


(隙有りだ! 『五式・火閃』ッ!)


サナを倒すべく、彼に背後を晒したガルダにトオルは、長刀の横薙ぎで火の剣術で斬りにいった。

中途半端で終わってしまい申し訳ありません。

おまけ編は5時ごろに出したいと思います。宜しくお願いします。

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