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オリジナルマスター   作者: ルド
魔法使いは巻き込まれる。
59/265

第10話 忠告。

中途半端な時間での更新ですみません。

とうとうPV総合が300万を超えました!

ブックマークの登録数も9000を超え評価数も147人に上りました。


嬉しい限りです。これからも頑張っていきたいと思います。


修正。

────《黒蛇》のクルドル・バイソンのことだよ。四年前の大戦時、聖国側で戦って終盤で裏切った。


リナがそう口にした時、ジークの脳裏であの男の言葉を。


人を傷つけること。人を殺すことを嫌っていたあの優しい心を持った彼の心を。


ジークの心を黒く染めることとなる原因をつくったあの愚か者の言葉を思い出す。


『俺たちは仲間だっただろう!?』


最後の奥手を見事に破られたバイソンは、散々好き勝手しておきながら、見苦しくも命乞いをしてきた。


『し、仕方なかったんだよっ! 頼む見逃してくれ!!』


地べたに伏せて何度も頭を下げ、涙を流し鼻水を垂れ流し怯えきった顔でジークに懇願する。


だが



『まさかあのガキがああなるなんて思わなかったんだよ!?』



自分のせいじゃないと聞こえるその一言が。


『大人しく捕まるから勘弁してくれっ!』


───彼の運命を決定付けさせた。



『や、やめろ……! くるな……!』


ジークはゴミを見るような目で彼を見下ろし、そして───


『死にたくない! 死にたくないんだよっ!!』


彼の醜い心を────殺したのだった。


(あいつを殺した(・・・)あと、顔を変えて引き渡したんだ。知ってるのはシャリアとキリア以外に居ないしあの二人が情報を漏らすなどありえない)


あの男に関する情報が漏れるなどある筈が───とジークは考えたが。


(いや、俺があいつを見つけたのは偶然だ。なるべく人を避けるようにしてこの街で身を潜めていたようだが、奴の噂が流れ出したのは俺が入学してすぐでそれ以前はなかったと聞いた)


そう考えるのならパイソンはジークとほぼ同時期にウルキアにやって来たことになる。


(あれほど身を隠すことに躍起になっていた奴がリスクを承知で別の誰かに正体を明かすか? アイリスを狙ったのだって結局は自分の身の安全を得るための苦肉の策だった)


パイソンが犯した罪は重罪である。

そして大戦終結後、彼は各国から指名手配されてしまい、おそらく毎日が地獄のようなモノだったはずだ。


(一年前の時でもまだ凄い額の懸賞金が懸けられてた。捕まったら酷く意味のない拷問をされて死刑行きが確定していた。……他人に正体を明かすなんてあのビビリがする筈がない。この子、どこでその情報を────まさか)


奴の逃走を手助けした協力者が彼女の身近にいるのかとジークは思考を巡らせたが。

と考えると真っ先に思い浮かぶのが彼女───彼女達の父である《金狼》 ゼオ・ルールブだ。


元・エリューシオン騎士団副団長であり、世界でも数本しか造られてないという十二星の《最上神獣級》の魔物《王獣》シリーズの【牙】を持ち。そしてジークも興味が尽きず護衛依頼を引き受ける理由となったあのオリジナル魔法の所有者だ。


────が、今回に限ってはその可能性は薄いとジークは思い直す。


(流石にそれは考え過ぎか、《金狼》の黒い話ならいくつか知っているが、それでも国を裏切った奴に手を差しのべるとは考えにくい)


ここまで推理しても答えが導き出せない。

ジークは頭を振って一度思考をクリアにすると、なぜか酷く青ざめてるリナに向き合うことにした。


先ほどからジークが聞いているのに口を半開き状態のままなにも言おうとしない彼女。

そんな彼女をいぶかしげに見るジークだが、ふと、彼女を見てなにか違和感を覚えた。


(なぜ何も言わない──ん?)


とそこでリナの様子を見ていたジークが何かに気がついた。


というより自分も視て気がついた。……その瞳に僅かなであるが感情が戻った。


「───なるほど、そういうことか。喋れないんだな」

「え……」


そう言うと突然片手で目元から顔を覆い始めたジーク。

心なしか声音に沈鬱の色が窺えるような気がリナにはしたため。


(!? ち、ちが……!)


彼の発言から自分が喋りたくないんだと思われてるのだと解釈して、さらに青ざめてしまい落ち着かなくなってしまった。


ジークの表情が見えないため、どうしたらいいのか分からないリナ。

こっちはこっちでもう泣きそうな顔になってしまっている。


「油断して抑え(・・)が緩んだか。申し訳ない」


なにか納得した顔してからリナに謝るジークを見て泣きそうな表情のまま疑問符を浮かべるリナ。


「あ、あ……はぁ──」


そして気がつけば、先ほどまで彼女の心を縛っていた謎の金縛りが消えおり、自然と声が漏れ出してることにリナは緊張を吐き出すように深く息を吐いた。


「大丈夫か?」

「は、はい」


さっきまでの余裕そうな表情から一転。

完全に引き腰になって丁寧語で返事をしてしまうリナに苦笑するジーク。


(本人は興味本位で聞いたって感じだな。どうも)


原因があるとすれば余計なことを言ってしまったリナにあるのだとジークは思ったが、ここまで弱り切った彼女を見ると自分にも非があるのだと少しばかり反省してしまう。


余計な感情を湧出して反応してしまった自分も悪いと。

ジークは騒ぎ出した魔力(・・・・・・・)を抑えてながら口を開く。


「もう一度聞くけどリナ。どこでその名を聞いたのかな?」

「あ……その」

「……リナ。お前はその男についてどこまで知ってる?」


口を詰むんでしまうリナに対してジークは優しい声音で問い掛けた。


「せ、世界中から指名手配されてる重罪犯で……」

「それぐらいか……。いいかリナ。俺について幾ら詮索してもこの際構わないが───あの男に関してはダメだ。すぐに忘れなさい」


もういつものような笑みはジークにはなかった。

優しく哀しげな表情となりリナを見つめそう忠告するジーク。

リナはただ口を紡ぎジークの言葉に耳を傾ける。


「君が思ってるよりもその人物は危険存在だったんだ。あの件では奴の正体が露見されなかったこともあり大騒動には繋がらなかったが、万が一君が知ってるとバレたら危険だ。例え貴族でも身柄を捉えれて尋問されて────それはイヤだろう?」


スラスラと話していくジーク。

もうこの時点でジークが只者ではないとリナは確信していたが、ジークの話を聞いていくうちにそんな思考など消えてしまい、代わりに自分がとんでもないことを知ってしまったのではと再び青ざめてしまう。


「は、はい……!」

「じゃあ聞かせてくるかな? どうやって知ったの?」

「……朝、通学中に話した新聞部の友達……」


一瞬なにを言っているんだとジークは思ったが、彼女の辛そうな顔を見て本当なのだと理解した。


「一応名前を聞いてもいい? 出来ればその子が知った理由についても」


多少言いづらそうにしていたリナであったが、先ほどのジークの不気味さと自分に起きた不可思議な現象と思い出す。


自分が危険なところまで踏み込んでしまっていることを再認識したこともあり、抵抗は少しあったがジークに全部話すことにした。



◇◇◇



「ハァーなるほどカリア・ネイル(・・・)か」

「う、うん」


ぼそりと呟くジークにぎこちない事をするリナ。どこか落ち込んでいる気がするのは気のせいではない。

結果として友達を売ってしまったという事実に鬱な気持ちになっていた。


「そう気落ちするな。幸か不幸か調べたのがそいつならどこから漏れたか大体検討はつく……が」


流石にこれは説教程度は済まされないだろうなぁ、と心の中で呟きながら、今度ギルドに行った時に告げておこうと決めた。


「知ってるのはその子一人で間違いないんだね?」

「それは間違いないよ。カリアさん新聞部員に頼れなかったってごねてたから」

「そうかぁ」


それを聞いてとりあえず安堵したジーク。

まだ全然安心は出来ないが、調べた彼女もある程度はこの情報の危険性を理解していたと察した。


「この件はこっちで預かるから、今日はもう帰りなさい」

「え?」

「俺はこれから明後日にある予選の対策と準備をしたいんだよ。……それに予定も増えた。とにかく君はギルドからなにか言われるまで大人しくしていなさい」

「あ、……はい」


有無言わせないジークの台詞にリナは頷くほかなかった。

本音では先ほどの質問に答えて貰いたかったし、あわよくば彼のもう一つの正体であろう《真赤の奇術師》ジョドについてやアイリスことも聞いてみたかったが。


自分達のが仕出かしたことが自分達の要領を越える事態なのだと理解して、彼女は後ろ首を掴まれた気分で素直に言うことを聞くことにした。


「それとリナ。先輩として一つ忠告しておくけど」


とそこで、寮に戻ろうと椅子から立ち上がったリナに向かって、こちらは座りながらであるが見上げるようにしてジークが口を開いた。


なんだろうとリナはジークを見ると─────再び謎の金縛りに襲われ今度は息も苦しくなった。

戸惑うリナにジークは今で見せたことのない鋭い目つきでリナを睨みつけ。


「好奇心と無鉄砲は違うぞ? ────死にたくないならこれ以上関わるな。いいな?」



───魔物すら殺せそうな強烈な殺気を籠もった瞳でリナに告げたジークであった。


第一章の6話までは一応修正を終えました。

まだ不快となる文章であると思いますがどうかご了承くださいますようお願いします。


ではまた次回で。

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