表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オリジナルマスター   作者: ルド
魔法使いは巻き込まれる。
57/265

第8話 風紀委員と禁句。

スミマセン最近修正が全然出来てません。

どうも眠気と疲れが出て……(苦笑)


*感想欄に『アイリス』と『アリス』の名について何度か質問がありましたが、『アリス』はサナがつけたアダ名・愛称としてつけたものです。『アイリス』のほうが本名です。ややこしくて失礼いたしました。


*今回の『!』『?』を半角で打ってみました。これで大丈夫か分かりませんが、これからかは、なるべくこうしていきたいと考えています。感想欄の意見を参考にしてみました。ありがとうございました。


修正。

「テメェ最近調子に乗ってねぇか?」

「なんだ朝のアレは? ぜんぜん懲りてねぇじゃん」

「マジでくたばりたいらしいな」

「どうだった年下に抱きつかれた気分は? リナさんはどんな匂いがした?やっぱ良い香りだったかの!?」

「殺殺殺殺殺殺」


人気(ひとけ)のない校舎の端に連れて来られたジークに待っていたのは理不尽な罵倒の数々であった。


(君ら一体俺に何を言わせたいわけ? 対策練りたいから早く帰りたいんだけど)


など心の中で言っているが、口にはしないでおく。言ったら間違いなく暴動が起きるからだ。


「乗ってますかな? 自分としては巻き込まれた感があるんですが」


なのでジークなりにではあるが、言葉を選び慎重に回答ことにした、笑みも少々。



「ハハハハハっなるほどな、巻き込まれたか───────ふざけんなアアアアッ!!」

「「「「ブッ殺すぞコラッ──!!」」」」


(理解力が乏しい獣か!)


だが、残念ながら返ってきたのは、もはや人間とは呼べない理性を失った獣の怒声である。

スキンヘッドの先輩筆頭にボロクソ言われたジークは無言になってしまった。


(ちょっと過激すぎませんか? なんか普段相手してる高レベルの魔物と同格の風格があるんだけど)


あまりの周囲の反応に若干引いてしまっていた。


(さて、トオルの予想通りの結果だし。......ふふふっ、ならば久々に見せようか? 俺の逃げ技(究極秘技)をっ!)


と、ジークが逃避を企んで(考えて)実行しようとした……その時だった。



「貴様ら騒がしいぞ。いったい何をしている」



喧騒する場に威圧的な声が響いた。



「あ? っ、テメェは!?」


先ほどまでジークを罵っていたスキンヘッドが声の主の立つ方を向き、唸るように声を出すを見てジークも釣られるように視線を向ける。


(うげっ)


顔には出さなかったが心の中でギョッとした声を出すジーク。


ジークの視界に映ったのは小さな男子生徒である。


「僕の前で風紀を乱すとは……良い度胸だ」


名はジル・ガルダ。高等部三年でありウルキア学園でも優秀な分類の人間である。


(なんでチビ先輩が────って危なっ! この人の前でそれは禁句だった!)


それと小さい(・・・)ことについては深く考えると、あとが怖いので思考から外すジーク。


(この人も面倒だからな。怒らせると)


「貴様らは……」


薄い灰色の髪をした少年がジークを囲む生徒たち(群れ)とその筆頭(親玉)を見据えていた。


「……」


その状況で一度だけジークを一瞥しただが、軽く視線を逸らしてスキンヘッドの男子生徒へと向けると、声の主は周囲の生徒たちを見渡しながら口を開いた。


「ハァ、また貴様かルーザ・ルータス。まったく、貴様には学習と言う言葉は無いのか? それともその程度の知識が最初からないのか? よく三年まで進級できたな」


嘆息混じりにそう言うジル・ガルダ。


実は彼はこの学園の風紀委員である。

ウルキア学園の風紀委員は簡単に言うと、魔法暴動鎮圧部隊のような物だとジークは考えている。


(いや、鎮圧部隊というか、強襲部隊の方が合ってる気がする)


学生同士のトラブルによる魔法戦や実験や練習で暴走状態となった魔法を抑え込む集団、それが風紀委員、他にも普通に学園の風紀を取り締まったり、学園内での活動に対して生徒会と一緒に務めたりもしている。


(何処の軍団ですかって話だよな。もう風紀委員会とか関係ないよ)


あと付け加えとおくとジークが風紀委員に絡ま(補導さ)れた回数は三十一回である。……かなりの回数でご厄介になっている。


ちなみにジークが途中で逃走した回数は十回以上であり、その後改めて捕まって反省室コース行きとなった回数も十回以上。当たり前であるが。


(あの先輩はマジで冗談が通じないから。下手に誤魔化すと余計に厄介だぞ。そこのツルツル先輩さん?)


なので風紀委員の彼とは良い思い出がない、良い思い出より嫌な思い出しかないジークの心境は大変嫌な気分状態であったが、どうやら今回の彼の標的となるのはジークに絡んできたスキンヘッドのようだと彼は解釈した。




...........が、ここで肝を冷やす事態が発生する。




「あぁっ⁉︎ テメェみたいな良い子ちゃんがオレに命令すんじゃねぇ! ─────この《《チビ》》風紀委員がっ!」

「「「「──ッ!?」」」」

「......バカやん(ボソリ)」


馬鹿にするように口走ったスキンヘッドことルーザ・ルータスにギョッとした顔をして蒼ざめる他の生徒たち。


そしてその横でボソリとジークが何か言っていたが誰も聞いていない。


(死んだな)


ついでに心なしか額に冷や汗を流してるジークだが、それについても気付かれてない。


───チビ風紀委員。ルーザにそう言われた瞬間眉間をピクリと動かしたジル・ガルダ、それを見た周囲の生徒たちが恐怖のあまり後退りし始める、それは禁句だと知っているからだ。


───現れた彼には。


(おお怖、オワッタなあのハゲ)


表情は微笑であるがジークも心の中でスキンヘッドを呆れた声音で小馬鹿にしていた。


そしてチビ風紀委員と馬鹿にされたジル・ガルダは、眉間をピクリと動かした後、少し目を瞑り間を空けると。


「これは命令じゃない注意だ、風紀委員として当然のな。......それと僕は────」


俯いた状態で口を開き、感情を抑えた声音でそう補足すると。





数秒の間のあと、彼は激しく歯切りし血走った目となり。




「チビじゃない......。少し遅い成長期だァアアアア─────ッ!!!」



感情を爆発させ、怒りのままにスキンヘッドに向かって怒声してぶつけた。




そして同時に灰色の魔力を体から放出した。





「おお……!」


軽くジークが感心した次の瞬間、彼の周りでいろんな人の悲鳴が響き渡った。



◇◇◇



「───助かりました。って言った方がいいですかね?」

「必要ない。ただの暴力だ」

「いや、百歩譲って助けるための処置ということにしてくださいよ」

「貴様に助けるなど百歩どころか、千歩譲っても絶対しない」

「あははは……。手厳しい」


あの後起こったあまりの一方的な制裁行為にいつもは他人事のように流しているジークが珍しく気遣いをしてしまうほどであったが、当の制裁行為を全開でしたジル・ガルダは特に気にしない風でジークの案を突っぱねた。


「貴様がそいつらに何をされそうになっていたか、大体検討はつくがそれと僕がしたことはまったくと言っていいほど関係のないことだ。風紀委員でもあるんだ。しっかり責任はとる」


毅然とした面持ちでジークに言うジルであるがジークは頰をポリポリと掻いて気まずそうに。


「そんなに責任感があるなら最初から殴らなきゃ良いのでは? ある程度罵倒はガンマンしたほうが」


あまり口を挟むとよくないと分かっていても、どうも口挟まずにいられなくなったジークがそっとした様子でそう言ってみると。


「それは不可能だ。風紀委員は感情のない団体ではない。貴様らと同じ生徒だ。怒る時は怒る。だが僕の場合はその沸点のラインが特殊でな、大抵の罵倒なら流せるが……アレだけは無理だ。もし教師たちから言われても我慢出来る自信がない。迷わず殴り飛ばす方に賭ける」


言いながら思案するジルであるが、背丈関連では我慢不可という結論だけが残ったことにジークは。


「まあ人は誰しも許せない一線って物がありますからね。俺の場合は我慢出来ない言葉というか許せない状況、場面がありますし」


それが殺すことだとは決して言わないが。

彼の場合それを目撃した自分がどこまで感情を抑え込めれるかが怪しいのも理由であるが。


「それで一応礼を言わせてください。助かりましたガルダ先輩」

「ふん、礼は不要だ。もし貴様に求めるなら僕の選択肢は謝罪一択だ。何度補導されれば気が済むんだと、少しはこちらに気を遣えと」


ジトとした目をしながらそう無感情で口にする。


「あははは……。いろいろとご迷惑をお掛けしました」


低姿勢で謝罪するジーク。額から先ほど以上に汗を掻いている。これについても思い当たる節があり過ぎるから。


「ここに風紀委員長や副委員長がいなくて助かったな。居たら彼らを鎮圧するついでにボコボコにされてると思うぞ?」

「あ……ご機嫌悪いんですかあのお二人?」

「最近仕事が忙しくってな。ここ数日生徒会の者たちも含めて場の空気が張り詰めているんだ。もうすぐ行われる大会の対策や予選会の準備を……」


と疲れた声音で口にしていくとジルがふと口を閉ざして、思い出したかのようにジークに問う。


「そう言えば出るそうだな? 魔導杯の予選会に」

「ん〜まあ」


知っていてたのかと少し思うジークだが、彼が風紀委員であり今魔導杯について口にしていたので知っていても不思議ないと納得する。


「ふっ、それは楽しみだな。どういう心境の変化か知らないが実にありがたい変化だ。これで」


ジークの返答にここに来て初めて口元がニヤリと弧を作り、嬉しげにジークに言うジル。


(何故楽しげに……。笑みが怖いよ。笑みが怖い人って何で全員戦いに飢えてんの? 戦闘中毒神の加護でもあるのか?)


ジークは口元を引きつらせて目の前のジルそして以前戦ったダガンやかつて共に戦ったガイ。

そして修行時代、体術や剣術をジークに教えて師匠の仲間であるがその人物を脳裏に浮かべる前に慌てて頭を振ってジルに向き合う。


「で、出来れば楽しみにしないでくださいますか? なんか……あとが怖いんで」


苦々しい苦笑顔でそう頼みだすジークにジルは浮かべた笑み消さず首を横に振り拒否を示す。


「残念だがそれも不可だ。久々に血が騒ぐ……! 貴様に出る意思があると他のメンバーにも伝えおく、だから─────今度は逃げるなよ?」


────他のメンバーとは風紀委員長と副委員長のことか、と考える暇のなく。

凄みのある笑みを浮かべたジルの言葉にジークは頷く以外の選択がなかった。


(やっぱり冗談が通じない。関わると面倒な人だ)


ちなみにさっきまで暴れかけてジルに鎮圧という名の制裁を受けたスキンヘッド率いる男子集は─────全員一発KOでのびていたのだ。


報告:『戦闘狂が1名増えました。』


では、また次回で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ