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オリジナルマスター   作者: ルド
魔法使いは巻き込まれる。
49/265

第0話 各所の話。

遅くなって申し訳ありません。

新章に入りました……といってもほとんど前章の続きのような感じですが


魔法辞典が更新しました。

───前回までの話を終えて、ジークの知らないところでどうなったか。



【ケーブル伯爵】


「全滅?」

「はい。冒険者ギルドからの情報で……間違いないかと」


自分の執事からの報告に、ケーブル伯爵は自身の机で座りながら肘を掛けて、目を閉じて思案の様子で沈黙する。


ジークが《魔境会》の拠点を潰してから数時間後。時刻は昼を回った頃、ケーブル伯爵は自身が雇った《魔境会》が潰されたことを部下から聞いていた。


「《メッセンジャー》も含めてか……予想外だと言えばそうだが、ふふっ、流石は《魔女》の側近か……《真赤の奇術師》」


自分が建てた計画が潰されたと言うのに、悔しげな顔をせず、寧ろ嬉しそうで、楽しげな顔でほくそ笑んでいた。


「まあいい。ルールブの者たちを仕留めれなかったのは惜しいが、結果興味深い存在(・・・・・・)が表に出て来た。うむ、今回はこれで良しとしよう」


机の引き出しを開けて、中にある資料……《七罪獣》と《魔境会》との繋がりを示した契約書や依頼関係書を取り出す。


「……」


ケーブルは無言で紙を束ねると、火系統の下級魔法を発動。

束にした資料を全て燃やした。


この瞬間、ケーブルと《七罪獣》と《魔境会》との繋がりとなる決定的な証拠がこの世から焼失した。



【サナとリナ】


ウルキア高等部の校舎屋上である。

昼食時間、二人の姉妹が誰にも聞かれないように、ナイショ話をしていた。


「これが私が知る全部よ。……信じてくれる? ───リナ」

「うん、信じるよ。……これでつっかえていたのが少し解消されたよ」


確認するして尋ねるのは、姉のサナ・ルールブ。

妹のリナ・ルールブは頷き答える。魔境会に巻き込まれた次の日、姉に誘われて、昼食ついでに高等部の屋上に呼ばれていた。基本出入り禁止とされており、彼女ら以外には誰もいない。……中には無視する者も居るが。


早々と昼食を終えた姉妹は、ルールブ家の『原初の記録(オリジナルメモリー)』についてと、────ある者たちについての話をしていた。


「え、つっかえていたって何のこと_?」


そして、説明を終えたサナは、リナに問い掛けたのだが、彼女の予想とは少し外れ、何か妙に納得したような顔をしていた。


「リナ?」

「う、ううんっ! コッチの話!」

「そう……?」


気になって訊いてみたが、リナは慌てて首を振って答えなかった。

話を逸らしたがってるように見えたので、サナも特に突っ込もうとはしなかったが、当然彼女の反応から内心では気にはなった。


(あんまり問い詰めると嫌がれそう)


もし、しつこく問い詰めて溺愛する妹から百万が一嫌われでもしたら。そう脳裏に過ぎるサナ。


(あ、終わるわね。私)


間違いなくショックで相部屋のアイリスと一緒に寝込んでしまいそうなのでそれ以上訊かなかった。


しかし、やはり仲の良い姉妹所為だからか。そんなサナの心情を察したように、サナが切り出す前にリナが問い掛けた。


「姉様の話は理解したよ。それで姉様は───ボクに何をして欲しいの?」


尋ねるリナにサナは緊張していた所為か、思った以上にビクリと反応としてしまった。今更誤魔化すことも出来ず、狼狽顔でリナを凝視してしまう。


「ど、どうして……」

「そりゃこんな風に呼ばれて、あんな話されたら……分かり易すぎるよ、姉様」


羞恥心のラインは人それぞれであるが、今回のは相当堪えた。

妹に諭されるように言われてしまい、サナのメンタルが色々とアレな感じになって降参寸前である。


「う、う、なんてこと……」

「恥ずかしいがってるけど、そろそろ本題に入らないと昼休み終わっちゃうよ?」


姉に対して気遣いというのが存在しないのか、単に時間がない所為か、リナは羞恥に頬を染めて手で顔を覆ってる姉にテンポ良く問い掛けた。


「今になって何でこんな話をし出したか分からなくなったわ……」

「うん。散々悩んで目的が可笑しくなったのは、話を聞いてて何となく分かってたから、本題をお願い」

「そして珍しく妹が押してくるのが……何だか怖いわ。……やっぱり話さない方が良かったような?」


結局、自問自答しても答えを見つけることが出来なかった。



【シャリアとキリア】


ジークが《魔境会》の拠点を襲撃して、ダハクの部下達を『範囲指定移動(エリアワープ)』で飛ばした後の話。


突如送られた半死の《魔境会》の一員と思われる面々、それに対して慌てて処理をするギルド職員達。


ある者は牢屋の空きなどを調べて放り込んだり、ある者は医療班を読んで治療魔法を掛けたてもらったり、ある者は町の騎士団や憲兵などに情報を伝えたり……。


などなど、大忙しのギルド会館内ホール。


────そして、その職員達の長であるギルドマスター、シャリア・インホードは……突如増えた仕事量に発狂しかけていた。


「ガァアアアアア! ジークめぇええええええ!!」


吠えるシャリア。彼女が座り込む前のデスクには、山のような紙の束が……。前から見ると吠え滾るシャリアの姿が完全に隠れていた。


「これはアレか!? 嫌がらせというヤツか!? 日頃の仕返しか!?」


只でさえ最近ジークが色々とやらかした(やり過ぎた)所為で、その始末処理に手が一杯だと言うのに、……気づけば目の前でようやく半分になった仕事の山が、倍以上のお山に変わって帰って来た。


よって溜まりに溜まったストレスが遂に爆発した。

もしここにジークが居れば間違いなくストレス発散にSランク級の魔法を喰らわされていたに違いない。


残念ながら怒りをぶつけるべき相手は、まだギルド会館に戻って来てない。……ヘタすれば今日はもう戻って来ないかもしれないが。


ただ激情に身を任せて叫び出すしかなった。……目が涙目なのは仕事の疲れか、幼女の容姿と相まって、見ていて可哀想に思えてくるが……。


「叫んでないで仕事して下さい」


どう見ても子供が半泣きになって叫んでいる、良心が痛めそうな光景なのに、一切気にした様子を見せず、諌めるようにキリアが仕事を増やす。


「まだ、全員の身元が把握出来ていないんです。騎士団や町の憲兵に引き渡すにしても移送書が必要なので早く目を通して、あとこちら全部サインをお願いします」


言いながら部屋にあるソファーに座り、前にあるテーブルに紙の束を置いて手元の資料に目を通して、何かを書き込んでいる。


「あと、一部の者に賞金が賭けられた者や指名手配中の者、前科持ちなども居るようなので、そういった方の資料もまとめた方がいいかと」


紙に書き込んで、ペラペラと紙を捲り資料を読み束ねていく。


「それから手荷物の中に危険魔道具を所持している者も居たので、その魔道具の調査を随時行い報告書の作成と───「ぬぅあああああああああ〜〜ッッ!!!!」……なんですか? 急に叫んだりして、はしたないですよ?」


ブツブツとシャリアに次々と注文していくが、とうとう耐え切れなくなって唸るように絶叫した。……そんな腹から不満を爆発したような主人を見て、キリアは面倒そうに予想はしているが一応訊いてみたが。


「ぬああああ〜〜〜!ジ〜〜〜〜〜クゥゥゥゥ‼︎」


天も突き抜けんとした叫びに、キリアはサッと耳をふさぐ。念の為風魔法の防音魔法も掛けた。



「帰ってきたら、覚えとれよォォォォッッ!!!!」



憤怒の対象である友ジークに向けて、己の激情を届かせんばかりの怒鳴り声を上げたシャリアなのであった。





「……いいから仕事してください」


そんな隣で終始キリアは黙々と仕事の山を作っては、シャリアのデスクに投入して、再びお山作りへと移った。……内心、哀れな彼に同情しながら。



◇◇◇


そして、この三視点の中心にいた当の本人であるジークは……。


「う…うっ」

「さてと、始めますか」


彼の魔法で倒れ伏したダハクを連れて《魔境会》の拠点を出ると、空間魔法を使用して人外れの『森の道』の奥へと到着するや……。


貰うよ(・・・)。アンタのオリジナル」

「な、なにを────ぐっ! ガ、ガ、ガアアアアアアアァァーー!?」


ダハクが持つ『無力無価(オーダー・キャンセル)』を手に入れていた。


つなぎ合わせですね。無理矢理感が否めませんが……流してください(汗)

修正。

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