特別版『妖精天使には召喚師』と『魔神の娘には失恋者』(の予告みたいな感じです)。
【妖精天使side1】
『ワールド・カタストロフィ』
その時──世界は崩壊しかけていた。
「グゥッッッッッ! アァァァァァァァァァァッッ!!」
『ワールド・オリジン』を発動して、相殺しようとした魔導神のジーク・スカルスだったが……力が強過ぎた。
なんとか神如き魔法と千以上の魔法陣で封じ込めようとしているが、相手は魔神の究極奥義を発動している。
相殺し切れず少しずつ崩壊が広がり始めていた。
「……ダメだ。完全には抑え切れん!」
「お、お母さん……」
その様子を見ていた金髪の妖精魔女ことシャリア。と彼女を母と呼ぶ同じく金色の髪をした女性が崩壊する街を呆然と見ていた。
「……シー」
否、シャリアの方は違う。
崩壊しながらも必死に抵抗しているジークを見て、少しだけ時間は稼げれると判断。絶望で立ち竦んでいる娘の方へ体ごと向けた。
「どうしたの? お母さん?」
「シー、今から言う母の言葉をよく聞くんだ。私はジークたちと一緒にこの場に残る。戦いはまだ終わっていないのでな」
シャリアはそう言ってチラリとジークの方を見る。崩壊はまだ抑え切れていないが、徐々には威力が落ちているのが分かってきた。
最悪の事態は回避されるかもしれない。……けどこの辺りが無事である保証はない。そして彼女は此処から──彼から離れるつもりはない。
「な、なら私も!」
「そなたには他にやって欲しい事がある。重要な任務だ。ジークから直々に頼まれていた件だが、このまましておくと壊れてしまう」
持っていた魔法の鞄から黄金の結晶石を取り出す。内部では高度な魔法式が刻まれており、パッと見た限り娘のシーにはとても理解出来ないレベルの物だ。
「この中には覚醒の魔法式が入っている。囲っている魔力と結晶石はその効果を倍増させる為にある。これがあれば魔法でもスキルでも神のようなレベルへ進化する。これが壊れたら大変な事になる。それだけは絶対に避けねばならない!」
そう言って彼女に託すシャリア。自分の任務を。
「これを『天界神』へ届けろ。ジークの話では既に話は付いている。守護者でなくても、妖精で天使でもあるそなたなら天界へ入れる筈だ」
「ッ……そんな、無理だよ! 私なんか……」
「シーリアッ!」
「──ッ!」
とんでもない役目に青ざめて慌てて拒否しようとする娘に。シャリアは喝を入れる。と同時に背後の状況が悪化した。
「ッ!? ッ……グアアアアアアアアアアアァァァァッッ!」
崩壊の稲妻が広がっていく。中心地はほぼ地形の原型を保っていない。
このままではシャリアたちの場所も危険だ。もっと離れるか……いや、これ以上離れても無駄だとシャリアの直感が理解してしまった。
すぐに行動を起こすしかいない。
「行くのだシーリア! もう時間がない!」
「だ、だけど……だけどっ!」
嫌な汗が大量に流れる。情けなくて涙も溢れてしまう。
いっそパニックに堕ちてしまいたいと、感情を抑えるのを止めそうになったが……。
「ジークさんダメだ!」
「師匠っ! それ以上やったら体が……!」
彼の側に駆け寄ろうとする二つの影。だが、崩壊の稲妻が邪魔をして中々近寄れずにいる。別世界の協力者たちだ。
「無茶し過ぎよっ!」
「とっとと逃げろ阿保ジークッ!」
彼らだけではない。付き合いの長い仲間たち──彼の守護者たちも急いで彼を助けようとしている。
「っ……!」
この場にいる誰もが彼の元へ駆けようとしている。……シャリアを除いて。自分が決断出来ない所為で、母は動けずにいるのだとシーリアは悟り……そして。
「……わ、分かった。私、行く」
シーリアは覚悟を決めた。まだまだ弱い心だが、ここまで無理言って付いて来た責任もある。
「絶対に届けるから!」
「頼むぞシーリア」
もう子供のままではいられないのだ。震える手で彼女は結晶石を手にした。
【魔神の娘side1】
崩壊を始める空を彼女は苦笑いしながら離れた場所で眺める。
普通の人間よりも何十倍も遠くが見える視線を下へ。中心地で必死に抵抗している父の宿敵を見ていた。今にも消えそうだ。
この世界も一緒だ。とても保つとは思えない。
崩壊の再開は時間の問題であった。
「はぁ、ここらが潮時か」
「お、鬼めッ! とうとう諦めたか!」
「抜かせガキが」
「──がっ!」
この世界の魔法使い、魔法剣士(侍)は大して強くない。異世界と比べてレベルが低い訳ではないが、魔神の彼女にとっては取るに足らない相手なのだ。
「ぐっ、く、くそぉ……」
「全く口はよう回る」
しつこく食らい付いて来た若侍を蹴り飛ばす。今ので確実に殺せたが、相手は何度も戦い、そして何度もからかっている(色んなな意味で)ウブな青年。他の人間と違って、この青年を失うのは少しばかり惜しいと感じた。行動には呆れてばかりだが。
「我の体にいつも動揺している小者がよう言うわ」
「ッ……う、五月蝿い! そんな格好してる奴が悪いだっ!」
服はドレスみたいな黒色と赤のライン。前の部分のスカートの生地が少なく美脚が露出されているが、それはまだマシであった。
肝心の胸元の生地がほとんど無く、メロンみたいな白い果実の上から被さっているだけだ。少し動くだけで中身が完全に見えてしまう。風でも揺れてしまい、まだまだ初心な青年には刺激が強過ぎる。ホント強過ぎて割と強い筈の彼の剣が何度も鈍らされていた。
「羞恥心はないのかこの痴女め!」
「一応ある……ぞ?」
「その間はなんだ! 信じられるか!」
「やかましいエロガキ」
「エロッ!? 誰がエロガキだッ!」
これまで何度も戦っているが、未だに慣れる気配がなく、世界が滅びようとしている今ですら彼の心は乱され続けていた。一応戦っているが、勝負なっていないのがその証拠である。女の攻撃よりも関係ない部分に視線を奪われていた当然の結果だ。
「まぁ、勝負はここまでにしないとならんがな。このままでは此処も無事では済まん」
「なに?」
一度は抑えられていた崩壊の力がまた解き放たれようとしている。もう時間がない。解放された彼女でもただでは済まない。
「アレは……魔神がやったのか?」
「父がどうなったか分からんが、いくら魔導神でもあの力を完全に抑えるのは難しいだろう。惜しいが、この世界とは……」
全ては父の仕業であるが、巻き込まれるのは御免なのだ。さっさと別世界へ立ち去ろうと思ったが……。
剣を構えているが覇気が全然ない青年を見て……ふと判断を迷わせた。
「なぁ小僧。お前の名はなんと言った?」
「……何度も言ったが、まだ覚えてないのか」
「ククククっ、済まん済まん。今度は覚えてやる」
「……冬獅郎だ」
渋々と青年は名乗る。実は勝負前に何度も名乗っていたのだが、魔神の女は彼をオモチャとしてしか見ておらず、全然覚えようとしていなかった。今回以外は。
「どういう風の吹き回しだ? 餞別に覚えてやるってやつか?」
この状況だ。青年も規格外な光景にもう自分ではどうしようもないと悟っている。
魔神の女は倒さないといけない敵であるが、これまで色々あった事も関係して……気付いたら剣を納めてしまっていた。
「戦わんのか?」
「危害を加えるならともかく、逃げるんならこれ以上追撃はしない。お前には借りもあるしな」
実は何度も見逃されて助けられた経験もある。挑む度に負けているのに彼女はトドメも刺そうとしなかった。得もないのにピンチの時に何度も助けてくれた。
「ホント……オレが組織に所属してなくてお前が世界の敵じゃなかったら、一生賭けても返してやるのにな……」
と口では言っているが、同時に不服そうにしている。恩もあるが、弄られた件も多々あるのでどうしても素直に感謝したくなかった。
しかし、性格は至って真面目である。特に貸し借りについてはしっかりと清算したいのが正直な気持ちであったのだが……。
「そうか、なら──今、借りを返して貰ってもいいか?」
「……え?」
悩んでいるところで魔神の女がニヤリと笑みを浮かべた。よくない笑みだ。主に悪戯を思い付いた時の奴で、世界の崩壊が再開されようとしている緊迫な状況なのに、冬獅郎は別の意味で緊張から冷や汗を流していた。
【妖精天使side2】
天使の羽を広げて崩壊する世界から脱出したシーリアだったが、崩壊の余波は異次元に飛び込んだ彼女にも影響してしまった。
「う……どこ? ここ……?」
ボロボロの姿で何処かの石壁のフロアに入り込んでいた。
魔力が流れている事から恐らくダンジョンだと思われるが、シーリアが目指していた天界ではないと悟り愕然する。
行きたくても、もう彼女には天界へ行く手段がなくなったのだ。
「あ、ああ……そんなぁ……」
何処とも分からない場所へ放り出された事もあり、血の気が一気に下がって涙が勝手に溢れ出てくる。
「ごめんなさい……ごめんなさい。お母さん、みんな……」
このまま魔物に見つかったら絶対にマズい。なのに力が入らず、いよいよ意識まで放棄しそうになっていると……。
『──? ──っ!?』
「え? だれ?」
その青年は突然その場に現れた。正しくは彼女が見ていない通路の方から出て来ただけだが、ボロボロで見慣れない格好の女性に青年は驚きの声を上げる。
『──っ!?』
「……あ、ごめんなさい。言葉は分からないの……ちょっと待って」
さっきまでの絶望感が青年の登場で霧散する。
必死に呼び掛ける青年にシーリアも一旦冷静さを取り戻した。倒れたまま手で制すると、覚えていた翻訳系の魔法を発動した。……すると。
「ど、どうしようっ、俺ポーションとか持ってないんだよっ。あーっ、ちょっと待ってろよっ!? すぐに入り口に戻って係の人を呼ぶからっ!」
「お気遣いなく自力で回復出来ます」
「──ほわっ!?」
突然喋ったので青年が飛び跳ねてビックリする。
金髪もあって喋れないと思っていた事もあり、驚いた顔のままジィっと彼女を見つめた。
「しゃ、喋れるんだ。日本語」
「今喋れるようにしました。ところで此処は何処ですか? ダンジョンで合ってますか?」
青年のビックリした顔を見てさらに冷静になれた。
自力で天界へは行けない。それどころか元の世界にも戻れそうにない。絶望的な状況なのは変わりないが、とりあえず状況を整理しようと尋ねたところ……何故か青年は驚きの顔から唖然とした顔をしていた。
「ダンジョンだけど……まさか知らずに入ったのか? 入り口の職員に止められなかったのか?」
「入り口? あ、いえ私は別の次元から──」
正直通じるか分からないが、異世界の住人だと説明しかけたところで、その異変に真っ先に気付いた。
「え? それ……どうしたんだ?」
遅れて青年も気付く。いや、それだけ目立っていた事であるが。
懐に大事に入れていた筈のソレは──『覚醒の結晶石』は何もしてない筈なのに眩い光を発し始めたのだ。
「な、なんで? 何もしてないのに、急に起動して……」
まさか飛ばされた余波で結晶石が起動したのかと焦ったが、だったら倒れている間にとくに発動されている筈。これだけの光だ。懐でも発していたら絶対に気付く。
「え、ええ?」
そして黄金の結晶石は光を発し続けるとその光はやがて凝縮される。金色の球体のようになって、彼女ではなく寄り添っている彼の元へ移動した。
「まさか……」
「な、なぁ? これって一体どういう?」
この人だと言うのか。
金色の光は彼を試すように近付く。ゆらゆらと揺れて彼から触れさせようと待っている。
信じ難い話だが、結晶石の中身、魔法の光は初対面である筈の……彼を選んだ。
──そして彼女も決断した。この運命を受け入れる事を。
「私のマスターになってくれませんか?」
唐突なお願いなのは百も承知だが、彼しかいないと母譲りの直感が訴えていた。
見るからに怪しいので反発されても仕方ないが、なんとか彼の側に……と彼女は言いながら心の中で祈っていると。
「じゅ、受験の邪魔をしないなら……いいけど?」
彼は深く考えていなかった。いや、そもそもこの状況事態を夢か何かかと勘違いしていた節もあった。
「ではそれを受け取ってください。もしかして何かスキルをお持ちですか?」
「い、一応初級の召喚スキルがあるけど」
「では問題ありませんね。ついでに私とも契約しましょう。大丈夫です。受験の邪魔は絶対にしませんので」
その結果、彼が世界最強の攻略チームと世界最強のランカーになるまで、そう時間は掛からなかった。
彼がその全てを知ったのは受験が終わった頃で、その時には彼女以外にもヤバい召喚獣が沢山いて、世界各地のダンジョンを攻略しまくっていた。
「どどどどどっ、どういうことですかっ!?」
「ご覧の通りですマスター。貴方こそが我々の王です!」
「いや、王じゃなくて一般の高校生なんですけど!」
幸か不幸か彼の存在は誰にも知られていない。
受験の邪魔をしないという約束もあり、彼女らは何処の国にも主人の名を明かす事はなかったが……。
それが余計に世界の意識を集める要因となってしまう。
物語はサボり癖で勉強嫌い、危うかった受験をどうにか乗り越えた青年の話。
落ちた時の保険としてダンジョンに初めて潜った彼は異世界の天使と出会う。
そして青年は受験後に最強の召喚師になった。
物語は【ダンジョンで金髪天使を拾って好きにさせてたら高校から最強の召喚師になっていた。】へ続く。
【魔神の娘side2】
「この場所も失われるな」
あのウブな若侍と別れた後、彼女は父が残した隠れ家(和風の館)に来ていた。正しくは武器製造と研究場を担っていたが、そこは父の力の本質である『バトルスーツ』の試作品や新作がデータと一緒に残されていた。
「気付いたら復元されそうだが、奴らに渡すのはなんかシャクに触る」
彼女の父は『最弱の魔神』と呼ばれていた。それは元人間である事や大した能力がなかっただけじゃない。
その差を埋めて圧倒しかねない、これら魔神級の『バトルスーツ』の存在を彼らは認めようとしなかったからだ。
「スーツを失うのは惜しいが、父の許可なく持ってはいけんか」
やむなく設計図のデータのみ回収して、残っていたスーツを全て破棄する。
「……」
隠れ家も完全に破壊して崩壊していく世界の空を見つめると、無言で異次元へのゲートを開けようとしたが……。
「逃すと思ってるのか? この災厄の根源がっ」
「──っっ!?」
ゲートが開きかけたところで、冷たい声が鋭い殺意となって彼女を襲う。
紙一重でその場から速攻で離れたが、あとコンマ数秒遅れていたら……。
「逃げ足だけは達者だな。魔神」
「『神喰い』……龍崎刃」
間違いなく喰い殺されていた。青年の中で潜んでいる暴食の獣に。
激しい戦闘後の為に全身傷だらけ、血も流して消耗もしているが、その瞳に疲労の色は一切なく殺意の込められた強い眼力が、逃げ出そうとしている彼女を捉えていた。
「あちらはいいのか? 我が父はまだ完全には消えてないようだぞ?」
「あっちは師匠と零さんに任せた。これ以上、オレに魔神を喰わせない為の処置だったつもりだが、お前の匂いはオレの中のコイツがハッキリ覚えていた」
自分の胸元を指して言うとその空間に不可思議な揺らぎが発生する。よくない兆候だ。少なくとも魔神の彼女にとっては非常によくない状況である。
「お前は絶対逃さない。父と一緒にここで倒してやる」
「潔くやられてやると思ってるのか?」
口数は少なく終わる。しばらく睨み合うと──彼女は先にゲートをこじ開けた。……だが。
「ガッ!?」
飛び込もうとした瞬間、光速で放たれた無数の弾丸が変則的な動きをして彼女を撃つ。頑丈な肉体なので貫通こそしなかったが、一時的に動き抑えるには十分な威力があった。
「『継承された神ノ刃』……!!」
神族を斬り裂く神ノ刃。右腕に装着すると躊躇わず動きが鈍った彼女へ斬りかかった。
「くっ!」
即座の逃走は不可能と判断。赤黒い魔力の刃を出して受け止めるが、聖なる聖剣の一撃は鋭く彼女を攻めていく。斬りかかる速度も上がっていき、すぐに対応が追いつかなくなって……。
「ハッ!」
「ッッー!?」
不意の重い蹴りが頭部に直撃。脳が揺れてグラついた彼女へ刃のセイバーが放たれる。魔力刀を持っていた片腕を両断されて、胸元も斬り裂かれた。……赤い血飛沫が激しく舞う。
「げふッ! っ……ア、ァァァァッ!」
しかし、彼女は倒れない。
重傷でも魔神の肉体なら限界まで動かせる。牽制のつもりで超範囲攻撃系の魔法弾を無数に放つが……。
「──『継承された神ノ盾』!」
装着していた神ノ刃が形態変化。彼の周りに白金の盾が球を描くように何枚も出現。魔神の攻撃を弾いて防いだ。
「ッ……トドメだ!」
完全には防ぎ切れず衝撃でフラついたが、攻撃体勢に入り変化させていた神ノ盾を先端がセイバーのように刃になった弓銃を構える。
と、同時にブレスレットも起動。師匠である魔導神の『魔導王』の力を解放してそれも込めた。……髪と瞳が銀色に染まった。
「消え失せろ───『究極・継承された神ノ矢』ッッ!!!!」
刃が放った白銀のオーラを纏った白金の矢は、咄嗟に何重もの障壁を展開した魔神へ。障壁を全て貫いて、最後に彼女を撃ち抜いた。
こうして世界を滅ぼそうとした魔神。
そしてその娘は神々の戦いで命を落とした。……筈だった。
「……どうして見逃してくれる? わざわざ傷まで癒して」
「お前の父の暴走はオレにも非がある。ジンは仲間想いだから裏切ったアイツとお前が許せなかったんだ」
「今さらだが仲間と思った事は我にはないぞ?」
「茶化すな。……それにこの世界から抜け出せない以上、何年先になるか分からないだろう? 上手くやったようだが」
「それも知っていたのか。見てたのか?」
「まさか、彼を見つけて一目で分かっただけだ。彼の中に残して本体の君は眠りにつくのか? 来るべき時まで」
「そうだな。だからこっちの我は封印して貰っても一向に構わない。今外に出ても神喰いに嗅ぎ付けらるオチしか想像できん。狙われたくないのでな、精々頑丈に頼むぞ」
「何様だよお前は」
そんな会話があったとか、なかったとか。
こうしてもう一つの戦いも終わり、世界は完全に修復されたが、その代償は修復したジーク自身、そして世界が背負うことになる。
世界から魔法の文化が消えた。
影に潜むようになり、歴史から完全に抹消されていた。
そして何百年経過したか定かではないが、その時は突然やって来る。
「俺……死んだよな? なんで、生きてるんだ?」
『ククククッ待ち侘びたぞ? 我が後継者にして我が主人よ』
「お前は……誰だよ」
『我か? 我は……』
禁忌とされていた魔神の歴史と一緒に彼の物語が始まる。
『みゃ〜〜……ねむいぜぇー』
「色々と台無しだな! ていうか説明なしなの!?」
……始まるよ? たぶん。
物語は【世界を滅ぼした魔神の娘に取り憑かれた(連載版)】へ続く。
まだ先の話ですが、予定している二つの紹介でした。