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オリジナルマスター   作者: ルド
オマケ編 その3
258/265

特別版 焼肉パーティーとお風呂での人生相談(夏ビーチの続編)。

夏ビーチ話の続きとなります。ちょっと思い付いた話です。


 サナの貸切のビーチ&別荘にやって来たジークたち。ちょっとしたトラブルはあったが、ビーチでの遊びを一通り済ませると時刻は夕方になっていた。

 それぞれ私服に着替えると、別荘内のキッチンに用意されていた食材を使って、この中で一番料理が得意なアイリスが調理して皆が座っているテーブル席に配っていたが……。


「もぐもぐ」


「はい、追加のお肉だよジーくん」


「もぐもぐ」


「はい、お肉のおかわりだよ」


「もぐもぐ」


「あ、野菜も食べないとダメだよ? はい、これ野菜」


「…………(ヒョイ)。……もぐもぐ」


「この男、死んだ目でずっと食べてるけど、野菜だけは絶対食べないわね。せっかくアリスが焼いたのに」


「あははは、まぁまぁサナちゃん」


 テーブルの上にある焼けた肉をもぐもぐ食すジーク。何故か光が消えた瞳と顔で流れ作業のような食し方をしているが、野菜は嫌いなのかボーとした目で見ると、スゥーと別の皿に移している。そんな彼を見ていたサナが半眼で睨んでいたが、焼いた料理を配っているアイリスが苦笑顔で仕方ないとフォローした。


「よほど疲れてるだよ。ボール遊びもだけど、その後も泳いだり走り回ったり一緒に遊んでくれたし」


「単に野菜嫌いなだけじゃない」


「あ〜それはあるかもだね」


 吐き捨てるように言うサナにや聞いてたミルルも苦笑いしてしまう。ダラけている彼の気持ちは分からなくもないが、野菜を見て微かに嫌そうな顔をするのを見れば単純に嫌いなだけなのは明らかであった。


「はは、言われ放題だな。アレでいいのか友よ?」


「もぐもぐ」


「せめて頷くくらいはせんか。どれだけ疲弊しとるんだ」


「……察してくれよ。残骸処理に周囲サーチしながらアイツらの相手をしたんだぞ。体力以上に精神疲労が大き過ぎるわ」


 シャリアにまで呆れられたくなくて言い返したが、疲弊しているジークの精神は肉の栄養を求めていた。とくに女性の遊び相手なんて慣れていないので、メンタルの消耗が激しかった。

 

「肉だ。もっと肉を食わねば」


「ルールブ家が用意した食材はどれも高級食材のようだが、肉に関してはさらに力を入れて最高級の物を用意してあるな。流石に少しは遠慮した方が……」


「肉肉肉肉……」


「……せんか。流石は友だ」


 シャリアが何か言っているが、彼は無視して栄養補給に専念する。サナたちに拉致されてから疲れることしかないので、これぐらいの暴食くらいは見逃して欲しいのだ。


「はい、お肉焼けたよ」


「肉!」


「アリスも甘やかし過ぎよ!」


「お肉がどんどん消えちゃうよ!」


 そしてジークには甘いアイリスは次々とお肉を追加する。最高級であるのもお構いなし、頭痛を覚えるサナや青ざめるミルルが必死に止めるが、その間にもう1人の問題児(保護者)が棚から酒瓶を勝手に取り出して……。


「さて、大人な私は酒でも飲むか」


「――って飲ませませんよギルドマスター!? なに平然とお酒を出してるんですか!? 職員の人達から言われてるんですから! 飲んだらサボり扱いにしますからね!?」


「な、なんだと!? く〜! おのれ奴らめぇ……!」


 酒瓶を抱えながら唸っているシャリアを止めるサナであるが、その間にもう1人の問題児(ジークの保護者)が新たなに焼いたお肉を彼の皿へ……。


「――アリス!? なにさらっと彼の皿だけにお肉を大量に追加してるの! 別荘だから食材にも限られてるのよ!?」


「は〜い、お肉追加だよ〜」


「これ以上ジーク君にお肉追加しちゃダメだよ、アイリスさん! 本当に私たちが食べる分が消えちゃうよ!」


「肉〜!!」


「貴方ももぐもぐ食べるな! いったい何人前食すつもり!?」


「…………ふ、百人前はいけるな」


「キメ顔でなに言ってるの!? 本当にダメだからね!? ジーク君!」


「アリスもいい加減に焼くのを止めなさーい!」


「さ、酒よ〜!」


「肉〜!」


 こんな感じで愉快な食事タイムは続いた。







「むふ〜良い湯だな、友よ」


「ああ、そうだけど。……この状況はやばくね?」


 食事が終わればそれぞれの時間である。サナの別荘には風呂も付いており女性陣が多かった為にジークは後回しにされて、ようやく上がった女性陣と入れ替わって1人で風呂を堪能していた……筈だった。突如やって来た大人姿のシャリアによって、穏やかな筈だった風呂タイムは危ういものへ変化していた。


「なんで大人モード(そっち)の姿なんだよ」


「あの子らとは幼女モード(普段)の姿だったからな。こっちの姿でも堪能したかった」


「だったら俺が出てからでもいいだろう。サナたちにバレたらなに言われるか分からないぞ」


「心配ない。今は皆ガールズトークとやらを楽しんでいる。外出したようにも見せたから早々に気付かんだろうさ」


 そう言って湯船の中で寛ぐ。入って来る際はバスタオルを体に巻いていたが、湯船の中で付けるのは邪道だと思っているようで、危ない部分は見えそうになるも色付きの白湯のお陰でなんとか見えずに済んでいた。……それ以前に向かい合うジーク本人が顔ごと逸らして、見えないようにしているので被害自体が起きそうにもなかった


「どうした? 要望だった大人バージョンの私だぞ? もっと見ないのか?」


「いや……なんかこのまま本能に流され見てしまうと、何か色々とダメな気がして……」


 幼児体型では決して作れない豊満な谷間が白湯からはみ出ている。濡れている長い金髪はサナよりも輝いているように見えて、流石妖精族だとつい感心してしまった。


「せめて気ぐらい楽にしろ。戻ったらまた仕事ばかりなんだ。こんな時くらいは羽を伸ばしたらどうだ?」


「仕事ばかりなのはシャリアの方だろう? 俺の辞書に仕事の二字はない」


「いや、サボるなよ、シルバー(・・・・)。気持ちは分かるが、あの娘らと連んでいる以上は逃れるのは無理そうだぞ?」


「ハハハハっ、そうかもな」


 自然と言いながら湯船から手を出す。今さらかつての名を呼ばれても彼はもう何も感じることはない。『最強の魔法使い』や『超越者』の称号も捨ててしまえば、ただの紙屑同然。今の彼にとってその名は無価値でしかなかった。しかし――。


「友?」


「なぁシャリア。……今の俺は間違ってるか?」


 手のひらを見ながら魔女と呼ばれていた彼女に問う。深い意味はなかったが、どこか重く感じさせる声音。途端呆れそうになったシャリアも思わず言葉を失った。気のせいか湯船の湯が冷めた気がした。


「……どういう意味だ?」


「自慢じゃないが、最強の魔法使いだった俺は、シルバーだった頃のオレはこの国を何度も救った。冒険者最強の称号である『超越者(SSランク)』に相応しい力で相対する魔物や敵国共戦って来た」


 思い出すと懐かしいと感じる。最初は師匠に付き合っただけであるが、気が付いたら世界で4人しかいないSSランク冒険者の1人としてカウントされていた。当然のように困惑していたが、皆によって流れた彼には次々と偉業を成し遂げていった。


「けど次第にオレの中は何も満たされなくなった。強者と戦える喜びも、見たこともない魔道具や遺跡を見つけた際の興奮も、気が付いたら燃え尽きて何も残っていなかった」


 徐々に気が遠くなる感じを覚えた。このままで良いのかと言う疑問と共に。


「『鬼神』との戦いを最後に王都から抜け出した。職務放棄でしかないから最初は師匠からも色々と言われたが、思っていることを話したらこんな学園生活を送ることになった」


「貴様の師の伝手を頼れば、身分を隠して入学するも可能だろう。で、そこまでして入学した学園で何か得られたものはあったか?」


「……正直まだ分からない。人使いが荒い同級生に目を付けられて、楽な学園生活を送れてる気はしないがな」


「なら間違ってるかどうかも、まだ分からないんじゃないか?」


 濡れた顔で微笑むとシャリアは湯船から出ていた彼の手を握る。その際、隠れていた魅惑的な部分が白湯から姿を現してしまうが、ジークもこの時は気にならない。彼の瞳はシャリアの瞳しか写っていなかった。


「もう少しだけ彼女らと一緒に居てみるのも悪くないと思うぞ?」


「さらに扱き使われそうだけど?」


「嫌なら振り解けばいい。そなたならそっちの方が楽だろう?」


「ああ、確かにそう――」


 言われたジークはその通りだと小さく頷く。……その際、下を見て(・・・・)一瞬で目を瞑るが、色々と目に焼き付いてしまった。幸いと言うべきかさらに下の方は見えなかったが、お陰でどこか思い詰めていた彼の表情が落ち着かない百面相状態であった。


「あー……〇〇が見えちゃった。最後の最後でこれかよ……!」


「私は別に構わんぞ? なんならもっと見るか? 我ながら結構自信があるんだ」


「頼むからその自信もヤバボディーと一緒に風呂に沈めてくれ。あとそろそろ風呂から出るから、後ろを向いててください」


 生憎タオルなんて持っていないからこっちもヤバいんだよ。と引きつった顔で言うと、最初はキョトンとしたシャリアであったが、次の瞬間、吹き出すようにして大笑いした。


 その大笑いで勘付いた女性陣が風呂場まで突撃する騒ぎもあったが、それはまた別の話である。突如行われた旅行は街に戻る次の日まで騒がしいままであった。


最近雨と雷ばかりだから小説の限定版を買いに行くのが大変!(涙目)

久々に物置の片付けをしたら、本ばかりあって喜びかけたけど、大半が昔の教科書だったから汗の涙が額に流れた気がしました(無情)。

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