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オリジナルマスター   作者: ルド
オマケ編 その3
256/265

特別版 夏のビーチと水着サービス その2。

水着サービス回になっているかな?

そんな2話目ですが、よろしくお願いします。

「そう嫌そうにするな友よ。せっかくのバカンスなんだ」


「俺にとってこれはバカンスじゃないんだよ。友よ」


 強制的に女性陣に着替えさせられたスクール水着のシャリアと並んで、チェアに寝転がっているジーク・スカルスは太陽を憎んだ。前回も言っていたが。


 灼熱の太陽の光を用意されたパラソルで遮れるが、残念なことに熱気までは遮れない。水着姿にパラソル装備であっても、暑いの嫌な彼にはこの環境は苦痛でしかなかった。


 というわけで早々に魔法の出番である。冷却系の魔法か熱耐性の魔法でも使って、さっさと楽したかったのだが……。


「なんか余計なモノまで来そうだな」


 他の面々は気付いていないが、彼は感じていた。海の方から明らかに面倒なりそうなモノの気配を。強敵とは彼も思っていないが、魔法を使ってもし呼び込んだりしたら、余計に暑くなってしまう可能性があった。


「ま、放置でいいか。どのみちアイツらの前で派手に暴れるとそっちの方が面倒そうだし」


「ん、何の話だ? 友よ」


「いや、こっちの話だ」


 のんびりとするにはこの暑さは結構キツいが、大人しくしていれば何も問題ないのだと、自分に言い聞かせた。


(いっそこのまま寝てしまえばいいか……)


 なんて本気で寝てしまおうかと考えていたジークであったが、その眠りを妨げる存在がすぐ近くまで来ていた。


「――友よ! 前だ!」


「は、前? ――グギャ!?」


 来ていたというか飛んで来た。

 彼の顔面に飛来したボールが大きく弾む。バウンドしたボールを見事に受け取った彼女は、呆れた様子で顔を押さえるジークを覗き込んだ。


「何をボーとしてるの? アンタなら平気で避けるか止めれるでしょう」


「サ、サナァァァァ……」


 痛む顔をさすりながら仕出かしたであろう金髪娘を睨む。相手は何でもない涼しい顔をしているが、その後ろで慌てているアイリスや楽しそうに笑みを浮かべるミルルを見れば、投げた相手が誰なのかなど訊く必要もなかった。


「悔しいなら貴方もやってみる? ま、すぐに返り打ちにしてあげるけどね」


 間違いなく挑発であった。怠惰なジークが嫌いだからこうしてやる気を出させようと狙っている。

 当然彼も挑発行為は分かっている。わざわざ分かり切った挑発に乗る必要もないことも……。


「ははは上等だコラ。暑苦しいこの浜辺にお前の墓標を作ってやるよ」


 しかし、ちょうどイラついて欲求不満だったジーク。いつもなら適当に流していたが、今回は不満が溜まっていたこともあり、その挑発に乗ってやることにしたが。


 彼の不満発散で起きる被害を恐れた、隣で寝そべっているシャリアが慌てて飛び起きた。


「と、友よ! 相手は貴族の中でも力を持っているルールブ家なんだぞ? あんまりやり過ぎると後が厄介になるんだが……」


 落ち着かせるように止めてくるシャリア。溜め込んでいる彼の鬱憤を察しているからだろう。なんとか踏み止まるように促すが。


「大丈夫だ。俺はサナが嫌いだからアイツがどんなに辛い辱めを受けても、全くもって心に響かないし平気だ」


 さっきまでの会話は全く成立していなかったのかと軽く絶望した。

 歩いていく彼の背中を見つめるも、引き止めるまともな言葉も思い浮かばなかった。


「いや、そうではなくてだな!? 仮にも保護者の扱いである私の前で、ルールブの娘に何かあったら帰った時の始末書が大変なことに……!」


 なんか慌てて言っているが、どうせどうでもいいことだろうと聞き流したジーク。

 シャリアを無視してパラソルから出ると、ボールを持った水着姿のサナが待ち構えていた。……一瞬そのビキニ(格好)でやるのかと疑ったが、本人が気にしないのなら別にいいかと隅に置いた。


「落としたら負けでどう?」


「打つけ合いか……いいだろう」


 後ろの方でアイリスとミルルが見ている中、サナはボールに魔力を込め出す。

 氷結系統が得意なサナの属性魔力は当然『氷属性』。流れていくことでボールから冷気と共に氷属性のオーラが出てくるのを確認したジークは……。


「纏え――」


 魔力を両手に流して無属性のオーラを纏わせる。

 サナの属性相性を考えるなら他の属性の方がいいが、彼は問題ないと両手を構えてサナを見据えた。


「来な」


「――っ……ハッ!」


 上等と言わんばかりのサナの強烈サーブが繰り出された。白い布越しに胸元が大きく揺れたが。

 氷の流星の如き一条の光が構えていたジークに迫るが、彼は落ち着いた様子で魔力を帯びた手のひらで返した。


「こんなものか?」


「まだよ!」


 今度は彼が挑発気味に笑うと、魔力を上昇させたサナは飛んで来たボールをジャンプとして叩き込む。さらに込められた氷結系の魔力によって、ボールの光は増して氷柱のような巨大な物になったが。


「だからなんだ?」


「――な!?」


 まるでパスするかのような軽い片手レシーブである。あっさりと返されると思わなかったかサナは驚きの顔をしていると、ジークは見えるように人差し指を左右に振って鼻で笑った


「ふ、まだまだ詰めが甘いな」


「――」


 瞬間、サナの中で何かが切れた気がした。

 ふんわりと上がってこちらに落ちてくるボールに目を向けた途端、片手に膨大な量の魔力が収束させる。バッと高く跳んで余裕顔のジークを睨みつつここ1番のアタックをした。


「はぁぁぁぁぁぁ! ――『巨氷の槌ビックアイス・ハンマー』っ!」


 しかも、氷結系の最上級魔法を付与させた強烈な一撃に変えて。

 それは、もはや氷のボールなどではなく巨大な氷の隕石のようだった。


「今度のは大物だな!」


 そして、退く気が一切ないジークの方も翔び立っていた。

 飛んでくる巨大な氷塊を返してやろうと、右手に魔力を集中させてサナと同じようにアタックで返す。


 氷塊を手のひらで叩き込んだ瞬間、中々の衝撃が腕から彼の全体まで響いていく。気を抜いたら押し潰されそうな圧力があったが、慣れた感じで触れると同時に衝撃を吸収。


「『零の衝撃(ノーマル・インパクト)』っ!」


 威力を倍増しつつスキルで返したことで、粉砕された巨大な氷塊から球が飛び出す。

 彼の無属性の魔力を帯びた光の球は豪速球となってサナへと飛来した。


「ダメだ! ルールブの娘よ避けろ!」


「これぐらい……!」


 焦ったシャリアの叫び声が聞こえるが、サナは退こうとしない。再び魔力を込めて

レシーブで返そうとするが。


 両手で止めた途端、桁外れな衝撃が彼女を覆い尽くそうとする。一瞬で吹き飛びそうになるが、咄嗟に足元にも魔力を込めたことでどうにか踏ん張れた。


「――ぐぅ……!?」


「サナちゃん!」


「流石に危ないよサナさん!」


 親友であるアイリスやミルルの声が聞こえる中、懸命に堪えながら返そうとするが、衝撃で足元が陥没するくらいの強烈なジークのボールは、加減という言葉を知らないのか。


 彼女の周囲で突風を起こして軽い揺れまで発生させて、懸命に堪える彼女を吹き飛ばそうとしていた。


「な、舐めるな!」

 しかし、彼女はただの学生ではない。ジークもそれを知っているから、敢えて威力を上げた球を叩き込んだ。


「う、おぉぉぉぉぉぉぉ!」


 受けている彼女の両手が氷の魔力で輝く。凄まじい形相でこちらを見据える彼を捉えると、踏ん張っている足だけでなく全身の力を注いで、



 彼の光の球を返して見せた。



「なんと!」


「サナちゃん!」


「サナさん!」


「へぇ……やるな」


 本来なら不可能だと驚きの顔をするシャリア。素直に喜ぶアイリスやミルル。

 そして、その可能性を予測していたジークは知った顔で笑みを浮かべていた。



――ドンッ!!


『ギャアアアアアアア!?』


 ただし、打ち返されたボールは彼とは全く逆方向の海へと飛来してしまった。

 その際、なんか海から魔物の悲鳴が聞こえた気がしたが、衝撃音と波の音でかき消えていた。


「あれ? 今何か聴こえた気が……」


「え、わたしは何も聴こえなかったよ? サナちゃん」


「海の魚にでも当たったんじゃないかな? 例えばサメとか」


「居たら別荘なんて建てないわよ! ……うーん気のせいだったのかしら?」


 美少女3名は話し合うが、結局気のせいだったと結論が着いた。


「……」


「……」


 存在を知っていたジークや耳が良いシャリアだけは、気付かれないようにそっと顔を合わせていた。


(友よ。今の悲鳴はシャークアークじゃ……)


(俺たちは何も聴こえなかった。それでいいな? あそこで吹き飛んだのはただの魚だ)


(なんでこんな場所に居るのだ! サメよりもタチが悪いぞ!)


(多分だが、俺たちの巨大な魔力に引き寄せられたのかもな。血じゃないが魔物の中に魔力を匂いとして嗅ぎ分けるタイプもいるし)


 残骸も粉々でなっているから回収も無理だろう。

 とりあえずジークは3人にバレないように、そっと浄化魔法で海を綺麗にしておいた。


 と、そこで終わればいつも通りだったが。


「――て、サナちゃん!? あわわわ!? 前を隠して!」


 アイリスの悲鳴を上げたことで、彼らの視線がそちらに向いた。


(するとそこには下だけ辛うじて残っている代わりに、上は肩に紐しか残っていないサナがいた。白い布で守られていた筈の真っ白な胸部がオープンになって、あられもない姿が俺の視界に……)


「友よ!? 流石にそれはマズいぞ!」


 これ以上の表現はアウトだろうな、と彼が思った直後、背後から乗って来たシャリアによって視界が塞がれた。


(残念なような惜しかったような。……ってどっちも一緒か)


 水着1枚越しのゼロ距離密着であるが、ロリなシャリアの体では布の感触と微かな柔らかしか感じなかった。


「水着が吹っ飛んでるよサナさん!」


「あら? 本当だ」


「羞恥はないの!?」


「男はジークだけだし。それに距離あるから彼にも見えないでしょう」


(いや、普通に見えてたんだけど)


 話もハッキリ聴こえていたので心の中で否定した。

 別に視界を強化したわけではないが、彼なら一般の人が朧げにしか見えない距離でもはっきりくっきり見えていた。


(『ピーピー』されるのは間違いないから絶対に言わないけどな)


 いつの間にかアレほど暑かった筈の熱気が消えていた。

 溜息を溢しつつサナの着替えをのんびりと待っていると、彼はふと背後に密着しているシャリアに尋ねてみた。


「シャリア、思い切って大人バージョンになってみないか? この状態でしてくれたら俺的にはサイコーなんだが……」


「出来なくわないが、この着ているのが水着だからな。スッポンポンでも良かったら構わんが?」


「……やっぱりなしでいいです」


 これ以上の露出的なサービス回は求めてなかった。

 今度は諦めの息を吐いていると、サナたちから声が掛かってやっと解放された。


続編は……あるかな(汗)

とりあえず水着回は終わりです。多分。

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