〜神の魔法使いの弟子〜
次の作品の予告のような物です。
本編とはほぼ関係ありません。
「つまり貴方は関係ないと?」
「ああ、何度言われも、悪いがなんの話か分からないよ」
登校中に桜香と遭遇して、尋問紛いな会話をどうにか乗り切れた。
けど、原因の大半はトオルさんだったよ、コンチキショウガ。
会話中何度かヒヤッとするのがあって、そのほぼ全部にあの人が関わっていた。
たとえば塔の捜査中に桜香が遭遇して、見事にやられた凶悪形相の剣士や。
警務部隊の隊長である親父を入院送りにした凶悪形相な剣士や。
あの神出鬼没で暗殺剣士な妹から、見事に逃げ切った凶悪形相な剣士の話。
で、その凶悪形相の剣士が扱う剣技が、俺のと似ているという話などがあったが、どうにか誤魔化して? みせたわけだ。
視線は全然弱まっていないが。
なんか呆れている感があるけど、気のせいだと思いたい。
……ホント、何してくれるかな? あの脳筋剣士が。
俺の平穏を一気に崩壊させる気か? というか、緋奈から逃げ切ったか。
なんて仕出かしたことに怒ればいいのか、見事に逃げてみせたことに感心すればいいのか、思わず迷ってしまっていると。
「白坂さん、ちょっといいか?」
桜香を呼び掛ける声。
視線を向けると、校舎の方からこちらにやって来る人達。
「会長、どうしてこちらに?」
やって来たのは、生徒会の会長さんと女子役員が1人。
それと知らない女子が1人。制服のリボンの色からして1年だと思うが、魔法科なのかどうも見たことがない顔だ。
ちなみに桜香が呼び掛けて来た会長さんに返事を返す中、役員の女子生徒が嫌そうに俺を睨む。
ただ視線の種類は普通科の分際とか差別的な視線ではなく、問題児を見るような視線だから困る。
好かれてるとは思ってないが、そんなふうに睨まんでも。
「ああ、急なことで悪いが、今日から1年のクラスに転入生が入ることになってな。君のクラスだそうだから案内をして欲しいだ」
「転入生?」
首を傾げて呟く桜香が視線を会長の後ろへ。
役員の女子の隣に控えている1年の女子と視線が合うと、彼女の方から一礼された。
まず目に止まったのは、腰の辺りまである濡れたような長い黒髪。
背丈は若干低い気がするが、全体的は整った体型をしている。
桜香のように出ているところが出ているわけではなく、まどかのように少女体型というわけでもない。
可もなく不可なくといった感じだった。
「初めまして、黒神愛莉と言います」
「1年の白坂桜香よ、同じ1年だしそう畏まらなくていいわよ?」
「あ、そうかい? なら、ボクも助かるかな。よろしくね? 白坂さん」
「こちらこそよろしく、黒神さん」
「うんうん! ン?」
そうして、黒神というボクっ子は、桜香の隣にいる俺に顔を向ける。
「そっちのクールな君は……彼氏さん?」
「っ、違──「違う、ただの昔馴染みだ」」
そのネタで引っ張られるのはうんざりだった。
関わる気はなかったが、反射的に桜香よりも先に口に出してしまった。
タイミングを失って桜香の方も黙ってしまう。
「2人っきりで仲良さそうに見えたけど?」
「気のせいだ、ただの世間話をしてただけだ」
「へぇ〜」
意外と遠慮がないのか、近付くと上体を前にして顔をごと向けてくる。
至近距離で目が合うと、にこっとした笑顔で見上げていた。
そして、一瞬であるが固まってる桜香の方に視線を移動して、すぐに戻していた。
「ふぅーん?」
「なんだよ?」
「うん? 名前は教えてくれないのかなぁ? って」
小首を傾げて尋ねてくる。
……なんだろう、普通なら可愛いと感じるが、どこかあざとい。
「あー、刃だ。龍崎刃」
「よろしくねぇ龍崎君? ……これも何かの縁だし、どうせなら刃君でもいいかなぁ?」
「初対面で馴れ馴れしいな、黒神は」
「愛莉でも良いんだよ? ほら、握手握手!」
どうも距離感が掴めないまま、黒神愛莉に接近される。
どうせ魔法科の彼女とは馴れ合うこともない。
この時の俺は軽い気持ちで、握手を求めた彼女の手を握ったのだった。
触れた瞬間、何かビリッとした気がしたが、すぐ気のせいだと流した。
物語は【オリジナルマスター 〜神の魔法使いの弟子〜 】に続く。
投稿日は未定とさせていただきます。
他の作品もやりながら、ゆっくりやっていきたいと思います。
『神の魔法使いの弟子編』もよろしくお願います。




