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オリジナルマスター   作者: ルド
オリジナルマスター外伝『神の魔法使いの弟子と時空を超えた空の塔(ダンジョン)』
240/265

第15話 制限時間と塔の内部。

ギリギリでした(汗)

【第一の封印】である“魔力融合”を使用したことで、“融合状態”で使用できる魔法やスキルが解放された。

さらに集中力も精神力も飛躍的に上昇。ほぼ無我に近い状態と言える。


そして解放された能力の1つ。魔王から教わった極悪な格闘術である──“羅刹(ラセツ)”を解いて、通常の『身体強化魔法』に戻す。この世界には無属性は存在しないので、属性なしの魔力として扱っている。


まだ体は馴染むほど戻っていないが、融合状態でいられるのは……だいたい15分といったところだ。


残念ながらすべて使用出来るわけでもない。【第一の封印】を含めた6つすべての封印は、段階を重ねることで能力が増えていく。


今はまだ第一と第二までしか解放は出来ず、解放回数も日に2回のみ。しかも、“魔力融合”は一度使用すると20時間使用出来なくなる為、実質使えるのは片方のみで1回きりだ。


塔の攻略は始まったばかり、敵はボスも含めて少なくとも3体はいる。

単純な戦略としては、ヴィットとまどかがそれぞれ1体ずつを相手にして、残りの1体の相手を俺がするわけだが、果たしてそう都合よくいくかどうか。


不安要素は少なからずある。多いと言ってもいい。……それなのに、何故ここで切り札の1つを使用したか。格闘戦士で精霊使いでもあるヴィットに任せれば勝っていた筈の戦いを。


それは、何故なのか……ゆっくりと振り返る。肖像が描かれた価値のありそうな絵がある。

気付いていない2人は、絵を見つめる俺に疑問符を浮かべる。


「……」


しかし、まどかのみは薄々とではあるが、少しして察したように視線を寄せている。いつものように無感情な色をした瞳だが、微かに見える複雑そうな色は、ある程度慣れている俺にしか見えない。


出来れば止めてほしい。アレはそういう視線だ。

けど止めないのは、可能な限り俺の自由にさせるという、あの男との条件をあるからだろう。


俺はそんな2人を無視して肖像画に視線を送り……。


「どうする? 降伏するか? それとも──全滅するか? 最後の1匹となって喰われるまで隠れ続けるか?」


不敵な笑みで相手を試す。聞いているであろう相手に染み込ませる。


「人の世界で、人の街で、俺の見えるところで騒ぎを起こしたのが運の尽きだ」


恐怖という名の武器を使用する。あの男から教わった恐怖で相手を追い詰めていく。



『感情を不要と言い出す者もいるが、それは愚かな考えだ』


『感情こそ常に保持出来る武器であり、万能の凶器となる』


『中でも恐怖がそうだ。身で知っているからこそ最恐の凶器だ』


『小僧、お前は知っている筈。オレが教えた恐怖の扱い方を』


『この《魔王》が教え込んだ、“死の恐怖”を継承したのだから』



ああ、そうだな。不本意ながら受け継いだよ。

まどかは反対的だったが、すっかり染まってしまった以上、もう武器以外にはならなかった。


「精々後悔して怯えながら待っていろ。俺が貴様の手駒すべてを狩り取るまで」


肖像画から視線を移すと、奥に設置してある上に続く階段に目を向ける。塔の姿をしたダンジョンの内部は、上の階に進んでいくことで先に行けるタイプだ。

ちなみにトオルさんが塔の先端部分を斬り裂いたが、外部と内部は空間魔法で異なっているので影響が少ない。俺のように内部構造を把握出来ていたのなら、適確に狙うことも出来たが……。


「さぁ、行こうか」


2人に告げて先へと進む。時間も惜しいのでさっきまでの言葉の意味は伝えない。

体内で“魔力融合”の具合を把握しながら、解ける進行度を出来る限り操作する。ギリギリまで消耗を抑えながら延ばして、最終ステージまで暴れ回ることにした。





『……なんだ、あの男は』


侵入者を監視していたシャドウの顔が凍り付いたように固まる。

幸いに起動していた塔内の監視機能を利用して、侵入者達と部下のスモアの戦闘を見ていた。


だが、それはスモアの勝利を見届ける為ではない。力量を疑っている訳ではないが、一度は敗北している。特にスモアは主人に対して従順ではあるが、その反面、残念なほどに知能が低い。


しかも、激情的ですぐに頭に血が上る猪突猛進な肉の塊だ。相手が同じなら激情に駆られ、憤怒の如く荒れ狂うのは明らかだった。


その為、シャドウは最初から捨て駒としてスモアを行かせた。侵入者の能力を調査する為に。あんな部下でもそのぐらいは出来ると、作業の手を止めず横目で戦闘を覗いていた。


しかし、今はもう作業の手も止まってしまった。


映し出された光景で爆死して消失した部下の姿を見てから……。


『何なんだ!? あの男は』


監視映像から映し出されるのは、無惨にも散っていく配下の魔物の亡骸。

止まることなく立ち塞がる魔物を蹴散らして行く侵入者達の姿。


特にスモアを倒した男に目をいってしまう。

ほぼ一撃で倒して行く。スモアの時のような爆死ではないが、倒していく姿に何か強烈なモノがあった。


『……っ!』


そして、僅か数分後に侵入者達がダークエルフのエラが居る層に到達。

その間、シャドウの作業の手は止まったままで、無意識に薄く笑う刃のことを恐れ始めていた。





そこから5階ほど上がったか? 徘徊(はいかい)している魔物を潰して行き、7分ほどが経過して残り時間も半分だが、問題は特になくスムーズに進めれた。


「『闇の迷槍(ダーク・ランス)』……」

「ふっ!」


俺の“融合”のタイムリミットを知っているまどかは、余計な手間を掛けないように出て来る魔物を瞬殺して、初めは戸惑ったヴィットも気を使った体術と、警棒のような細い棍棒で叩き潰していた。


『グバアアア!!』

「邪魔だ」


俺も普段よりも思考の回転が早く、魔力動作も効率良くなっていたので、敵を見つけてからの攻撃スピードが数段上がっていた。


『身体強化魔法』とあの男から教わった体術。

師匠のスキルを参考にした【天地属性】と『基礎魔法』による無双。

魔力を混ぜる必要もないので、こちらも“融合状態”の時はいつもと扱いが違っていた。


火炎弾(ファイア)』を纏った拳で、迫って来る獣型の魔物の頭部を燃やして潰す。『火炎弾(ファイア)』の魔力線を伸ばして鞭のように扱うと、雄叫びを上げる鬼型やゴーレムなど縛り上げ、一気に熱を上げて焼き切った。


他にも風の刃を無数に纏った掌底で、魔物の心臓や魔石を抜き取る。銃型の雷の基礎魔法で距離を取って狙う魔法タイプや弓を扱う、魔物の脳天を針サイズの弾で撃ち抜いた。


2人もかなり数を仕留めているが、やる気満々な俺も負けていない。動けない魔物から魔力を奪いつつ、その合間に銃で次々と撃ち抜いて進む。


さらに恐怖の毒をたっぷり味わせると決めた所為か、スイッチが入った俺が無意識に放つ威圧に慄き一目散に逃げ出す魔物まで出だした。階を進めるごとに増えていって、もう立ち塞がるのは次のフロアに続く、大きな扉を守る門番しか残っていなかった。


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