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オリジナルマスター   作者: ルド
魔法使いは覚醒する。
170/265

第6話 九回目の改変と彼の魔力の正体。

ようやくまとまった気分ですが、遠回りばかりしてここまでくるのが本当に長かったです(苦笑)

ま、殆ど定番みたいですが。

『最初は優しい騎士の青年でした。神に選ばれたことで人類の中でただ一人魔力を扱えれるようになりましたが、当時の世界は既に沢山の血が流れた修羅な世界。


平和を望んでいた彼は到底受け入れられず何度も立て直そうと必死に剣を振るいましたが、ただ一人チカラがあってもどうにもならない理不尽な現実に打ちのめされました。


結果、そんな世界にした神を殺して神に成り代わった彼は平和な世界を、人々の繁栄の為を思い自分以外にも魔力が扱えれる存在を願いました』


先ほど聞かされた最初の選ばれた改変者の話だ。


シィーナはそれ以上は言わなかったが、青年は神に選ばれたことで魔法を扱えるようになり神の導きに従い剣を創造する。


それこそ始まりの魔法の一つ『修羅の運命を裁く神剣(イクスカリバー)』であった。


争い続ける世界に終止符を打つための───最強の聖剣が生まれたきっかけだった。



『そうして次の人もそのまた次の人も繰り返し、古代原初魔法(ロスト・オリジン)は九つ生まれました』


───自然の生物、動物を愛した当時牧師であった男が生み出した生と死の杖。


第二の始まりの魔法『再生と破滅を呼ぶ神の杖(ケリュケイオン)



───魔物と人間の争いで破壊される自然界を守ろうとした村の子供が纏った、すべてを守りすべてを弾いた自然界の力を持った鎧。


第三の始まりの魔法『全地を統べる神の鎧(ガイア)



───最愛の家族と足を失ったエルフの女が生み出した世界の果てまでも届かせた弓矢。


第四の始まりの魔法『真の軌跡を射貫く神の弓(アルテミス)



───争いを好まず神に祈り続けた魔族の神父がこの世の悪意すべてを飲み込もうとして創り出した、永遠に喰らい続ける暴食の盾。


第五の始まりの魔法『永遠を喰らう黒闇の神の盾(ウロボロス)



───光が消えて闇に包まれた世界を打ち破ろうと立ち上がった剣闘士。剣闘士ありながら剣を嫌い大鎚で戦った男の破壊の一鎚。


第六の始まりの魔法『壊雷を墜とす神の大鎚(ミョルニル)



───戦いを愛し戦いに身を寄せて生涯を終えようとした槍使いの老人が、最後まで人には向けず魔物のみ放った一撃必殺の灼熱の一槍。


第七の始まりの魔法『天誅灼熱の神の槍(グングニル)



───戦いを馬鹿らしく感じた学者の女性が、他の世界を見たいと願い生み出した世界と外側を狭間を切り裂く異次元の鎌。


第八の始まりの魔法『時と異界を征する神の鎌(クロノス)



───そして九人目が生み出した魔法と願いは、


『そして今回、現在神となっている人物が願ったのはこれまでの願いに比べれば些細なものでしたが、同時にとんでもない運命を創り出しました。細やかな願いでありながら神であることから彼女は(・・・)


彼女という言葉を聞き現在の神が女性だと認識したアイリスだったが。


『新たな神を裁く者として───産んだ彼に委ねたんです。自分を殺す役目を、そして九番目の原初(オリジン)を託して』

「───っ!! …………どういう意味ですか?」


『不思議ではありませんか? もし選ばれる度にあれほど危険なチカラが付与されるのなら、たとえ改変されても魔法の伝承が残っているように噂として残されているはずです。だが、それがない、ということはつまり彼だけが特別だった。神はかつて扱った魔法を彼に移植したんです───その扱い方も教えずリスクを背負わせて』


聞き捨てならない話にアイリスの思考は冷え切った。

それは怒りからか、それともあまりにも恐ろしく聞こえた所為か。


「それじゃ……まるで」

『彼女は繰り返された行いに終止符を打ちたいとも願っていましたが、それ以上にずっと孤独に生きていた為か───家族を欲した』

「その結果が……こうなったということですか……!」


本当にささやかなものだったのかもしれない。アイリスは信じ難い気持ちの中、そう感じていたが、それでも───許せなかった。


『それこそが二百年ほど前に成り代わった彼女の願いです。どういう経緯かは聞き出せませんでしたが、今から十六年程前に彼女は産んだ自分の子を…………(ジーク)を捨てた』

「それが神の───いえ、母親(・・)のすることなんですかっ!!」

「それ以外に選択がなかったそうですが、ただの言い訳にしか聞こえませんよね。十六年も不安定な彼を放置し続けたんですから」


理不尽な答えを聞いて憤り泣きそうになるアイリス。認めたくないと思いたいだが、これまでの話を結びつければ神が関わっていることとジークが神の選ばれた存在であることは間違いない。


『忘れられた歴史』、『可変された世界』、『神の世界こと神界』、『神の滅びと誕生』、『古代原初魔法(ロスト・オリジン)』、『繰り返されたルール』、最後には『ジーク・スカルス』と『現在の九人目の神との関係』と『最後の原初魔法と彼の魔力』のパズルが繋がる。


そして残された家族という願望を聞けば、もう答えのようなものだった。




『ジーク・スカルスは神の子です(・・・・・)。そして彼の魔力の正体は残された最後の古代原初魔法(ロスト・オリジン)。無限の泉でもある魔力───あらゆる属性・精霊の上の領域でもある【神属性】を宿した魔法です』




神界の神が宿す神秘の魔力。

それを生成させる『神の心臓』とも言える魔法。


第九の始まりの魔法『原初神の無限調和(カオス・オブ・コスモ)


またの名を【消し去る者(イレイザー)】とも呼ばれて、ジークの真の奥に眠っているチカラの正体でもあった。


そして時が経った今でもまだ、そのチカラをジークは制御できず真のチカラを引き出せてはいなかった。



◇◇◇



「ガッ……」

「その方法で勝てると思ったのか?」


そしてジークの戦いは一歩的に進んでいた。


初めは戦いの師でもあるバルトもジークの攻撃をなんとか迎撃して反撃。接近戦に持ち込んで仕掛けようとした。


魔法戦による武器の飛ばし合いではジークに有利なのは明らかだったので、その戦法については十分効果的であったが、


「修業時代、アンタの戦いを何度も見てきた俺が対策を取ってないとでも? 悪いがアンタの戦いの癖は魔法で記録して把握してる」


そう言って掴んでいる首を持ち上げるとジークは(オーガ)の姿に化けた全身血まみれのバルトをつまらなそうに眺めた。


攻防の末、なんとか接近戦に持ち込んだが、バルトの戦闘術に対する対策を用意していたジークの手に敢えなく崩れ落ちた。


「十星《神獣》のキングオーガか……Aランク以上とされている厄介なタイプに化けたのは流石だが」


そう、これこそがバルトの扱う原初魔法だった。


その対象の血液や髪があれば、姿を変えてその能力を使用することが可能でジークの知る限り変装魔法の中でも最高位の魔法。


外見を見せかけるのではなく、中身まで変化してみせる肉体変化の原初魔法。

無系統の原初魔法『変体変幻(メタモル・フォーゼ)


「サナに化けた姿を見た時は流石に引いたけどな。理由があったとしてもアレはないだろう」


準決勝でサナに化けて暴れたのは、バルトだったことをジークは気付いていた。


本物の彼女よりも能力が随分向上されていたのは彼がこれまで魔法で化けて使った魔法式をサナの姿で使用しただけだ。

最後にクロウに化けた《復讐の壊滅者(リベンジャー)》の呪いで魔力を封じられたが、あの時も魔力波長パターンを切り換えただけ。


使用された魔法の特性は指定した魔力に対する毒化と耐性であるのなら、その波長パターンを切り替えれば毒性はともかく耐性については意味をなさなくなる。


ジークが相手の魔力を読み取る際の対策だった為、その試合では簡単に勝利したバルトであったが、それを抜きにしても今のジークはとても強かった。


(即座にパワー勝負で挑もうとしたが、火力以上ににこっちは火加減も上がってる。近接戦じゃほぼ勝ち目はないぞ?)


オーガに化けて剣や斧を振るいにくるバルトをジークは纏っている火炎のオーラと強化された身体能力のみで圧倒していた。

力任せに降ろされた剣も赤きオーラを纏った手刀で両断。変則的に振り回してきた斧の方も拳で粉砕すると、懐に入り流れるように数発拳を入れて膝蹴りも加えた。


バルトも負けず筋力に加え鬼のタフさも備わったことで、すぐさま懐に入ったジークの顔に向けてその大きな拳で入れた。

だが、その拳はジークの顔に届く前に間に入った手によって遮られ、拳は手に纏っていた火炎のオーラによって燃え出した。


(何か時間を稼いでいる節があるようだが、タフさ上げてもあまり意味はなかったな)


一瞬にして手首から片腕まで燃えたが、バルトは空いている腕でジークを抱くように捕まえるとそのまま締め上げる。


しかし、どんなに力を込めても彼を締め上げるどころかビクともしない。


本来なら骨が跡形もなく砕け散ってもおかしくないほどの力であるが、有り余る魔力に最高位の身体強化を使用した今のジークが相手ではその力も全然足りていなかった。


……あまりの実力差に呆然とするバルトは、咄嗟に離れようとしたが、スピードが跳ね上がっている彼から逃げ切れるはずもない。


(というか、逃す気もないがな)


さらに魔力が上がった火炎を纏う拳の嵐を全身に受けて、意識が保たず混濁してしまった。




来週の日曜日に更新予定です。

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