表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

少女の正体2

「ハァ・・・ハッ・・ハァ~・・」

家に着くころには俺はものすごく息が上がっていた。

そりゃそうだ。4丁目から俺んちまでの距離は結構ある。

それをノンストップで走ったら息も切れるだろう。

だがこの少女は息が切れていない。それどころか汗ひとつかいていない。

どこぞの波紋使いだ。

「お、おい・・・お前・・」

「雫です!」

「すまん・・・し、ずくさん・・・」

「「さん」はいりません。なんですか?」

俺は息を整えて、

「あなたは本当に幽霊なんですか?」



「はい」



雫さ・・・、雫はニコッと微笑んでそう言った。


「とりあえず中入るか?」

「うん!」

そういうと俺たちは俺の家に入った。



「お父さんとお母さんは?」

「実家」

「独り暮らしなの?」

「あぁ」

「へぇ~」

・・・・・・・・・。

会話が続かない。

無理もない。

いまだに雫が幽霊だということを信じられない。

「なぁ本当に幽霊なのか?」

「しつこいなぁ。人には見えないんだから幽霊以外ないじゃんかぁ」

「まぁ、そうなるけど・・・」

「だから私は幽霊。何者にも見えない孤独な者・・・」

寂しそうに雫が言った。

「もしかしてお前、寂しかったのか?」

「なっ、別にそんなことなかったもん!」

「じゃあなんで今寂しそうだったんだ?」

「それはっ・・!一人が、寂しかったから・・・」

やっぱりなぁ。

その気持ちわかるよ。

よし、突然だが、独り暮らしをすると分かることがある。

最初は独りは気楽でいいな~、などと思っていた。

が、いざ独り暮らしをすると料理、掃除、洗濯、買い出し、と色々なことを独りでやらないといけない。

それは知ってたし、ていうか当たり前なことだから覚悟はしていた。

だから家事とかはちゃんとこなしていた。

けど毎日独りで生活していると何か物足りなく感じてくる。

そう、それはいろんなことを分かち合える人、だ。

家事のしんどさ。ご飯のおいしさ。会話の楽しさ。

そういった感情を誰かと分かち合えないのは、なんというか、胸が詰まるような感じがする。

まぁ家族より彼女と分かち合う方が絶対にいいと思うけど!

この子は独りで誰にも気づかれずに生きてきたんだ・・・。

あ、生きてないか。

ん?

ここで一つ疑問が浮かんだ。

幽霊と言っても種類は様々だ。

その中でも死んでいない幽霊、つまり「生霊」というのがいる。

生霊は言わば、生きた人の感情の塊みたいなものだ。

もしかすると雫は生霊の類いで実は死んでいないのかもしれない。

本人も死んだことを覚えていないし、もしかしたら生霊の可能性があるかもしれない。

「雫。もしかしたら生霊っていう線もあるんじゃないか?」

「どうしたのいきなり?」

「いや、雫は実は生存していて、今いる雫は生霊なんじゃないかと思ってな」

「ん~それはどうだろ。私4年ぐらい幽霊やってるし。生霊ってそんなに長く居れるのかな?」

「4年っ・・!」

4年も幽霊やってるのか!?

寂しくなるのも無理はない。

「あの~、雫さん。お歳はいくつで?」

「16歳!んで4年前は12歳!幽霊なのに成長するんだよ~。すごいでしょっ」

しかも歳をとる幽霊・・・!

はたして幽霊は歳をとるのか?

そんなもん誰にもわからない。

だが現実にこの子は歳をとっている・・・。

幽霊とはなんなのだろうか・・・。

俺は頭の中でいろんな考えが混ざり合い、眠くなり、

そして、考えるのをやめた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ