四丁目の廃墟4
「だ~か~ら~、私、幽霊なんだって!信じてよ~」
今の状況を説明しよう。
この月下 雫さんという少女は幽霊だそうだ。
この幽霊少女にはなぜかわからないが記憶がないらしい。
覚えているのは自分の名前だけ。
どこで死んだのか、どうして幽霊になったのかはわからないらしい。
以上。
信じられるわけねーだろ!!
「あーはいはい。幽霊ですね、わかります」
俺は適当に流す。
だって信憑性のかけらもねーもん。
「もー!適当に流さないでよ~」
「そんなこと言ったってなぁ。じゃあ一つ聞くが、幽霊ならなんで触れるんだよ」
「それはっ・・・」
「じゃあ百歩譲って触れる幽霊としよう。だがなんで会話ができる?なんで姿ははっきりしてる?なんで体温は温かいんだ?」
「一つって言ったくせに・・・」
「それになんで自分が幽霊だとわかる?」
「それはその・・・、他の人には見えないから・・・」
なんなのだこの電波さんは。
どこかで頭でも打ってしまっているのか?
なんで他人には見えず俺には見える?
意味不明だ。理解不能だ。
「じゃあその他人には見えないという証拠を今から証明してみろ」
俺は何一つ信用せず提案する。
「いいよ!でもこれで私が本当の幽霊だったらどうする?」
本当に幽霊だったら?
「びっくりする」
「そーじゃなくて~」
びっくりする以外になにがある?
俺も幽霊になるか?
「私の言う事なんでも聞いてよね!」
「あぁ、いいぜ。なんでも聞いてやる!」
良かった~、俺も幽霊になるのかと思ったぜ。
まぁそれはそれで面白そうだけど。
ていうか幽霊なわけねーし。
こんな生きた人間となんら変わりもない少女が幽霊なわけがない。
俺はそう自分に言い聞かせた。
「じゃあ行くか」
「うん」
そういうと、俺たちは四丁目の廃墟を後にした。




