その1
亀更新でごめんなさい
これは連載というか中編です
たぶん2~3話ぐらいで完結します
駄文ですが楽しんでいただけるとうれしいです
始まりはネットで知り合った友人と行ったライヴだった
「楽しみだね!!ライヴ!!」
満面の笑みで私を見る夏音さん
夏音さんとはネットで知り合った
年は私の1つ上の高校3年生
好きなバンドが同じで住んでる町も近くだったのであっという間に仲良くなった
大人しそうな外見に反してさばさばと明るい性格で楽しい人だ
「そうですね!!なんたってKazuさんに会えるんですから!!」
私がそう返すと夏音さんはへにゃりととろけた笑みをこぼした
「それよか私はKazuさんよりSyoさんに会えるのが嬉しいなあ…」
「あはは夏音さんSyoさん大好きですもんね〜」
「そう言う友乃ちゃんもKazuさん大好きだよね〜」
「だってカッコいいんですもん!!」
「だよね〜みんなカッコいいもんね〜」
私達は二人揃ってへにゃりとした笑みを浮かべた
私達が今どこに向かっているのか
答えは地元の小さなライヴハウス
今日はそこに私と夏音さんの大好きなバンドが出演するのだ
因みにそのバンドは私と夏音さんが知り合うキッカケとなったバンドである
先程から私達が口にしているSyoさんとKazuさんというのはそのバンドのメンバーだ
Syoさんはヴォーカル、Kazuさんはギターをつとめている
最近結構売れてきたのでこんな小さなライヴハウスに来ることはめったにない
このチャンスを逃すまいと私達二人はやってきたのだった
ライヴが始まって
私達は最前列ではないものの、メンバーがよく見える場所を確保し、ライヴを見ていた
あ〜カッコいいな〜…
私はKazuさんの近くを確保し、夢見心地だった
その時
…あれ?
私の顔が一気に熱を持った
今…Kazuさんと…目があった気がしたんだけど…
気のせいかな…気のせいだよね…
ライヴが終わって
私と夏音さんは興奮冷めやらぬままライヴハウスの中にいた
「かっこよかった!!もう超かっこよかった〜!!」
夏音さんはひどく興奮した様子で喋っている
気がつくとライヴハウスに残っているのは私達二人だけになっていた
「あれ…そろそろ出よっか。誰もいなくなっちゃったし」
「そうですね」
出ようとして、私がふと顔を上げると目の前に人が立っていた
その人は先程見た人だった
「か…か…Kazu…さん…?」
そう
私の目の前に立っていたのはまごうことなきKazuさんだった
「え?あれ?なんで…」
夏音さんも驚きを隠せない
彼は片方の眉をひょいと上げるとゆっくり微笑んだ
「さっきライヴ中に目ぇあった子だよね?」
…気のせいじゃなかった!!
「は、はい…」
…私もう死んでもいいかも
その時
「おーい和彦おー…って何してんだ?」
ステージ袖にあったドアからひょいとツンツン頭が覗いた
「……Syo…さん…?」
夏音さんが呆然と呟いた
Syoさんはくりっとした目をちょっと驚いたように開くと次の瞬間、にやあっと笑った
「なんだ和彦〜ナンパか〜?珍しいな〜」
「ちげえよ!!」
あ、Kazuさん真っ赤…
かわいい
Syoさんはあははっと笑いながらステージから飛び降りると、とっとっとっと歩いてきた
「ファンの子?」
にっこにっこと笑いながらSyoさんは私達に向かって首を傾げた
ちらりと隣に目をやると、夏音さんはこれ以上ないってぐらいに顔を赤くしていた
感激なんだろうな〜
私もだけど
でもなんで二人が?
「おい翔太、なんで出てきたんだよ」
「あ?あ〜、祐哉がなーとっとと着替えろってさ」
「お母さんかアイツは。で?呼んでこいって?」
Syoさんがこくりと頷く
いちいち仕草のかわいい人だなあ…
私がぼんやりと二人を眺めていると、Kazuさんがくりっとこちらを向いた
「?」
私がなんだろうと思っているとKazuさんがおずおずといった感じで口を開いた
「このあと…ひま?」
「へ?…ひまっちゃひまですけど…」
「あー和彦!!お茶に誘うとかだったら俺も行く!!」
「え?え?」
私達二人がキョトンとしているとSyoさんが満面の笑みを浮かべた
…え?な、何?
「二人共俺らとお茶しよう!!おごるから!!和彦が!!」
「おい!!…や、まあおごる…けど」
「やりぃ!!」
「お前の分はおごるとは言ってない」
「えーー!!」
Syoさんがぶーっと膨れた
その時
「おい翔太!!和彦!!」
さっきSyoさんが顔を出したドアからひょいと今度はふわふわ頭が覗いた
「祐哉」
「とっとと着替えろって言ってんだろーが。汗かいたまんまだと風邪ひくぞ」
Yuyaさんだ
Kazuさん達のバンドのドラムさん
ここまで来るともう驚かない
感激はするけど
Yuyaさんは私達を見てひょいと片方の眉を上げて、Kazuさん達二人を見た
「この子達は?」
彼に咎めるつもりはないようで、ただ純粋に疑問を口にしただけのようだ
その途端、Kazuさんがしどろもどろになった
「あ、あーその、だな…えっと…」
ちらっと私を見たけど目が泳いでいる
どうしたんだろ?
私が夏音さんのほうを見ると、夏音さんもちょうどこっちを向いていた
二人で顔を見合わせていると、Yuyaさんはにぃっと笑ってKazuさんを見た
「へーそっかそっか♪Kazuもやるんだねぇ♪」
Yuyaさんはふんふんと鼻歌でも歌いそうに頷くと、次の瞬間真顔になって
「今すぐ着替えな」
一言
Kazuさん達に言った
その瞬間Kazuさん達がびくっとなった
「ちょ…ちょっとだけ…待っててもらえる…?」
KazuさんとSyoさんがひきつった笑顔で私達を見た
私達がうんうんと頷くと彼らはほっとしたように笑って、Yuyaさんがいるドアから戻っていった
あのドアの奥は楽屋なんだろう
入っていったKazuさん達とは入れ違いに、今度はYuyaさんが歩み寄ってきた
うわー…
イケメンさんだあー…
Yuyaさんはメンバーの中では一番のイケメンさんなのだ
メンバーの中で…というか…
そんじょそこらの俳優さんやアイドルよりはるかにイケメンさん
うん
近くで見れば見るほど整った顔立ちに圧倒される
わー
鼻高っ
睫毛長っ
私達が呆気にとられているとYuyaさんがにぃっと笑った
「そっかー和彦がねー」
…楽しそうだなおい
「翔太もまんざらじゃないんだろうなー。ねー?」
ねー?と言われても…
私達が対応に困っているとYuyaさんはにぃっと笑って私達の肩に手を回した
すると私達がYuyaさんを左右から担ぐような形になる
「「!?」」
「あ、びっくりした?まままちょっと聞いて」
Yuyaさんはくすくす笑いながら口を開いた
「あの二人ね〜ナンパなんか滅多に…というか全くしないんだ。和彦に至っては女の子苦手だし」
え?そうなんですか?
内心思ったことが顔に出たんだろう
Yuyaさんはあははっと笑うとそうなんだ〜と答える
「ま、そういうこと♪」
そう言うとYuyaさんはぽんっと私達の肩を叩いて離れた
えーっと…?どういう意味?
私達が頭の上にクエスチョンマークを羅列させていると
ちょうど着替えを終えたKazuさん達が戻ってきた
というわけで
…ってどういうわけだ?
まあともかく私と夏音さんはKazuさんとSyoさんとご飯を食べることになって、今は街を歩いている
私の前では夏音さんとSyoさんが楽しそうに話しながら歩いている
気が合ったみたいで何よりです
ここまではいい
問題は…
私の隣をKazuさんが歩いていること!!
いや嬉しいよ?死ぬほど
でもね?緊張しちゃうし…
何より心臓破裂する
やべーやべーよ、おい
「あの…さ」
「は、はい!?」
あ、声ひっくり返った
ふはっとKazuさんがふきだした
「ごめんごめん。名前聞いてなかったなーと思ってさ」
「名前ですか?えっと友乃…です」
「ん、友乃って呼んでいい?」
「は、はい!!」
「俺は和彦って呼んで。本名のがいいから」
「はい」
わーKazuさんの本名って和彦なんだ
本名呼び…
しかも私呼び捨てされてるし!!
嬉しい…
「あ、あのぅ…」
ここで私は兼ねてから気になっていたことを訊ねてみることにした
「あの…なんで私に話しかけてくれたんですか?」
「ん?…ああ」
Kaz…じゃなかった
和彦さんは私を見るとちょっと目を泳がせてから、言いにくそうに口を開いた
「なんか…すごい楽しそうに見てくれてたから…気になって」
楽しそうっていうか…楽しかったんですけど
「俺楽しそうな人好きなんだよ」
「へ?」
「うん。だから気になったんだと思う」
「はあ…」
自分の顔が一気に赤くなるのを感じた
私は赤くなった頬を隠すように俯いて歩いた
「はー…」
次の日
私は学校の自分の机に座ってケータイを眺めていた
ケータイの画面に表示されているのはアドレス帳
そこに新たにつらなる名前を見ては何度も気のぬけた声をもらす
……高梨 和彦……
Kazuさんの本名
昨日
あの後、私達四人は近くのレストランで食事をし、その後私と夏音さんはSyoさんとKazuさん…もとい翔太さんと和彦さんの見送りをうけて電車に乗り、家に帰った
その際に私と和彦さんは連絡先を交換した
……夢じゃなかったんだなぁ…
…夢のような現実
その時
ケータイが震えだした
メールだ
画面を見てそこに表示された名前を見て目を見開いた
…『高梨 和彦』
慌ててケータイを操作して、メール画面を開く
件名:無題
本文:
いきなりごめん
昨日はありがとう
今度またご飯行こう
とうぶんツアーで忙しいから無理だけどツアーが終わったら絶対
またメールします
男の人らしい絵文字なしのシンプルなメールだけど
私の頬は自然と緩んでしまう
素早くメールを組み立てて返信する
夢じゃないのだ
それからしばらくして
私は普通に日々を過ごしていた
かずさんとは度々メールのやり取りをしたり、電話をしたりしている
呼び方も和彦さんから、かずさんに変わった
あ、そうそう
夏音さんに至っては、翔太さんとすっかり意気投合してしまったらしい
かずさん曰く、そのうち付き合い出すんじゃないかって
私もそう思うしね
夏音さんは嬉しそうだ
幸せなんだろうなって思う
そんなことを考えつつ、部活に向かうため、廊下を歩いていると声が聞こえてきた
「ねーあれ誰だろ」
「えーどれ?」
「あの校門の前に立ってる茶髪の背の高い人」
「見たことない人だね。校外の人かな。誰か待ってるんじゃない?」
…茶髪?…背ぇ高い?
声の主は窓の近くにいる女の子達のようだ
彼女達の見ている窓からは校門が見えたはず
私はなんとなく気になって、吸い寄せられるように別の窓から校門を見た
…その噂の主を見た瞬間身体が動いた
私は走り出していた
途中ですれ違った先生が「廊下を走るな」って怒鳴っていたけど気にしない
だってあれは…!!
階段を一段飛ばしで一気に駆け降りると自分のローファーを突っ掛けて昇降口を飛び出した
驚いた昇降口掃除担当のクラスメイトを無視して校門に向かって走る
やっぱり…
校門に立っていたのは…
「かずさん!!」
「友乃」
かずさんだった
いかがでしたでしょうか?
このお話は私の理想というか願望です
私の妄想が爆発してますが優しい目で見てやって下さい…
このお話はできるだけ早く続きを更新しますので
次回も頑張りますのでよろしくお願いします!!




