表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

音楽至上主義の世界、ポンコツでした

作者: 夜麗出ユウ
掲載日:2026/02/01

僕の両親は音楽に深く携わっている。そのため、僕も音楽に小さい頃から関わって来た。

僕の両親はいつもは優しくおだやであるが音楽のことになるとすぐに神経質になる。

いつもは、

「今日の学校はどうだった?」や、

「好きなことは飽きるまで続ければ良い」

と、本当によくしてくれる。

が、音楽になると

「違うそうじゃない。もう一回音符音読して」

「目は瞑るな!!楽譜がわからなくなる!……目が痒い?気合いでなんとかすればいける!だから目は閉じるな!!」

…という、いつもは微塵も感じさせない母の冷徹さ、父の少し脳筋になるところ。

だから少し、僕は音楽が嫌いだった。



だが………




「神聖な音楽発表の場に、何事ですか!?」


「ピアノに激突………?どんな理由があろうと許されるものではない!!!」


何故か僕、異世界に来ちゃったみたいです。

________________________

僕が来てしまった世界は音楽至上主義。音楽に深く関係する、例えば楽器やこの世界で有名な作曲者などの音楽をつくる人を崇拝したりする。(僕には意味がわからないが)

授業はほぼ音楽。時々体育など体を動かす時があるが、本当に音楽しかやらない。

中学生は自分がどのジャンルの音楽をやっていくかを極めるらしい。本当に、元の世界と方式は同じだが音楽しかやらない、という謎めいた異世界に来てしまった。


“世界は音楽を中心に回っている ”

なんて思っていそうだ。




……まぁそのせいで皆、頭の悪さがかなり壊滅的だ。

例えば、


「歴史……?確かに音楽の歴史はいつでも完璧だ!!…え?文化の歴史???そんなもの全て過去だー!!!!!」

音楽の歴史は学びたがるがどのように国が成り立って行ったのかは知りたくないらしい。歴史が苦手という生徒は多いがここまで癇癪的にならないだろう。


「あいあむ……?音楽は言葉の壁を乗り越える!!!不要だ!!!!」

確かに、音楽は言葉の壁を乗り越え誰もが楽しめる。だが=不要とはならないだろう。


この世界ではこれが常識なのか。ため息が出ちゃうよ。



この世界の人間たちがどうやって文明を築いて来たか、そのような歴史書はもう残っていない。これは僕の予想だが、昔は前の世界と似たような文明だったのだろう。

しかし、どこかの時代の人間が音楽にえらく感動を受け、子どもたちにずっと音楽の良さを布教していたのだろう。………狂人だ。


さて、そんなことをなぜ知れたのかというと……





「つまり!!!音楽とはこれからも残り続け、永久に不滅であり実質不老不死の最高の芸術なのだ!!!!」


「えぇ、因みにこのピアノは交響曲を弾く専用のピアノ。まぁ全般だから5000万と安いの。ホールには一曲を弾くためだけ専用のピアノがあるの!!私も弾いてみたいのよ!ね、どう思う!?」


という、この世界では普通なのであろう狂人どもが5時間くらい喋っていたからだ。


許されるものではない、と喚かれていたが僕はその時限定のなんともご都合のいい頭で「あ、ここ音楽のやばい世界だ」と思い瞬時に、


「ぼ、僕!!ピアノを芸術的に壊すプロやってまして!!」

と、自分でも意味のわからないしっちゃかめっちゃかな言葉を言った。

そしてその時の反応を参考までに、


「あらそうだったの!!確かに見れば見るほど芸術的な壊れ方!!下手したらとこかのピアノ美術館に飾られるかも!!」



正直思ってしまった“この世界、音楽系に関するものてきとーに言っとけば犯罪者無罪になりそうだな”と、

だがこの考察は瞬時に僕の頭の中で壊れた。


この世界の人間は、揃いも揃って芸術人肌だ。だから犯罪者たちは完全犯罪ができなかった途端自首して来そうだ。

自分でも何を思っているのだと思うが、この世界だと通用しそうで逆に恐怖している。


しかし、ポンコツな世界でありながら唯一感心できることがあった。

音楽についてだ。


あの後僕は、2人の狂人夫妻に半ば強制で違うホールに連れて行かれた。

休日らしく、色々なホールで朝から晩まで演奏を聞くのだそう。

夫妻が予約していた席とは別に空いている席があるかを聞いたところ、夫妻にとっては運良く別の空席に案内された。正直逃げようとした。


しかし、演奏が始まった瞬間僕はのめり込んでしまった。お世辞でもなんでもない。本当に綺麗だと、美しいと思った。

元の世界だって、歴史が紡がれ、新たな法則の発見や事実判明。異説が定説になるなど本当に発展していた。それとほとんど一緒だ。


この世界も存外悪くないと感じた。


「さっきの演奏聴きました!?!あの楽器様方から奏でられる音……そして奏者様に指揮者様…全てが噛み合わさってブラボー!!って感じでしたわ!!!」


嘘。楽器を楽器様とか言ってる時点でダメだ。

________________________

「……そういえば、何故僕を連れて来てくれているのですか?」


「そうね。……ちょっとした感謝よ」


「感謝………?」


「えぇ、あの演奏が終わった後の伴奏者様が礼をしている間にピアノを壊す。最初こそびっくりしてしまったわ。何故ピアノ様を壊すのだろうって。でも、きっとそんな批判を言われても、それ以上に観客に盛り上がって欲しかったんだろうってあなたが壊すプロと聞いて思ったの。それほど勇気がある人、あまり見ないから」


「あ〜はは……よく言われます…」

うん、そういうことにしておこう。


「そうよね。私達、とっても嬉しくなったの。だから、これはお礼。さっきの演奏を一番楽しみにしていたからちょうどいいと思ってね。私達が楽しみにしていると言ったのだからきっと喜んでくれると思って」

さらっと性格出してくるな〜…


「じゃあ、またいつかどこかで。さようなら」


その夫妻とは別れた。

夫の方は普段は無口、自分の好きなものの愛はとことん喋るタイプだったのだろう。

道中はほとんど喋ってなかった。頷いてはくれていたし嫌われていたとは思いたくない…

嫌われたらとことん嫌われそうだし………(偏見)


これからどうしようか。



というか、何故僕はこの世界に来たんだ?


________________________

遅い気はするが一旦状況整理をしよう。

……元の世界で僕、何してたんだっけ…?



あぁ、父に言われてピアノをやっていたんだ。いつも通り変なこと言われて、脳筋なこと言われて…思い出したくないこと思い出した。


それで……楽しくないなーって思ってた時に急に意識が遠くなって…

気がついたら落ちてたって感じか。


それはそうと、どうやって元の世界に帰ればいいんだ…?

この世界にいると僕まで頭がおかしくなる………

そうなる前に早く元の世界に戻らないと


「ちょっとそこの君!!!こんな時間に1人で何を?」

また変な人…まぁ警官?に話しかけられた。

どうせ本業音楽でボランティアでもやっているんだろう。

指揮棒を警官で言う警棒がある場所にあり両手とも違う動き……簡単に言えば、よくピアノをやっている人にしかできないなどと言われる技をやっている人。……やっぱ狂人だ。


「えっと………帰る家なくて」


「なに!?!……はっ、親がどうせ落ちこぼれなんだろう。可哀想になw」

うわむかつく。まぁこの世界じゃ浮いた服装であるのは分かるけど…


「違います!!……あの、俺ピアノを演奏後に芸術的に壊す“プロ”で…家をそれで壊してしまいまして……」

プロは強調して言った。こう言う人には大事。


「ふむ……なるほど…ではいろんな人が使える公共音楽ホールに行きましょう。案内します」

敬語………あからさまに態度が変わった。やはりプロは強調して言って正解だったな。って言うかこの世界やたら音楽つけたがるよな………


________________________

警官(多分ボランティア)に案内してもらい、当分寝泊まりできるとのこと。

これで野宿しないで済みそう。


しかし、やはり楽器が多い。ピアノだけじゃなく、ある程度の楽器は揃っている。…僕が弾けるのはピアノとハープ。父からピアノ。母からハープ。

残念ながらハープはここにはない。まぁ、少し特殊な楽器だもんな。


僕以外にもそれなりに人がいた。多分、事故で家を失った人たちだろう。

服がきちっとしている。


僕の頭にふとした疑問が浮かんだ。


ここで元の世界の曲を弾いてみたらどうなるのだろう?……と、

まぁ僕が弾けるのは「運命」とか「魔王」みたいな有名な曲だけど…

浮かんでしまっては仕方がない。少し弾いてみよう。


視線が集まってくるのがわかる。しかも良いものではない。

きちっとした服の中、僕は場違いな服装だからなのだろう。

鍵盤を叩くと、嫌な視線はみるみる驚きに変わっていった。弾き方は下手くそかもしれないが曲自体がいいからな。あと聞いたことがない曲で困惑しているのもあるかもしれない。

あと僕はなんで弾き始めちゃったんだろうと冷静になった。








だけど、









ちょっと、楽しいかも











あれ、意識が……………














「あーもう!!手癖悪い!!もっと優雅に弾かないと!」


あれ、帰ってきた?





__________________________

……という、まぁちょっとした異世界体験をした。

でも正直言ってもう異世界には行きたくない。よくアニメなどで見る魔法世界への転移。あれは当たりなのだ。とても稀なのだ。



正直、書いてて意味が分からないしこれは誰も読まないうちに燃やそう。

きっと頭おかしいって言われる。









でもあのことがあったおかげで、少し音楽が好きになった。

音楽が絶対的な価値を持つ世界を、

あえて少しズレた視点から描いてみました。


ここまで読んでくれてありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ