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【第15話:蒼の最深部】

かすかな光も、ふたりの足元には届かない。

げんじつの輪郭が消え、空間は蒼に沈んだ。

だれも触れられない世界。

けれど、影だけが形を残している。


たえず揺れる霧の中、ユウタは手を伸ばした。

しかし届くのは、自分の影だけだった。

影はまるで、ふたりの本当の足跡をなぞるように動く。


マリも同じだった。

あたりを見回しても、ユウタの姿は歪む霧の中。

げんじつはすれ違ったまま、影だけが正しい動きを示していた。


影が重なる瞬間、床に数字が現れた。


216


数字は止まらず、淡く揺れる。

ユウタの視界で見る数字は、かろうじて順序が保たれている。

マリの視界では、数字は部分的に欠落している。


「……影だけか」

ユウタは小さくつぶやいた。

「影だけが本当を知ってる……」


蒼い霧が足元から立ち上り、世界を包む。

霧は静かに回転し、影の輪郭をさらに明瞭にする。


深い蒼の中で、ふたりは手を伸ばした。

しかし届くのは影だけ。

それぞれの手が、相手の存在に触れられないまま、

影だけが“正確な位置関係”を示していた。


影は動き、形を変える。

まるで、ふたりの記憶のずれを補完しているかのようだった。


蒼い世界の奥に、数字がひとつ光った。


217


数字はさらに光を帯び、

霧を割るようにふたりの影を映す。


ユウタは気づいた。

「影が、すべてを知っている……」


マリも同じことを感じていた。

「影だけが、私たちの世界の真実……」


蒼の最深部、影の記録は

静かに、しかし確実に物語の核心を読者に示していた。


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