片思いの詩
初投稿です
「はぁ…」
今日も今日とて目前に迫る高校入試に追われ問題集とたたかう毎日。
俺、名塚明臣は自習室でつい大きなため息をついてしまった。
「ちょっと明臣、いっつもため息ばっかついてるじゃない。私といっしょの高校いくって決めたのはあなたでしょ?」
「そんなんならもう教えあげないんだからね」
こんなことをいってくるとなりのやつは鷹見詩乃。
詩乃とは小学校のときからの仲で今までも定期考査などのときにはくそほどお世話になってきたやつだ。なんなら今も受験勉強で頼っている。
そんな俺は彼女にスマホの画面を見せながら言った。
「だってもう勉強初めて2時間近く経ってるだろ?」
「学校もあったってのにそんなに集中できるのはお前だけだ。」
今の時間は22時を回っていた。
良い子は寝る時間である。
だが集中できないで有名な俺が2時間近くも勉強することができた。詩乃のお陰だ。
「あらそう?もうこんなに時間が経ってたなんてね。それじゃあもう帰りましょうか」
「だな」
荷物をまとめ自習室をでる。
季節は冬。あたりにはひらひらと雪が降っている。気温は0℃近くであり厚着をしていても体が震えてしまうくらいである。
すこし歩いたところで詩乃が俺に話しかけてきた。
「ちょっといいかしら」
「んん?」
「明臣が高校に受かりますようにって思ってミサンガ作ったの。入試まであとちょっと、一緒に頑張りましょう。」
「あ、ありがとな…」
詩乃にそんな優しさがあったなんてと思いながらも俺はミサンガをつけようとする
「あっ…」
「もう、何落としちゃってんのよう…」
「しょうがないから私がつけてあげる。」
「じゃ、じゃあたのむ」
そういって俺は、詩乃に左手を差し出した。
「できたわよ。」
器用な手つきで彼女は俺にミサンガをつけた。
久しぶりに手なんて触られたもんだからすこし
変な感覚に陥り、それと同時に心臓の鼓動がすこしはやくなった感じがした。
「こんなので赤くなるなんて初心なのね。」
「………うるさい、はやく帰えるぞ」
「ふふっ...わかったわよ。」
そのあと詩乃は終始いたずらにくすくすと笑いながら話していた。
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詩乃とはたわいない話をゆっくりとしながらここまであるいてきた。
「じゃあまたな」
「うん、また明日。」
俺らはそれぞれ帰路に着いた。
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「ただいまー」
すこし重い玄関を開けると、
「おかえりなさい、今日も遅かったわね」
「あれ?そのミサンガどうしたの?」
「詩乃が作ってくれたんだ、俺が詩乃と同じ高校受かりますようにって。」
「へぇー詩乃ちゃん優しいわね自分の勉強もあるってのに」
「もしかしたら詩乃ちゃんあんたのこと好きだったりしてね。」
「は?ななななないってそれは」
ミサンガをつけてもらった記憶が鮮明に蘇りさらに動揺してしまった。
「冗談よ、ふふふ」
「はやくお風呂はいってきなさい。」
母さんは機嫌良さそうにリビングに戻って行った。
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それから俺は風呂と飯や色々なことをすませ、
ベッドにもぐった。
「おやすみ世界。」
俺はそういって目を閉じた。
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