プレイヤー紹介
プレイヤー達は全員目を覚ました。
「プレイヤー諸君、お目覚めのようだな。」
「ここはどこなんだよ!」
「何で俺達がここにいなきゃならねーんだよ!」
プレイヤー達はモニターに映るジェイにひたすら叫び続ける。
「何故お前達がここにいるかって?これから楽しいゲームを楽しんでもらうためさ。誘拐されて残念だったと思うがしばらくお前達はここのユートピアで共同生活をしてもらう。」
「ここのどこがユートピアなんだよ!何もねーじゃねーかよ!」
「ユートピアの共同生活にあたり君達の財産や私物はこちらで全て回収した。」
ジェイは仮面の下で不気味な笑みを浮かべた。そして彼らの金目のものを見せびらかした。
「ふざけんな!」
「どう言うつもりなんだ!お前のやってることは盗みだ!」
「盗みか。それもそうだけどここでは法律なんてものは通用しない。このユートピアで楽しく過ごすためには俺のルールに従ってもらう。俺が法律だと思うと良い。」
「何頭おかしいこと言ってんだよ!」
「そうだ、そうだ!」
「今すぐ顔を出せ!とっちめてやる。」
「おやおや、君達そんなこと言って良いのか?せっかくこんな素晴らしいユートピアを提供してあげてるのに喜んで貰えないのは残念だな。」
彼らは会場から出ようとした。
「何、鍵がかかってる!」
「こっちもだ。」
「クソ、開かない!」
「無駄だ。ドアの開閉は俺でしかできない。君達が簡単にできるもんじゃない。無駄な足掻きをしても助からない。」
「クソ、はやく開けろ!」
「必要な時にしか俺は開けない。」
「分かった。どう叫んでも開かないわけだな。それで何のゲームを俺達にさせるんだ?」
「これから君達には長い長い脱出ゲームをしてもらう。」
「脱出ゲームだと。」
「脱出ゲームは名ばかりだ。ここから脱出するのには9つのゲームをクリアしてもらう。全ゲームクリアしない限りここから君達を外の世界に出すことはできない。」
「その9つのゲームって何なんだよ!」
「そう焦るな。ゲームをはじめる前に都度俺が説明する。それともそんなにゲームをしたいのか?それならゲームの種類を増やすこともできる。」
「ゲーム?馬鹿馬鹿しい。俺はそんなゲームはやらない。」
「ゲームは明日からはじめる。今日動揺してるのは無理もない。だから君達の為に事前に説明してあげてる。文句はないだろ?」
「文句しかねーんだよ。俺は参加しないからな。」
「今日はオリエンテーションだ。まず君達にはここで着替えてもらう。」
「何だこれ!」
彼らの所に囚人服が降ってきた。
「何だよこれ!俺は囚人じゃねーんだよ!」
「俺だって出所してるんだ。」
「うるさいな。大きな声で叫ぶな。」
「テメー喧嘩売ってるのか?」
「喧嘩売ってないけどお前と同じプレイヤーとして扱われるのが不愉快なだけだ。」
プレイヤー達は服を着る気配がなかった。
「そんなにその服が嫌いなのか。君達には似合ってる服なんだけどな。しょうがない。服を着れない君達にはロボットを使うしかないな。」
「来るな!」
天井から降ってきたロボットがプレイヤー達を抑えつける。
「驚かせたな。これは我々が作ったAIだ。良い年にもなって服をろくに着替えられない君達にはこうするしかなさそうだな。今の気持ちはどうだ?自分で服をまともに着れないプレイヤー諸君。」
「やめろ!離せ!」
「何すんだよ!」
一部のプレイヤーは拘束するAIに対してかなり抵抗した。
「ふん、これで満足なんだろ。」
プレイヤー達の着替えは終わった。
「全員が着替え終わったようだから、ここにいるプレイヤー達を俺から紹介する。」
プレイヤー達はお互いを見た。
「ここにいるプレイヤーは知っての通り全員アメリカ国籍だ。一人目を紹介する。一人目はウィル・ムーアだ。」
モニターにはウィルの顔写真が出てきた。
「お前、ウィルって言うのか。」
「とある田舎町で男性3人を殺人して外国に逃亡。家族構成は父親は小さい時に君を虐待して離婚。そして母親のもとで一人息子として暮らしてく。」
「おい、お前何でそこまで話すんだよ。」
「おっと、悪かったな。わざとじゃない。だけどお前の生い立ちを聞いたところで殺人の免罪符になるか?言っておくがここにも味方は1人もいないと思ったほうが良い。殺人事件の内容も嫉妬から来るものだな。」
「お前、ぶっ飛ばすぞ。」
「君、この状況でそんなこと言える?俺はここのゲーム管理するゲームマスター。君を殺すことなんていくらでもできるんだよ。それと一つ言い忘れたがこのゲームで一人でも死んだらプレイヤー全員が死ぬことになる。」
「嘘だろ…」
「は?そんなの信じんねーよ。」
「脅しか?」
「死にたければ脅しだと思うが良い。その代わり君達全員の命は危ない。」
ここではある意味死が平等である。
「こんな君達でも流石にこれがどう言うことか分かるよね?少しでも生き残りたければ俺を殺そうとか馬鹿なことを考えないことだ。」
ゲームマスターは悪人を追い詰めるためなら独裁者になることもいとわない。
「もっと賢い判断をすることだな。次のプレイヤーはリック・ウィザースプーンだ。」
全員、リックの方に目を向ける。
「ゲームマスター、こいつは何をしたんだ?」
プレイヤーの一人、ディーンがジェイに聞く。
「このプレイヤーは過去に女性を30人強姦して殺人をしてる。」
「お前のアナルにぶち込む必要があるな。」
「マジで終わってるな。クソだろ。」
ここでも性犯罪を起こした者は嫌われる宿命だ。
「静粛に。まだプレイヤー紹介は終わってない。こいつがこのような動機に走ったのは女性が殺される姿に快楽を覚えてるからだ。」
「はは、俺のことを嫌うが良いさ。俺は快楽のためなら嫌われることも考えない。」
「それにこのプレイヤーは刑務所から脱獄した。」
「救いようのないクズだな。」
プレイヤーの1人、スティーブンが殴りかかる。
「やめろ!」
サーマンが止めに入る。
「何でだよ!」
「こいつを死ぬまで殴ったら俺達が全員死ぬ。お前の無責任な行動で俺を巻き込むな。」
スティーブンはサーマンを殴った。
「やめろ!」
「おやおや、早速喧嘩だな。だけどそんなに怪我させて良いのか?お前らこのゲームがいつ終わるか分からないのにな。それに俺はお前らを手当てするほど心優しいゲームマスターなんかじゃねー。こいつが死ねば全員が死ぬ。もちろん殴ったやつもな。生き残りたければよく考えて行動することだな。」
サーマンとスティーブンは睨み合った。
「次に紹介するプレイヤーはジョージ・クレモンズだ。」
ジョージに視線が向けられる。
「彼はとてもキレやすい性格の持ち主だ。何かあるとすぐ怒る。過去に付き合ってた女性数人に殴る蹴るなどの暴行を加えていたやつだ。そして彼が夫婦生活を送ってた妻も思い通りにいかないから暴力で支配。そしてついには殺人して帰らぬ人にしたようだな。」
「俺がそれやった証拠はあるのか?」
「俺の言うことは確実なデータに基づいて話してる。どんなに抗おうがこの事実は一生消えることはない。しょうがないな短気な君はどんなことを言っても自分の都合の良いようにコントロールすることしかできないからな。自分の都合の悪い真実はなかったことにする。名俳優として君のことを褒めてやるよ。」
「ずいぶん偉そうだな。」
「これ以上怒るとますます君のことを怒らせたくなるな。こんな所で俺と戦おうとしても君は勝つことはない。それも事実だから。そしたら次のプレイヤーを紹介する。」
「次は誰だ?」
「次のプレイヤーはスティーブン・ハンソンだ。」
全員スティーブンの方を見る。
「このプレイヤーはかなり嫉妬深い人物だ。そして疑い深い人物だ。嫉妬深さから当時の妻を手錠で縛って監禁する行為いたったり、酷く束縛していたようだな。運よく逃げた彼女を他の男の所に行ったと思い込み銃殺した。こいつの罪は妻殺しだ。第二級殺人罪として禁錮15年。その後刑期が終わり釈放して2年の月日が経ったと言うわけだ。それからも自分の罪を認めてない人間。君も自分が一番大好きな哀れな人年というわけだ。」
「人のこと言える立場ではないな。」
「本当にそうだな。」
リックとサーマンがスティーブンを叱責した。
「お前らのようなサイコパスと自分のことを棚上げてる奴らが言うしかなどない。」
彼は2人に言い返した。
「次のプレイヤーを紹介する。次のプレイヤーはザック・マグワイアだ。」
「俺が何をしたわけだ?さっき紹介した4人のように人を殺してなんかいないけどな。」
「君が潔白など一言も言ってない。」
ジェイはザックに言った。
「君はヘイトクライムを連日起こす白人至上主義者だ。数々の差別対象を故意に殴ったりしたりバレないように放火をしたようだな。君のような中々法で裁けない人間もいるようだな。それと君は国に対する問題を全て関係ない誰かのせいにする傾向があるな。はやくその傾向が治ると良いな。だけど君には無理か。」
ジェイは笑った。
「俺は移民から国を守る正義の行動をしたんだ。」
「正義?君の性格を分析したがかなりの他責思考の人間だな。君は自己正当化をしたいだけだ。」
「俺がやったことは犯罪ではない。国を守る立派な行為だ。」
「そんなこと言っても君には伝わらないようだな。しょうがないたくさんのゲームを楽しんで貰うしかないな。次のプレイヤーを紹介する。次のプレイヤーはロバート・バイロンだ。」
全員彼を見る。
「こいつは何をしたんだ?」
ディーンがジェイに聞く。
「このプレイヤーはアジア系住民に日々暴行を繰り返す黒人男性だ。」
「は?いちいち黒人なんて言う必要あるか?差別だ!」
「どうやらしゃくに障ったようだな。だけど君のことを紹介するのには必要。何故なら君もさっき言ったザックのように故意にヘイトクライムを起こしてるからな。それにわざわざ中華街にでも来て通り行くアジア系住人を殴ってるな。街なかの人が何も言えないのを良いことに好き放題殴ってるな。君は特定の人間を殴ることでしか自分の価値を見いだせない可哀想な人間か。人生に満足してないことだけは同情してやるよ。」
「俺はこんな犯罪者達とは違う。」
「黒人は嫌いだが、こいつの行動は間違ってない。」
「ザック、君は自分の考えに近いなら都合良く態度変えるんだな。まあしょうがないようなここで君の味方をできるのはロバートしかいないから。そのうちロバートにも裏切られたらお前は辛い孤独と言うのを味合わないといけないな。可哀想に。」
「てめー、なめてんのか!」
ザックとロバートが怒鳴り続けた。
「静かにしろ。」
「俺達だけでも見逃せ!」
「静粛に。分からないならこうしてやっても良い。」
突然モニターの横から大きな銃が出てきた。
「君達が1分以内に静かにならないならこの銃で撃ち殺すことできる。」
「そ、そんなの卑怯だぞ。」
「君達は力や権力を使って相手をコントロールしてる。これくらいされても同情されるような人間ではない。どんなに騒ごうが、君達を殺そうと思いたい人は消えない。それを覚えてくことだな。」
他のプレイヤーが止めに入り2人は静かになった。
「2人が静かになったから次のプレイヤーを紹介する。次のプレイヤーはディーン・スタスキーだ。」
「今度は俺か。」
「このプレイヤーはかつての息子に毎日のように虐待をしてついにその息子と口論になってナイフで殺した前科ありの男だ。才能のあった息子に嫉妬した。それに自分が一番でないと気がすまない人間だ。第二級殺人罪で禁錮はたったの10年。その後刑期を終わり釈放。法定では正当防衛と主張したがとても同情できないな。」
「息子殺しとか、流石に俺でもやらないな。」
ウィルはディーンを白い目で見た。
「次はジャクソン・ストレイス。売れない配管工だ。このプレイヤーは動物虐待の罪で逮捕された歴がある。」
「動物虐待?俺はそんなことしてない!愛する動物と憩いの空間を過ごしてただけだ!」
ジャクソンは声を荒げた。
「どういう事だ?」
「動物虐待?愛?」
他のプレイヤーは少しだけ困惑した。
「このプレイヤーは多頭飼育崩壊を起こして、不衛生な環境で犬や猫やウサギ60頭以上を死なせている。その結果動物愛護法違反で逮捕、さらに罰金が科された。その後も多頭飼育崩壊を起こして今でも続けてる。」
「俺は可愛い動物達と憩いの空間をともに過ごしただけ!何も悪いことはしてない!それに動物を殺してない!」
「それなら今日から君だけケージの中で過ごすか?」
「俺は人間だ!」
「お前のやったことはそう言うことだ。君のことはいつでもケージに閉じ込めておける。それじゃあ、最後のプレイヤーを紹介しよう。そこにいる男は音楽プロデューサーの男だ。この前世間で暴露されたが音楽業界を夢見る未成年の女子や男子をパーティーに薬漬けにしたり隠し撮りしたゆえに卑猥な写真を送りつけたりした。それに過去にも妊婦の女性に対しての性的暴行の歴もある。」
「お前、性犯罪者だからリックの野郎のことを庇ったんだな!」
「は?それとこれは関係ないだろ!」
スティーブンがサーマンを叱責した。
「お前だって立派な犯罪起こしてただろ!」
「お前の犯罪よりかはずっとマシだな。」
「これでプレイヤー紹介を終了する。俺の紹介をしていなかったな。俺はここの会場でゲームを運営するジェイだ。これから君達に楽しいゲームを提供してやるよ。」
プレイヤー紹介は終わった。次の日から理不尽なゲームがプレイヤー達をどんどん襲っていくことになる。