ハッピーライフ
「今度は何のゲームだ?おい、お前ら全員終わらせようぜ。」
「お前らの言う通り、残りゲームあと2つだ。」
「次のゲームだからなんだ?」
「宜しい答えよう。第8ゲームはハッピーライフだ。」
「ハッピーライフ?何だそれ?また変なゲームじゃないだろうな?」
「俺が君達に用意するゲームは常識を逸脱したゲームだ。君達のようにな。ルールを説明するこのゲームは台本通り劇をしてもらう。役柄は俺の方で決める。」
「それなら俺がスーパーヒーローか?」
ザックが言った。
「お前はただ悪役のそばにいる雑魚だろ。」
プレイヤー達は嘲笑った。
「何だと?」
「何かこのイヤホン外れない!!」
ザックはイヤホンをとろうとした。
「言っておくがこの劇ではスーパーヒーローなどいない。ゲームプレイ中はイヤホンをつけてもらう。ゲームが終わるまで外れない仕様になっている。そしてAI役者と一緒に演技してもらう。」
たくさんのAIがプレイヤー達のもとに近づいた。
「それでは配役だ。ウィル・ムーアは窓の役だ。」
「は?窓だと?そんな役引き受けない。」
「お前の役小道具かよ!」
ジョージが笑った。
「そうか。それなら第1ゲームからやり直すか。最善の選択を取るんだな。」
ウィルは他のプレイヤーの視線とゲームのやり直しを考えて役を引き受けた。
「リック・ウィザースプーンは売春婦の役だ。もちろんただの売春婦ではない。過激なプレイもする役だ。お前には適役だな。」
「クソが!」
リックにとっての一番の屈辱をジェイは把握していた。
「ジョージ・クレモンズは犬の便所だ。」
「マジで言ってんのかよ!」
「さっきお前馬鹿にしたよな?犬の便所役よりかはマシだな。」
「役を変えろ!ウィルの方が適任だ!」
ジョージはウィルに指さして言った。
「話聞いてないのか?役を引き受けないなら第1ゲームからやり直しとするぞ。良いのか?」
「分かったよ。」
他のプレイヤー達は嘲笑う目で彼を見た。
「スティーブン・ハンソンは暴力を受けたり経済的DVを受ける妻を演じてもらう。もちろんできるよな?役をよく理解できそうだし。」
「あー、分かったよ。」
「ザック・マグワイヤはアジア人役を演じてもらう。そして同じくロバート・バイロンもアジア人役だ。」
「おい待てよ!そんな役やるなら死んだほうがマシだ!」
「馬鹿言うな。」
スティーブンが2人の頭を引っ叩いた。
「何すんだよ!」
「簡単に死ぬとか言うな!お前の身勝手な行動で俺達まで死ぬことになるんだぞ!いい加減にしろ。」
「次はディーン・スタスキーは父親から酷い虐待を受ける息子の役だ。」
ディーンは何も言わず黙っていた。
「ジャクソン・ストレイスは飼い主から狭いケージで虐待を受ける犬の役だ。」
「多頭飼育は悪かった。だけどこんな役あんまりだ!」
「悪いと思ってるなら役を引き受けることだな。最後にサーマン・ゴンザレスは家庭教師からセクハラを受ける男子生徒の役をやってもらう。それとAI役者には父親役をやってもらう。」
プレイヤー達はあっという間に衣装を変えた。そして劇ははじまった。舞台は1950年代だ。
「あなた、無駄遣いするのはやめて!お酒飲んだり女遊びに使ってる場合じゃないでしょ!ディーンの習い事の費用も払えなくなるのよ!」
スティーブンは言った。
「俺の力がなければ生きてけないお前が軽々しくこんなこと言うな。」
スティーブンはAIによく殴られた。そして台本通りに彼は逃げて行く。
「逃げんなよ!」
「やめて!」
「パパ、やめて!ママをイジメたら僕が許さない。」
ディーンが言った。
「うるさい!こっちに来い。」
彼は別室に連れられ酷く殴られた。
「ディーン。あんたのせいでこっちまで殴られるのよ!この前だってあんたがブロッコリー残したことで私の監視不足で殴られた。あんたなんていなければ!」
スティーブンはディーンを何度も殴った。
「何してんだ?俺は疲れてるんだよ!黙れ!黙れ!」
スティーブンとディーンは殴られた。ディーンはトラウマを思い出しながら演技をしていた。
「今日はこのエチュードを弾いて。」
別室ではサーマンがバイオリンのレッスン受けていた。
「今日はここまで。こっちを向いて。」
サーマンは男性講師に全身を触られた。
「お父様!講師を変えてくれ!」
「何度も言うが講師は変えない。こんな素晴らしい名誉ある講師を変えられない。全てお前を立派に育てるためだ。」
「俺のことを触るなんて普通じゃない。」
「お前は女々しくて頼りない。そんな被害妄想してるくらいならもっと男らしくしろ。」
「そんな。」
サーマンは殴られた。
「こんなに育ててやってるのにお前は恩知らずで親不孝だ。」
サーマンは部屋を出た。そして窓を開けた。ウィルは悲鳴をあげた。
「やり直しだ。窓は悲鳴をあげない。」
またウィルは窓として開けられた。
「そこやり直しだ。」
「お兄ちゃんどうしたの?」
ディーンが聞いた。
「お前に関係ないだろ。」
ディーンはサーマンからビンタされた。
「ワン!ワン!」
「うるさい!」
飼い主によってジャクソンは殴られた。
「ワンワン!」
ジャクソンはトイレでようをすました。
「汚い!」
「犬の排尿シーンからやり直しだ。便所が喋るなんて台本は作ってない。くれぐれも気をつけろ。」
もう一度同じシーンだった。ジョージにはかなり屈辱だった。しかし喋ることは絶対に許されない。
「髪の毛入ってるんだけど。」
シーンはレストランのシーン。
「それと料理まで醤油臭い。やり直し。中華料理屋の方が向いてるな。」
ロバートとザックはアジア人役としてたくさん馬鹿にされた。
「国に帰れ!」
そして道端で殴られた。
「やめてくれ!」
2人は殴られ続けた。
「やめろ!気持ち悪い!」
「やり直しだ。リック・ウィザースプーン。そんなセリフはない。台本通り演じろ。そしてもっと女らしくしろ。」
「いい加減にしろ!」
「大人しくしてろ。」
「リック、お前のせいで全然演技が進まない。ちゃんとやれよ。」
リックは役に耐えきれなくなっていた。
「さんざんお前は女性をレイプしておいて、自分がやられると被害者アピール。もう少し頭が良くて聞き分けが良いと思ったから残念だな。この役を拒否するなら第1ゲームから第9ゲームもこの屈辱的にゲームにしても良いんだぞ?よく頭を使って考えろよ。」
ジェイは言った。
プレイヤー全員は演技の中で大きな屈辱を受けた。プレイヤー同士の急かし合いも加速していくばかりだった。
演技はどんどん進行していく。演技は2日も続いた。劇としてはかなり長い台本だった。
一方情報部から送られた社員アメリアとアーノルドの2人はイザベラが軟禁されている部屋に入った。その部屋には何重も鍵がかかっていた。
「イザベラ、あんた生きていのね。」
「そうよ。よくここが分かったわね。」
「これはどう言うことか?」
「ここに来てるなら分かってるでしょ?」
「やっぱり軟禁してたのね。生きてるとは思ったわ。それで軟禁したのはジェイなんでしょ?」
「当たり前よ。あんた何をするつもり?」
「ジェイのことを通報するのよ。このお手柄を逃すわけにいかない。」
アメリアは言った。
「一つ言っておくと私はジェイと合意のもとで軟禁されているのよ。美味しい料理と作ってくれるしスイーツも食べれる。好待遇で軟禁されてるのよ。」
「部下のことをかばうつもり?」
「どうなんだ?」
「そうじゃないけど事実をあんた達に伝えたまでよ。」
「それならやつの所に行くとするか。」
「そんなことしても無駄よ。あんた達にジェイは倒せない。」
話を聞かずに2人はイザベラの軟禁部屋を出た。
「ジェイのいる所は操作室ね。今ゲームの進行中よ。」
「ゲームを妨害するのか?」
「妨害してでもあいつを捕まえて情報部と社長に報告するつもりよ。」
2人は操作室に向かった。
「パパ、どうしてママにそんなことするの!」
「黙ってろ!」
「カット!演技に心がこもってない。ディーンが君自身が虐待を受けた時と君が虐待した息子の時の表情を思いだせ。」
ディーンはやり直す。
「あなた、今日はどこにいかれてたんですか?この香水のにおい…」
「カット。スティーブン、もっとAI役者に顔を近づけろ。」
そしてスティーブンは演技を続ける。
「俺を疑うのか?」
「あなたはいつも私の行動をしばって男がいないか疑ってる。それなのにこの香水のにおいは何?」
「黙れ。」
スティーブンは怒鳴り声を聞きながら殴られる。
「やればできるじゃん。君が妻にしたことはそういうことだ。ようやく理解できたようだな。君達に与えた役は君達の被害者に近い役だ。」
「俺はそもそも犬の便所だぞ。」
「俺だって窓だぞ。」
「一回ゲームを休憩にする。」
「あと少しで劇も終わるのにな。」
プレイヤーは夕飯の時間でもないのに突然の休憩でビックリした。
その頃ジェイは操作室を出た。
「自分から出てくるとは大した度胸だな。」
「イザベラを軟禁できただけあるわね。」
「やっぱりお前の監禁軟禁説は正しかったな。」
「3つも仮説を立てたなら当たるに決まってるでしょ。それより軟禁現場はちゃんと証拠として残してある。ここであんたを倒して本社に連れ戻して通報するだけよ。抵抗しないのが身のためよ。」
アメリアとアーノルドは情報部の中で潜入調査を任されるだけあってかなり強い。
「話の通じない君達に一応言っておくが俺はイザベラの合意のもと軟禁してる。」
「とか言ってイザベラがヴァカンス行ったことにして1人でゲームを運営した実績を残したいだけでしょ。」
「どうなんだ答えろ!」
「電話も履歴も盗んだのか。良いだろう。答えよう。だいたいはあってるがここだけ訂正させてもらう。同期の高成績者のケイジ・パーカーとクリスティーナ・ブラウンはもう1人で任務を行ってる。だから彼らと同じ状況下で俺も成績をおさめる。」
「資料の通りかなりの野心家なんだな。だけど口だけなんじゃないのか?」
「必ず良い成績を残す。ほとんどのプレイヤーを更生させるつもりだ。」
「だけど私達はあんたを見逃すつもりない。こっちも業績を残したいから。」
2人に囲まれても彼は表情を全く変える気配はない。
「大人しくするんだな。」
「却下だ。」
ジェイは2人を蹴り飛ばした。
「戦うって言うのか?」
「言っておくけどあんたに私達は倒せない。」
「必ず2人倒す。」
「まだ言ってるのね。良いわ。戦いを引き受ける。」
2人は剣を取り出した。
「こっちも剣は常に常備してある。」
剣と剣がぶつかり合う。
「すきを狙えたと思ったか?」
彼自身の剣術の練習やイザベラの特訓もあり二人いても問題なく戦えた。
「煙玉!」
ジェイは煙玉を投げて行方をくらませた。
「そんなもの使っても無駄よ。」
「お前のいる場所は分かってる。」
「雷球!」
ジェイは手から雷球を放った。
「ミラーシールド!」
「何?」
雷球はアーノルドが作ったミラーシールドで跳ね返された。
「クソ!」
剣で雷球を抑えようとしたが雷球を浴びることになった。
「何故だ…」
雷球の倍以上の電気を彼は浴びることになった。電気耐久の訓練も積んでいたがその時の段階のジェイは耐久できない電気量であった。
「雷球より強い電気を浴びたと思ってるだろ?秘密はこれだ!」
ミラーシールドを出して来た。
「これにたくさんの電気を流し込んだ。だから雷球の電気量もお前じゃ耐えられない量になったわけだ。」
ジェイは倒れた状態だった。
「言ったでしょ。抵抗しないほうが良いって。」
「まだ」
「は?」
「まだ勝負は終わってないんだよ。」
ジェイは2人を突き飛ばした。
「何で力だ。」
「あんたも中々やるわね。だけどこれはどうかしら!」
ジェイはすぐに痺れてしまった。
「これはしびれ玉よ。私の命中率は確実。」
「そんなことだろうと思った。」
ジェイは痺れを自力で解除した。
「あんたも一筋縄じゃいかないようね。」
そして剣術で2人にまた挑んだ。
「うわ。」
2人は気絶した。
「あんた中々の腕前だったわね。」
少し目が覚めてアメリアは彼に言った。
「イザベラの部下だけある。」
アーノルドも言った。
「君達も潜入するだけある。」
ジェイはアメリアとアーノルドをイザベラの軟禁部屋で休ませた。2人は大人しく負けを認めた。
そしてプレイヤー達の劇も順調に進んだ。
「これで終わりだ。以上で第8ゲーム、ハッピーライフを終了とする。最終ゲームは2日後に行う。」
残りのゲームは一つになった。
「残すゲームもこれだけか。」
プレイヤー達のデータを見ながら彼は言った。そして最終ゲームははじまる。