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ジェイ・トンプソン2

ジェイ・トンプソンは高校生になり、パティシエになる為にパティシエの専門学校に入れてもらうように話した。

「うちにはそんなお金ないの。習い事すら雇うことも出来ないの。」

経済的な理由で母親から断られた。

「パティシエ?そんなお金がうちにあると思ってるのか?馬鹿言うな。」

父親はもっと非協力だった。

「お兄ちゃん、パティシエに本当になるつもり?」

「本気だ。親の力は借りれないのは分かった。」

「うちがお金ないのに腹立ててるの?私だってお金持ちの家庭に生まれたかったわ。お金持ちってチャンスばかりじゃん。」

「チャンスは多いがお金持ちの子供が全員満たされてるわけじゃない。メアリー、それだけは覚えておいた方が良い。」

彼はリアムを隣で見たから言える。

「変なお兄ちゃんね。」

「俺はこの環境で生まれことを憎んでた。世の中は理不尽で不平等でしかない。だからこそ俺は与えられたカードでこのどん底から抜け出したい。」

ジェイは周りが遊んだり、非行に走る中かなりの努力をした。パティシエとしての勉強の為に飲食店で大変な仕事もたくさんした。高級レストランとかでも働いていた。もちろんお金のことは父親に気がつかれないように十分に気をつけていた。

「ジェイ、愛してる。」

彼には同時に彼女も出来た。どんなに大変な生活が続いても彼女がいて夢があるから頑張れた。時に体調を崩す時もあったが彼はどんどん成長して行った。

「ジェイ、もう行くの?」

「うん、大丈夫。安心しろ。俺はちゃんと帰って来る。マリア、そんな寂しそうな顔で見ないでくれ。大丈夫だからな。」

「分かってる。だけど数年間遠距離なのはものすごい寂しいよ。ジェイのことすごい愛してるから。」

「こうしよう。毎日ビデオ通話は必ず約束する。」

なんと彼はパティシエになる為にフランスのパティシエの専門学校に留学することになった。もちろん彼はお金を貯めるのにものすごい頑張ったが、彼だけの力ではとても叶うものではなかった。


「ジェイ、あんた働きすぎよ。夢追うのも良いけど少しは家族のメールとか見なさい。」

「分かってるって。別に家族のことをないがしろにしたいわけではない。」

彼の母親は彼の父親からジェイを守っていた。ジェイが成長するに連れて彼の父親の散財が激しくなった。ジェイは知らなかった。母親は父親がジェイを搾取して、お金を巻き上げようとしないようにする為ジェイは不良連中とつるんで遊んでると適当に嘘をついた。

数日してジェイの母親はジェイに個人的に話をした。

「ジェイ、今からする話は絶対に誰にもしないで。」

「そんな改まって何だよ。誰にも話はしない。」

「あんたの口座にお金を振り込んだの。」

「どうして?」

「あんたに一流になって欲しいからよ。パティシエになる夢絶対に叶えるんでしょ。お金を振り込むから約束は果たすのよ。あなたが夢を叶えて幸せになる約束をね。」

「母ちゃんがこんな協力的だなんて。」

彼は突然の母親からの報告で驚いた。

「意外だよ。俺のことどうでも良いと思ってたから早くこんな所出て自分だけの人生を掴み取ろうと思ったんだよ。」

「馬鹿!私もメアリーもあんたが幸せになって欲しいか知らなかったの?家族の幸せを考えない家族がどこにいるわけ!」

ファーストフード店の机を彼女は叩きながら言った。彼女の声がお店中に響いた。周りが彼女を見た。

「母ちゃん、すまないが冷静に話してくれ。ここは家じゃないから。」

「つい感情的になったものね。私はあんたが置かれてる境遇で夢を挫折して欲しくなかったの。だから誰にもあなたの為に働いてお金を貯めて、そのお金を守り抜いたの。」

「母ちゃん…」

ジェイは涙をこらえた。

「泣くんじゃないよ。」

「泣いてなんかいねーよ。」

「私にはお見通しなのよ。あんた達が思っている以上に親と言うのは子供を見てるものなのよ。」

彼女の考える親の定義は必ずしも全ての大人に適用するわけではない。

「父ちゃん何て俺の夢を馬鹿にしてただろ。何も知らないで俺の悪いところばかり目を当てて小言を言うだろ。何で父ちゃんと離婚しないんだよ!」

「やめなさい!」

「今まであいつに抱いてた不満だ。俺だって母ちゃんやメアリーに幸せになって欲しいと思ってる。いちいち言わないだけだから。」

ジェイは未だに母親が何故父親のことをそこまで好きか分からなかった。

「昔は好きだった。だけど今この年になればあんなやつは人の人生の邪魔でしかない。」

「父さんのことを悪く言うのはやめなさい。とにかく私のことはどうでも良いの。あんたは私よりもっと人生が長いから。そのお金で専門学校に通うのよ。」

「分かってる。」

「無駄にするようならフランスに来てでもあんたを引っ叩く。」

「分かってる。必ず約束は果たす!信じてくれ。」

「そうこなくちゃね。」

ジェイと母親は抱きしめあった。そこの空間は家族同士の愛情で包まれていた。


彼はパリの郊外にシェアルームを借りた。2人の共同生活だった。彼のルームメイトはオーストラリア人のリアムだ。かつての親友と名前もファミリーネームも同じったので親近感があった。

「お前がジェイか宜しく。パティシエの専門学校はいつだ?」

「明後日からはじまる。」

「俺もワインの専門学校、明後日からだ。」

ジョンソンはワインを学びにパリまで来た。お互い夢を追うもの同士だった。

「何でパティシエなんかなろうと思うんだ?」

「尊敬してた奴のぶんまで頑張りたいからなんだよ。」

「その尊敬してた相手はどんなやつなんだ?すごい興味がある。」

「俺にスイーツを作ることの素晴らしさを教えてくれたやつだ。そいつは最初は無防備で馬鹿なやつだと思ってた。だけど俺と変わりない悩める少年だった。だけど今はいない。だからそいつの分まで俺は生きるつもりだ。」

「辛い話を聞いてしまって申し訳ない。俺はお前の気持ちが分かる。」

リアムが言った。

「お前が謝ることではない。」

「俺も大事な友達が亡くなった。だからとても他人事だなんて思えない。その亡くなっただちの分まで生きるのは俺も一緒だな。」

リアムとは実際似合う前からかなり気が合うような感じだったので、会ってからは打ち解けていくのも早かった。

「おい、汚いぞ!彼女呼ぶのにこれはどう言うことだよ。早く片付けろ。」

「突然過ぎるだろ。クソが。」

「ほら、片付けはじめろ。」

時々喧嘩することもあった。

「素敵なチョコレートありがとう。美味しかったわ。」

「俺が必ず幸せにする。」

フランスに行ってからもマリアとの通話を欠かすことはなかった。彼はパティシエの夢も幸せな家庭を持つ夢もどっちも夢見ていた。マリアはまるで軍隊に入って帰りを待つ彼女や戦地に行った旦那をずっと待つ花嫁のようだった。

「ナッペの上達が早いな。」

ジェイは専門学校では順調に学んだことを上達していった。

「今日は生地作りの実習を行う。」

彼には専門学校

「シャトー•モンテレーナお願い。」

「かしこまりました。」

「これあんたのチップよ。」

生活費の為のアルバイト

「ハニー、今日も愛してる。」

「実習はどうだったの。」

「順調だったさ。」

「良かったわ。」

「パティシエになったらたくさん食べさせてやる。」

「そんなに食べたら太っちゃうわ。」

「太ってもマリアは魅力的だ。」

「ジェイが良くても私が良くないのよ。」

彼女との時間

「疲れた。」

彼は忙しく時に疲れ果てることがあった。

「もしもし。」

1通の電話が彼の運命を変えることになった。

「もしもし、ジェイ。」

「メアリーどうしたんだ?」

「お母さんが、お母さんが‼︎」

妹のメアリーは焦ってる状態だった。

「もったいぶらないで教えてくれ。」

「お母さんが危篤状態なの‼︎今すぐ来て。」

彼はすぐに飛行機を見つけて帰国した。

「ジェイ、お母さんが‼︎お母さん…どうしてよ。」

彼が着いた頃には母親は帰らぬ人となってしまった。母親が父親と離婚した後の出来事だった。

「そんな、嘘だろ。」

「本当よ。お母さんは二度と戻って来ないの。」

ジェイもメアリーも声をあげて泣いた。

「母ちゃん、母ちゃん、俺、必ず立派なパティシエになる約束果たすからな。」

彼には約束を守るようにと聞こえた。

「ジェイ、必ず約束果たすのよ。私もお母さんと同じくらい応援してるから。」

「当たり前だ。」

「それにしてもびっくりね。昔のお兄ちゃんって悪い不良とばっかり絡んでたイメージあったのに。」

「あの時の俺は自分を見失ってた俺だ。今はそんなことしても何も問題が解決しないことくらい分かってる。」

「お兄ちゃん、見送るよ。」

妹が車でジェイを見送った。

「気をつけて。」

「ありがとう。」

彼はフランスに戻った。しばらく留守にしてたといえ、いつもと違い周りの雰囲気は静かだった。

「何かおかしい。」

彼はシェアルームに入った。

「リアム?これはいったい…」

シェアルームにはリアムどころか家具も荷物も全て持ち逃げされた。さらに持ち金を全て盗まれた。

「リアムがそんなことをするはずないよね。そうだよな?」

リアムが彼と同じ境遇だったのは嘘。信頼関係を構築して、寝てる間などを狙って口座番号やセキュリティコードやキャッシュカードの暗証番号全てを控えていた。彼の宝物を売り飛ばしてそのまま蒸発した。

「リアム‼︎」

少年時代亡くなったあのリアムと重ねたワイナリーのリアムに騙されておかしくなる。

「やめろ。」

たくさんのリアムの幻影が彼を蝕んで行く。幻影はナイフを持ちながら笑う。そして彼は気絶した。

「クソが‼︎リアム、出て来い。」

次に日もずっと叫び続けた。

「もう無理だ。」

彼はパティシエの道を諦めることになった。彼はまた希望にないあの現実に戻されるのではないかと、母親との約束を果たせなかった罪悪感、信頼してた仲間からの裏切りで全てを失った。

「もう死のう。」

彼は廃墟の屋上にいた。

「お願い、死んじゃ駄目‼︎」

「リアム。」

「僕の分まで生きるんでしょ‼︎」

「うるさい‼︎俺はこうやって無様に死ぬ運命なんだよ‼︎」

「君にはそんな生き方はあってないよ。」

「生き方も何もこれから死ぬからただ死ぬだけだ。」

飛び降りようとしてもリアムに引っ張られて自ら命を断つことは出来なかった。

「しょうがない。せっかく死ぬなら面白い死に方しよう。」

彼は死ぬ計画を立てた。不良連中に殺される死に方はつまらないと思った。

「ダークウェブでもやるか。」

ダークウェブで殺し屋を探していた。

「殺し屋って仮想通貨ないと雇えないのか?そんな金ないだろ。」

調べてるうちに謎なリンクに辿り着いた。

「裏NPO法人社会的ダスト更生プロジェクト?」

彼は調べて行くうちにどんどん会社概要を調べた。まるで餌を追いかける魚のように。

「要するに悪人をゲームで裁いて更生させる団体か。」

彼は今までを振り返った。彼自身も置かれた環境や境遇を言い訳にして犯罪を犯すもの、欲望の為なら人を踏み台にしたり人生を奪うことを厭わない人間をすぐに頭思い浮かべた。そして過去の境遇を言い訳して悪いことをした自分を思い出した。

「どうせ死ぬなら頭おかしい団体に入って悪人を陰で裁くのも悪くないな。」

ジェイは応募した。試験に向けて人のいない所でサバイバル生活をしたりたくさんの訓練を積んだり、勉強した。パティシエになれなくてもパティシエ時代の物事に向き合うことは完全に忘れていたわけではなかった。

「ここを応募した理由は?」

面接では後の上司になるイザベラ・キャンベラともう1人の社員が対応した。

「夢を失ったと思ったらここを見つけて、もうここで骨を埋めても良いと思い応募しました。」

「あんたの志望動機気に入ったわ。だけどこれだけでは合格なんてさせないわ。実技試験も受けてもらうわ。」

彼は実技試験を受けた。ビリではないもののギリギリの合格ラインの成績だった。


「あんた何か考え事でもしてるわけ?」

「別に。」

「あんた、一番10期生の中で肝が据わってるようね。何と言うか何も動じないと言うか。」

妹以外の全てを失った彼はもう失うものはなかった。いつ死んでも良いくらいこの会社と向き合っていた。

「さあゲームの時間よ。」

「分かってる。」

「次のゲームはプレイヤー達の自尊心とプライドをさらにへし折るゲームね。誰にどんな役割をさせるのか決めてるんでしょ?」

「一人一人の適性を見て決めてある。」

操作室にに彼は戻った。

「プレイヤー諸君、元気にしていたか?」

ゲームはそろそろ終盤にかかろうとしていた。


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