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フィッシングエスケープ2

海は墨で覆われて見えにくい状態だった。

「これじゃあ何も見えない。」

「こんなアイテム使ったの誰だよ!」

もちろんプレイヤー達は突然の事態に困惑していた。

「ザック、これ使ったのお前か?」

「そうだ。かえってこのゲーム有利になると思うがな。」

墨による影響が出たのはプレイヤー達だけではなかった。釣り糸も光が出せずに探知装置が鈍りだしプレイヤーが近くにいても反応することがなかった。

「墨で困惑してるのは俺達だけじゃない。ロボット達もかなりまいってるみたいだぞ。」

「そのアイテムどこで見つけたんだ?」

「魚型ロボットからとったんだよ。ヒラメの身体は便利なものだな。」

「魚って環境に適応してるんだな。」

「何か光ってないか?」

「ん?近づいてくるぞ!トラップか?」

「俺だ!」

「その声は。」

ナマズになったサーマンだ。

「ナマズって自ら発光するのか?」

「そんなわけないだろ。おそらくゲームマスターが暗闇で光るナマズに設定したんだ。」

サーマンに複数の釣り糸が降ってくる。

「しまった!」

彼は釣り上げられてしまう。

「サーマン・ゴンザレスが捕まった為最初からやり直しとする。」

「墨で釣り糸から回避する作戦は駄目だ。サーマンが光るからには意味がない。」

ウィルが言った。

「何か戦略はないのか?」

「特にないが今まで通りにやって行けば特に問題などない。」

そしてゲームは再開した。

「皆、大きな網が降りてくる。避けろ!」

ザックの指示で全員避ける。

「何だか網が大きくなってないか?」

「おそらくゲームマスターの気分と言うものだろうな。」

時間がかかるにつれてゲームの難易度は上がっていく。

「何だか揺れてないか?」

サーマンがザックに聞いた。

「俺もそんな感じがする。」

だんだん海底の砂が湧き上がる。

「何か来るぞ。」

「うわ!」

ザックはとっさに悲鳴を上げた。

「海底で何かが暴れてる。」

海底で暴れていたのは電子アナゴだ。彼らの電気により2人は感電して、海底から押し出された。

「おい、お前ら何で海底にいないんだ。」

ジャクソンが聞いた。

「海底にはとんでもない生き物がいて押し出されたんだよ。」

「海底も安全圏もではなくなったんだ。」

プレイヤー達の逃げる範囲はどんどん狭まっていく。

「何か降ってくるぞ!」

「これは電気玉だ。」

トラップの数も増えて行く。

「気をつけろ!こっちにも電気玉だ。」

ザックとサーマンは指示役をやる意味がなくなった。海底が危険地帯になったからには全員が呼びかけていくしかなかった。

「ザック、あの魚は何だ?」

ディーンが聞いた。

「待ってろ。」

ザックは慎重に狙いを定めた。

「そこか!」

しかし彼の狙いは外れてしまった。

「ヤバい!」

スティーブンとジョージはまた捕まってしまった。

「ゲームやり直しだ。」

プレイヤー達はどんどん苦境に立つことになる。

「たった1時間とはいえ進まなすぎる。ゲームマスター開始から20分しか進んでない。この段階で鬼畜なトラップばかりだ。」

「確かにそうだが逆転するチャンスもある。」

「どんなチャンスだ?必勝法があるのか?」

「このゲームのフィールド内にロボット小魚がいる。そいつを捕まえるとゲームに使えるアイテムが出てくる。」

またゲームは再開する。そして何セットか彼らは失敗した。

「それではゲームを再開する。」

「こっちに来るぞ。」

セットを重ねてプレイヤー達はある程度かわし方をどんどん覚えて行く。

「30分経過したぞ。」

たくさん数をこなし作戦を練った為か長く耐久できた。

「また何か降ってくるぞ。」

「どうせまた電気玉か何かだろ。」

しかしそんなものではなかった。

「向きが変わった。」

釣り糸以外は今まで直進して来たが今度は違う。向きを変えて魚雷が襲ってきたのだ。

「こっちにも来るぞ。」

たくさんの魚雷がプレイヤーに襲いかかる。唯一身軽に動けるのはイワシになったリックくらいだった。

「うわ!」

「ジャクソン!」

彼は魚雷に当たった。するとしばらく止まった。

「ゲームマスター、これはどう言うことなんだ?説明してくれても良いだろ。」

「よろしいだろう。これはただの魚雷ではない。直撃すると3分間麻痺状態になり動けなくなる魚雷。魚雷は君達の方に向かって来るのは漁師ロボットがリモコンでコントロールしてるからだ。」

「遠隔操作してたのか。」

ジェイがモニターから消えた。

「こうなったら体当たりだ。」

他のプレイヤーが体当たりをしようとしたが動かなかった。麻痺してるだけではなくその場で固定されてる。3分間の間はずっと同じ場所で麻痺してることになる。

「不味い!」

釣り糸が彼らのもとに来る。ジャクソンは動きたくても動けない致命的な状況だった。そしてついに釣り糸は彼に当たった。

「ゲームをやり直しとする。」

プレイヤー達はそれからも失敗の連続だった。


その頃ゲーム会場付近には情報部のジョセリンが送り込んだ部下が潜入した。

「イザベラと連絡が取れない状態なのにゲームは続行してる。これはいったいどう言うことだ?」

ジョセリンの直属の部下、情報部6期生アーノルド・シュミッドと6期生アメリア・フォスターだ。2人は情報部の中でも潜入調査を担当することが多い。

「とんでもないことが起きてるのよ。」

アメリアは言った。

「噂によると仕事をバックれてヴァカンスに行ったとか聞いたな。」

「彼女は仕事をサボるようなタイプじゃないの。彼女が受け持ってた部下の話も聞いたけど部下に対して熱心だし、慕われてる。それに持ち場を無断で離れることはこの会社では不可能。クビどころじゃないわ。」

「イザベラは生きてるのか?」

「潜入しないと分からないわ。考えられる可能性は3つよ。」

彼女はアーノルドの方に振り向いた。

「まず1つはイザベラが何らかの理由で自殺したのかもしれないのよ。」

「いや、さっきの話聞いてる限り自殺する理由は無いんじゃないか?仕事熱心なやつが突然自殺はありえない。」

「もちろんそうよ。だけど人の心の中の闇は突然暴れ出す時だってあるの。可能性は低いけど、1つ目は自殺説よ。そうだとしたら、部下にも口止めしてるはずよ。」

「それなら2つ目は何なんだ?」

「彼女の部下のジェイ・トンプソンが殺した説よ。」

「は?いやいや部下から慕われるような奴が突然殺されるのもありえないだろ。」

「だけど私が彼の経歴を調べる限りかなりの野心家だと思うわ。どんなことも必ず行動に移す。そんな彼でもパティシエになることを諦めたようだけど、野心家な性格が変わったわけではないわ。ここはパティシエの世界よりもっとダークな世界よ。特にゲーム推進部の社員達は自分の成績の為なら悪いことをしたプレイヤー達を苦しんでても懲らしめ続けるし、彼らを更生させる目的なら卑劣な手段もいとわない。そんな環境にいれば多少卑劣な手段を使ってでも成績アップを目指すんじゃないかしら?」

「待て!さっきの自殺説よりありえない。イザベラがそんな新入社員ごときでやられるわけないだろ。」

彼はイザベラの記録が書いてあるデータを見ながら言った。

「可能性が低い仮説よ。だけどこれなら1つ目の自殺説と同じくらい有力な説だと思うわ。」

「その3目は何なんだ?またありえない陰謀論みたいなもんか?」

「私は陰謀論は嫌いよ。一緒にしないで。3つ目は監禁説よ。これならまだあり得そうじゃないかしら?」

「あの新入社員一人でそんな大規模なこと出来ると思うか?」

「さあ、分からないわ。新入社員だからデータが少ない。可能性はないわけではないわ。それに彼女を脅して生きて帰らせれば何もなかったことになるのよ。」

「ずっとここにいるとおそらくそのジェイ・トンプソンと言うやつに怪しまれる。早速中に入るぞ。」

「分かったわ。」

会場をつなぐ入り口の暗証番号を入力した。

「暗証番号が違います。」

機会がそう言った。

「おそらく変えられてしまったようね。」

アメリアが言った。

「私達でハッキングするしかないわね。」

2人はハッキングして館内に入った。


ジェイはそれも知らずにゲームを進行していた。

「どうやら情報部の社員が入って来たようね。ジェイは気がついてないようだけど私は知ってるのよ。ジェイはどうするつもりかしら?」

イザベラはすぐにハッキングされて侵入されてるのに気がついた。


「プレイヤー諸君、楽しみにしていたゲームを再開する。」

「もう魚はこりごりだ。」

プレイヤー達ははやく人間に戻りたいと思う所だった。

「また魚雷だ。全員逃げろ。」

容赦なく襲いかかる魚雷に全員逃げた。

「こんなに強そうな魚なのに魚雷ごときで怯む魚とは。」

海で強い部類に入る魚でもこの人工的に作り上げたゲームでは勝つのが難しくハンデの多い魚になってしまった。

「どけ、邪魔だ!」

「俺だって逃げてるんだぞ!邪魔なのはお前だ。」

「うるさい!言い争いしてないで早く逃げろ!」

魚雷による混乱でプレイヤー同士の争いがあとを絶たなかった。

「そもそも何で俺達がこんなことで争いをしなきゃならないんだよ。」

「邪魔だ。どけ!」

「その図体のお前が邪魔なんだよ!」

「こっちはたくさんのハンデを背負ってるんだよ。」

「大きな魚が情けない事を言うもんだな。」

「ザック、小魚がいるぞ!」

ディーンが言った。ザックは小魚に体当たりをしてアイテムをゲットした。

「これは10分間シールドが出来るアイテムだ。一回使い切りだ。」

「お前が使っても意味がなさそうだな。ザック、これは今は使わない方が良い。」

「そうだな。」

プレイヤー達はゲームにまた失敗してやり直しになってしまった。

「ゲーム再開だ。」

30分くらいした時にまた魚雷による混乱が起きた。

「ザック、それをジョージとスティーブンに使うんだ。」

「いやよく考えて使わないと駄目だ。」

ウィルが言った。

「のろいプレイヤーもいる。逃げ遅れて捕まるケースもある。それはスティーブンとディーンに使うんだ。」

「その方が良さそうだな。」

ザックは2人にアイテムを投げた。すると2人にはシールドが張られた。

「これで大丈夫なのか?」

「ないよりかはマシだ。」

しばらくの間はスティーブンとディーンは安心して泳げた。

「また小魚だ。」

ジョージが当てた。

「今度は何だ?」

「バリア系のアイテムだ。3つある。だけど使うと代償もある。」

「どんなアイテムなんだ?」

ザックが聞く。

「代償って何のことだよ?3人がバリア状態ならそれで良いだろ。」

「バリアが10分間の間出来る代わりにその10分間で魚雷の数が2倍になる。」

「残り18分だ。使うしかないだろ。」

「いや、やめろよ。たった3人のためにアイテム使ってやり直しになるくらいなら今の状態で逃げ回ってた方が勝つ可能性がある。」

ウィルが言った。

「俺もウィルと同じだ。」

サーマンも言った。

「代償があるアイテムなら使わずに投げ捨てた方がマシだ。物騒すぎる。」

「いや、勝つかとしれないんだぞ!」

「ザック、お前は短絡的すぎる。その場しのぎにはなるかもしれないが、このやり方だと負ける可能性は高い。」

「ザックと同じ意見だ。俺のような大きな魚は魚雷に当たる可能性は十分高い。代償があるなら、他のプレイヤーは逃げ続ければ良い。」

「だから何で特定のプレイヤーの為に苦労しなきゃならないのかって話だ。」

プレイヤーの間で意見が割れる。

「うるさい、俺はこれを使うぞ。」

「馬鹿、やめろ!」

ザックはスティーブン、ジョージ、ディーンにアイテムをぶつけた。

「魚雷が増えた。」

魚雷がさっきの2倍になって襲いかかる。

「お前何であんなの使ったんだよ!」

ロバートがザックを責めた。

「アイテムは使わないともったいないだろ!」

「俺はザックの意見に反対だったが責めても仕方ないだろ。責めて状況が良くなると思ってるのか?」

ジャクソンがロバートに言った。

「とにかく今はそんなことしてる場合じゃない。恨むならゲームを終わってからにしろ!とにかく逃げるぞ!」

リックがそう言うとプレイヤー達は全速力で泳ぎ続けた。

「ロバート、危ない。」

ジャクソンがロバートを押した。

「何で助けたんだよ?」

「ゲームに勝つ為だ。リックも言ってたが、今は喋ってる暇はない。逃げるぞ。」

たくさん飛ぶ魚雷、逃げる回るプレイヤー達でフィールドに張られた海はとても混沌としていた。

「あと少しだ。」

プレイヤー達は何とか乗り切り残り8分になった。

「魚雷も大した数じゃない。」

プレイヤー達は過酷な状況ばかり続き、魚でいるのもなれた為障害物を避けることができた。そしてついに…

「ゲーム終了だ。プレイヤー一人残らず釣られなかった。第7ゲーム通過とする!」

「よし!」

プレイヤー達はゲームをクリアした。


「ジェイ・トンプソン、どこにいるんだ?」

「いや、まずはイザベラの保護が先よ。監禁されてる可能性が高いのよ。」

「この部屋空いてるぞ!」

アメリアとアーノルドはある部屋に入った。

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