石盤パズル1
一部のプレイヤーは走っていた。
「お前ら何走ってんだ?」
サーマンがジョージとザックとスティーブンに聞いた。
「これから抜け出すんだよ。」
「俺達には武器があるからな。」
「そんなことしたら捕まるどころか酷い罰を受けるぞ。」
「俺達は捕まるほど馬鹿ではない。」
「おい、やめろ!」
「放置しろ。あいつらは先が見えない馬鹿だから。」
リックが言った。
「監視カメラは強力なエアガンで撃てば壊れる。」
そして3人はドアをどんどん爆破して行く。
「無駄だ。」
するとジェイが彼らの目の前に出て来た。
「何だ。こんな所でゲームマスターと遭遇するとはな。」
「俺達は武器も持ってるし3対1だ。勝てるはずないよな?」
彼らはどんどんジェイのことを攻撃した。しかし彼は攻撃を全て交わした。
「逃げてばかりで攻撃できないんだな。」
「それなら俺達は容赦なく攻撃するぞ。」
爆弾が爆発してジェイは倒れた。
「倒れたようだな。」
「俺達を散々搾取するからこう言うことになるんだよ。」
「今まで俺達にやった仕打ちを返させて貰うぞ。」
3人はジェイを殺す気だった。彼さえ殺せば理不尽な仕打ちを受けず、ゲーム会場から抜け出せると思ったからだ。
「ん?」
「スティーブン、どうした?」
「かすかに口が動いたような。」
「気のせいだろ。こいつは死んだんだしとっとと抜け出そうぜ。」
「これでお前も犯罪者の仲間入りだな。」
ジョージがザックに言った。
「ふふ…ふふ…ははは!」
倒れていたはずのジェイが起きた。
「まだ行きてたのか!」
「その通り。」
彼は仮面を外した。
「これが俺の本当の姿だ。よく見ると良い。」
ジェイの口は突然大きく開いた。どんどん大きくなり、容赦なく彼は3人を追いかけて行く。
「あいつ人間じゃなかったのかよ。」
「どう見ても化け物だな。」
彼らは焦っていくがジェイが追いかけるのをやめる手配はなかった。
「このまま食べられが良い。」
彼は大きく口を開いた。
「うわー、やめろ!」
彼らは悲鳴をあげた。
「やめろ!」
「おい、起きろ!」
「こんな所で寝るな!」
「あれ、俺達生きてる。」
「てっきりゲームマスターが化け物になって食われたかと思ったぜ。」
彼らはいつの間にか幻覚を見せられていた。
「あれは全部幻覚だったのか!」
「いや違う!」
ジャクソンが言った。
「途中までお前達は現実を見てた。あそこのドアを壊すまでな。」
「ドアが…」
壊したはずのドアが復元していた。
「ドアが直ってるだと!?」
「俺達にも分からないがドアがすごいスピードで修復したんだ。」
「俺から解説しよう!」
「ゲームマスター!」
モニターからジェイが出て来た。
「何で俺達は幻覚を見たんだ!」
「あのドアには幻覚の粉を入れておいたんだ。壊したものは幻覚を見るようになる。」
「やっぱりそうだと思った。」
「お前達が武器でここを抜け出そうとすることくらいお見通しだ。もしかしてそんなことも予想出来なかったのか?可哀想だな。」
「は?そんな惨めな目で俺達を見るな。」
「ジョージ・クレモンズ、スティーブン・ハンソン、ザック・マグワイアが持ってる武器を全て没収する。」
「そんな!」
彼らが持っていた武器は勝手に動き出してどこかに行ってしまった!
「俺の武器が!」
「そして連帯責任としてお前達を1時間麻痺状態にする!」
「俺達関係ないのに!そんなの不公平だ!」
ロバートが言った。
「駄目だと思って脱走を許した罪は重い。」
「お前達のせいだぞ!」
「やっぱりこんなことだと思ったからやめろと言ったのに。」
ウィルはため息をついた。
「罰として全員麻痺状態にする!」
「うっ…」
全員身体が痙攣してる状態にさせられた。とても苦しそうだった。動けない状態が続くのはかなりのストレスになった。
「ゲームマスター、関係ない俺達にまでやり過ぎだ。」
サーマンが言った。
「それなら君達が今まで誰かにした仕打ちは卑劣なものではないか?それに君達のような人間は無理矢理拘束して一生麻痺させても良い存在なのを1時間だけですませてやった。」
「俺達にそんなことして良い権利なんてないだろ!」
サーマンが続けて言った。
「君が音楽界に引き入れ薬漬けにして性的なことをした少女や少年は終わらない被害をずっと受け続けて来た。君は1時間と俺から言われて卑劣な罰を受けることは知っていたしタイムリミットもあった。彼女達や彼らは終わることない性被害を受け続けて来た。果たしてどっちの方が卑劣だろうな?」
サーマンは言い返せずにいた。さらに一部のプレイヤーは彼を白い目で見た。
「ペドとか終わってるな。」
「人間じゃないだろ。」
「何だと!?お前達だって同じことしただろ!お前は妻殺し!それにお前は実の息子を殺しただろ。」
「これ以上文句を言い続けるのであれば麻痺を続けるが良いのか?」
「クソ!」
「抵抗するだけ無駄だ。」
「それにしても君達は運が良かったな。捕まえたのが俺で。態度や罪を改めない人間は社会から孤立して当然だ。当然ながら社会は俺みたいにかまう人間なんていないだろ?表向きは犯罪者や差別主義者にも人権を言う綺麗事ばかりを言ってる人間がいるだろうが、人間の本質はそんなに単純だと思うか?お前達は恨まれ続けて生きるだけだ。そこでさらに罪を重ねるようであればその眼差しは強くなるだけだ。」
ジェイはモニターから消えた。
「あんたドアにあんな細工入れたのね!」
ジェイはイザベルが軟禁状態になってる所に入った。
「あんたそんな細工しなくても一人で全員を壊滅させることくらいできるでしょ。私は上司としてあんたの実力をよく見てるのよ。」
イザベルは言った。
「それもそうだが今まで誰もやったことないことを成し遂げたかっただけだ。幻覚の粉は備品開発部に相談して俺だけの為に作ってもらったものだ。」
「それをドアに仕込むなんて中々なものね。そう言えばさっきのゲーム、プレイヤー達に武器やアイテム盗まれたのに何もおとがめなしで良いのかしら?それくらい気がついてたでしょ。」
「俺が誤魔化せなくても、監視カメラや倉庫内のロボットさえ誤魔化せば十分だ。あいつは俺一人で倒すことなんて簡単なことだ。武器やアイテムを手に入れた所で俺に勝つことは出来ないし、抜け出すことは出来ない。そもそもここは亜空間だから俺を殺しても試練に乗り越えられず一生ここで暮らして飢えで死ぬだけだ。それが別ればここを戻るしかない。」
「それもそうね。武器を盗まれたくらいで同様するわけないよね。それにアイテムを使わせてゲームを盛り上げるのも狙いでしょ。」
「俺の同期も同じようなことは考えているだろうな。俺もイザベルと同じで悪人達が苦しんでもがいて苦戦してる様子を見るのが好きだからな。」
入社当時のジェイはかなり会社側に染まってしまった。彼はもう完全にこっちの社員だ。パティシエを目指していた彼はもうここにはいない。
「次のゲームもアドベンチャーもの?あんたこう言うゲームが好きなのね。何と言うかあんたのゲームアウトドア系のが多いわ。ケイジとクリスティーナのパソコンを情報部のサンドリーヌにハッキングしてもらったけど、彼らはそんなゲームばかりじゃないわ。」
「2人がどんなプレイヤーを相手にしてるか知らないがこっちのプレイヤーにはこんなゲームをさせるのが良いと思ったからだ。ゲームが終わってもルールは違うが同じようなゲームをさせることによって奴らはそれが苦行になるだろうな。」
「この後ゲームもじっくり見させてもらうわ。」
「ゲームに戻る。」
彼は部屋を出た。
「プレイヤー諸君、これからゲームを再開する。」
「今度は何なんだ?」
ディーンがジェイに聞いた。
「次のゲームは石盤パズルだ。今からお前達をテレポートさせる。」
彼らはジェイによって移動させられた。
「あれ?他の奴らは?ザック、サーマン、ウィル!」
「ゲームマスター、3人しかいないぞ!」
「プレイヤーをそれぞれ3人に分けた。このステージでは3つの島がある。ジョージ・クレモンズ、ウィル・ムーア、ロバート・バイロンは時の島にいる。そしてサーマン・ゴンザレス、スティーブン・ハンソン、ジャクソン・ストレスがいるのは石盤の島だ。最後にザック・マグワイア、リック・ウィザースプーン、ディーン・スタスキーがいるのが極寒の島だ。」
「そんなに寒くないけどな。」
リックが言った。
「ルールを説明する。このゲームは石盤を石盤の島にあるパズルにはめれば合格だ。石盤の数は50個だ。」
「それでそれぞれの島はどういう島なんだ?」
ディーンが彼に聞いた。
「時の島は場所によっては時間が最初から戻る罠があったり、時の島の時間だけ1時間止まる場所もある。石盤を取ればとるほど時空のトラップは増えて行く。」
「石盤の島は?」
「石盤の島の者は2つの島から送り込まれた石盤をはめ込んでもらう。石盤の島には石盤はゼロだ。それと1時間に1回ルーレットを行う。」
「ルーレットって何が出るんだ?」
「焦るな。それはゲームがはじまってからのお楽しみとする。」
「俺達のいる極寒の島は?全然寒くないけどな。」
「今は寒くなくても石盤を取るたびに温度は下がって行く。それに寒さでふるえていても死ぬことはないから安心しろ。」
「幻覚で寒さを感じさせるわけか?」
リックが聞いた。
「違う。寒さは本物だ。お前達に最初に着替えさせた服はどんな温度帯でも死なない服だ。寒さで震えたり、灼熱の中でもがいても死ぬことはない。」
生き地獄スーツとも言って良い服だ。
「他に質問はないか?」
誰も質問は無かった。
「それではゲームを開始する。」
ゲームがはじまった。プレイヤーは島全体を確認しはじめた。
「見るからに何もない島だな。」
石盤の島は石盤をはめ込む所しかない島になっていた。
「石盤が来ない限り俺達何も出来ないな。」
「それなら俺達も時の島と極寒の島を探索するのはどうだ?」
スティーブンが言った。
「暇だからそうするか。」
彼らは時の島に入ろうとしたが入れなかった。
「見えない結界が張ってある。」
「それなら極寒の島だ。」
彼らは極寒の島も入ることは出来なかった。
「こっちも結界が張ってある。」
「石盤の島にいるプレイヤー諸君、君達は時のエンブレムも極寒のエンブレムも持っていないから2つの島の出入りは出来ない。」
「だから島を分けていたわけか。」
石盤の島ではプレイヤー達が退屈そうだった。
「この島のトラップが増えるんだな。」
「一番厄介なのは時間戻りトラップだ。くれぐれもそれだけには気をつけろ。」
「まずはトラップ対策の眼鏡があれば良いけどな。」
時の島の3人は中々進めずにいた。
「だんだん寒くなるしまというのか。何か防寒具とかないのか?」
ザックが聞いた。
「ゲームマスターがそんなもん用意するわけないだろ。俺がゲームマスターの立場ならそんなことしない。ゲームマスターと言う立場はプレイヤーを翻弄して楽しむのが目的だろうからな。」
リックが答えた。
「お前確か人が苦しんでる姿を見て快感を覚えるんだよな。」
「だから何だ?俺は欲望に忠実なだけ。」
「お前のようなやつはゲームマスターの立場は分かるだろうな。悪びれないとかサイコパスだな。女を殺すことで快感を覚えるんだろ?気持ち悪いな。」
「気持ち悪い?そんなことで俺がこんな行為をやめることはない。人間って言うのは法律なんて存在しなかったら皆欲望に走ってるだけだ。それが男だろうが女だろうが。法律を守っただけの善人ぶった人間の意見だろうな。ディーン、お前も自分の嫉妬の感情で息子を殺したんだろ?」
「変態と一緒にするな。あれは事故だ。俺は…俺は…何もやってない!」
ディーンは息が荒くなっていた。
「とにかくこの話は終わりだ。俺に良い案がある。石盤のパズルをはめるたびにこの島は寒くなる。マイナス60度まで行くようだな。それなら石盤を全て集めていっきに運ぶのはどうだ?そうすれば寒さを体感しなくてすむ話だ。」
ディーンが言った。
「そのアイデア賛成だ。」
「頭が良いな。」
彼らは石盤を石盤島へ移動する橋の前に集める作戦をたてた。しかし極寒の島には他の島と違う点があった。
「石盤見つけたぞ。」
3人は石盤を見つけて、リックが運ぼうとする。
「何だこれ!重いぞ。」
石盤は3人じゃないと運べないものになっていた。
「そもそも石盤が50個の中この島に何個あるかも分からないだろ。」
ザックが言った。
「それならある程度運んだタイミングで石盤島の様子を見るしかないな。」
リックが言った。
「それに時の島の奴らがトラップに引っかかれば最初からやり直しになる。」
「あいつらも俺らみたいにこんな所抜けてやりたい気持ちは変わらないだろうな。だからトラップを慎重に回避していくことを考えるはずだ。とにかく今目の前のことに取り組め。」
どの島でも試練が続く。