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選考

「今年の応募者は世界各国から300人。」

「予想もしなかった数だな。」

「今年は初めて誘導する広告を出したからある程度目についたんだろうな。それに情報部の工作員がビラをばら撒いたりしたしな。」

「そんな大胆なことして俺達の存在バレないかって声が上がってたよな。」

「それはない。この会社のデータは情報部以外特定できないようになってる。情報部は俺達すら知らない情報をたくさん握ってる。あとは社長くらいだな。」

ケイジとベンは応募者のデータを見ながら言った。

「今回はウズベキスタンから初めて応募だな。」

「アラスカからも初の応募だ。」

その中から10人を選ばないといけない。

「今年からは書類選考もいれる。今年の応募者の人数が予想外の数だからな。」

「書類選考ね。まさか女だけ選ぶとかしないよな?」

「ケイジ、お前何度も言わせるなよ。俺はただの女たらしじゃない。」

「この前だって情報部の社員と肉体関係になったのが話題なったな。」

「それはプライベートだ。新入社員の選考に関しては女性だろうが厳格な判断をくだす。」

「それならただの女たらし面接官にならないようにな。」

「少しは上司を敬え。お前の面倒たくさん見たんだからな。」

「別に頼んだ覚えないな。それにあんたがクリスティーナを口説いてボコボコに殴られたことくらいしか覚えてないな。」

「そんなことは覚えてるのかよ。」

「それよりはやく書類選考に移ろう。」

ケイジとベンは応募者のデータを何度も確認した。数日間に渡って。

「ベン、書類選考って言っても選考基準は何なんだ?」

「この会社に本当に入りたいかまず書類で見極めるんだ。」

そして数日間に渡る書類選考は終わった。

「300人中、295人が書類選考通過だ。」

「そんな通過して書類選考本当に必要だったのか?」

「確かにいらなかったな。」

「結局無駄に時間を使っただけか。」

「だが面接はそう簡単に通過者がいない。」

本格的に応募者の面接がはじまった。

「あなたは元ギャンブル依存症で足を洗ったようですね。」

「何でそんなことまで知ってるんですか!」

「その反応は本当のことだね。まあそれはどうでも良いが、そんなあなたが何でこの会社に応募したんですか?」

ベンが応募者に聞いた。

「私はギャンブル依存で家族を苦しめました。それで妻は自殺して、子供とは絶縁状態しました。後悔したころにはもう遅かったんです。だから私のような悪行を行った人間を一人でも更生させたいと思いこの会社に応募しました。」

「ボランティア精神ですか。」

「この会社でしたいことは何ですか?」

ケイジは彼に聞いた。

「貴社のようなあら治療を使ってもこの世の中を少しでも綺麗にしたいです。」

「面接は以上です。」

「1350番の方、面接室にご案内致しました。」

ケイジの同期、フエン・ミラーは応募者を面接室に連れて行った。

「1350番の方、お入りください。」

「こちらを応募されたきっかけは何ですか?」

「私は法の名のもとでたくさんの人を裁いてました。だけど今度は法律などない環境で人を裁きたいと思いこちらを応募しました。」

「ありがとうございます。」

「こちらでしたいことを教えてください。」

「さっき言ったように法律など関係なく人を裁きたいです。今の仕事より給料は低いのは承知です。法律とは全ての人の味方ではないからです。この世界には法律で裁けない人間が山ほどいる。それに貴社でもまだ裁けない人間が山ほどいますよね。だから非合法な手段を使ってでも裁きたいです。そして外部からの告発システムなども作りたいです。」

「告発システム?」

「おそらく貴社が行ってることはあなたがたで探した案件だけを取り扱ってる。それなら外部からの告発来た案件も取り扱うのもありではないかと思いました。」

次の面接に移る。

「番号1374番の方、面接室にご案内します。」

「お入りください。」

「はじめまして、デイブ・ハリスです。32歳。小さい頃子役をしていて見込みがなく10歳で引退、そこからは人並みの生活を送り、IT事業を立ち上げました。」

「はじめまして、採用担当のベンです。」

「同じく採用担当のケイジです。」

「2人はここに来るまで人並みの人生を送ってきたのか?俺は子役引退からはずっと人並さ。金持ちになることもなければいきなり貧乏人になることもない。まさに普通と言われるような人生だ。ここに来るまでは人並みに結婚して家族を作ってパートナーと老後を過ごしてと人並みの人生になりそうだけどそうもいかなそうだな。」

「なるほど。それが応募理由なんだな。人並みの生活を刺激的な生活に変えるために裏社会そのものの会社に応募したわけか。」

ケイジはデイブに言った。

「当たりだ。あなたは察しが良いな。流石面接官やるだけはある。」

「おい、ケイジ、こいつ人並みな奴ではないだろ?」

「そのようだな。それでここの会社に入ったらどんなことに取り組みたいんだ?」

「そうだね。刺激的に世の中の悪人を痛めつけることだな。更生させることが目的だけどその過程で痛めつけることができればとてもスリルがあって楽しい。出世してどんどんスリルあるゲームを作りたいと思う。」

「ゲーム開発に関してはここゲーム推進部が行ってるが一人でゲームを運営できればだいたいはゲーム開発もできる。採用された後の業績次第だ。」

次の面接になった。

「番号1387番の方、面接室にご案内します。」

「お入りください。」

「カタリナ・ロペスです。メキシコから来ました。」

「好きな男性のタイプは?」

「それを答えたら入社できるかしら?」

「こっちの面接官はいない存在だと思ってください。それで何故ここに応募しようと思ったんですか?」

「何故かって?ここの会社の社員のジェイ・トンプソンのファンだからよ。声も素敵だし、顔もまさに私のタイプね。ここの業務なんてどうでも良い。ただ彼のことを追ってここに来ただけよ。だけどジェイが面接官じゃないのは残念ね。」

「ジェイのことは何で知ってるんだ?」

「あるパーティーで知り合ったのよ。だけどいつの間にか疾走して連絡が取れなくなったのよ。それでジェイを見つけるための手がかりはたくさん探したわ。たくさん調べた結果でここにたどり着いたのよ。」

「愛の力ってやつか。ジェイも羨ましいご身分だな。」

ベンは言った。

「そうだな。確かにここまで情報収集したのは中々の腕前だ。だけど面接が通ってもまだ実技試験がある。実技試験はそう簡単ではないぞ。」

「そんなの分かってるわ。私はジェイの隣立てるくらい強い女になるためにたくさんのトレーニングをこの会場に着くまで積み上げて来たのよ。」

「その成果を見せてもらうぞ。」

ベンとケイジは数日間かけて全ての面接を終わらせた。

「流石に面接続きで疲れたな。」

「二人とも疲れてるようだな。俺の手作りケーキでも食べろ。」

ジェイが後ろに来て言った。

「手作り?スイーツが作れるのか?」

「あれ?二人とも知らなかったのか?俺は小さい頃からパティシエを夢見てたんだ。」

「そんなの知らんな。」

「俺もはじめて聞く話だな。」

「その夢は叶ったのか?」

「子供の時の夢が叶うのはたったの一握り。世の中はそんな甘いもんじゃない。大衆が認めない限りは存在しないと同じだ。俺はいつの間にか諦めがついてこんな所にいる。」

ジェイは言った。

「ジェイ、この会社にいるのは何故だ?人を散々追い詰めた人間が苦しんでる姿を見るのを楽しむためか?」

ケイジが聞いた。

「俺はお前やクリスティーナみたいに悪趣味ではないし、お前の隣にいる上司のように出会い目的でここに来てるわけではない。」

ジェイは続けて言う。

「パティシエの道がなくなった俺がいれる場所はここくらいしかない。存在してないと同じようだから存在してないような会社で働くのが丁度いいだろ。」

「極端だな。まさか自殺しようとしたのか?」

「さあな。お前らに話すようなことではない。どうせ死ぬならここで非合法なやり方で世の中のやつらを裁ければ良いと思ってる。」

ジェイに何が起きたのか私にも分からない。ここで働いてる理由もよく読めない。

「それにしても、ジェイお前美味しいスイーツ作るな。ここにいるのがもったいないくらいだな。」

「いっそのこと新しい部署でも立てれば良いじゃないか?」

ジェイは無言で彼らの元を去った。

「ジェイのやつもいつの間にかお前やクリスティーナと肩を並べるくらいの実力になったもんだよな。」

「それよりはやく面接の通過者を決めるぞ。」

「ケイジ、分かったよ。」

書類を見ながら2人は通過者を厳選した。

「まずはこの弁護士やってる女性はどうだ?アリシア・ホワイトだ。」

「彼女の動機はかなり素晴らしい。ただ弁護士とこの仕事は正反対の立ち位置だ。法に遵守した仕事と法を無視した仕事の違いだ。」

「学力かなり高いしゲームの企画力をかなりありそうだ。」

「かなり面白そうな人材だ。俺は面接通過で良い。」

「俺もお前と一緒だ。この元トイレの清掃員のおじいちゃんはどうだ?」

「今回の応募者の中では正義感は強いほうだが面接の時点でかなり緊張してた。かなり汗をかいていた。逆境に弱いからゲーム運営もつとまらない。この仕事はプレイヤーに少しでも同情しては成り立たない仕事だ。俺のように悪魔のような人間じなきゃつとまらない仕事だ。彼はプレイヤーの心を受け取りやすぎるところがありそうだから残念だが面接の通過はできない。それと通過出来なかったものにはここで見たことを全て忘れてもらう。」

「守秘義務だからな。」

もし不合格になった場合強制的にここで体験したことや見たことを忘れさせられて当社特製の睡眠薬を飲ませて強制送還される。強制送還はゲーム推進部採用担当以外が行う。

「不合格者の送迎担当はクリスティーナとヘンリーだな。去年はそこまで対策してなかったけど今年は面接者の数も数だからな。」

「次いくぞ。」

次々と面接の通過者を決めて行く。

「デイブ・ハリスはどうだ?」

「彼は平凡な人生を装ったサイコパスだな。演技力もかなり抜群な人材だ。プレイヤーを困惑させる能力も負けてそうだ。俺はデイブを面接通過させても良いと思ってる。」

「お前もお前で演技を見分けるの上手いよな。そうだな。元子役と言うことは面白いゲームを企画してくれそうなやつだな。俺も迷うことなくデイブを面接通過させるな。」

「そうと決まればデイブは実技試験へ通過だ。」

「次は連続殺人犯だ。脱獄してまでここに来るとは自殺行為だな。面接では隠してるけどこっちは情報部からの情報があるからお見通しだ。」

「どんだけ馬鹿な殺人犯なのか。口では悪人を裁きたいと言ってるが奴の言動を見ればここで匿ってくれと言ってるような雰囲気だな。問答無用でこいつは不合格だがただ不合格にするだけじゃ終わらせられない。」

ケイジは言った。

「それでどうするつもりなんだ?」

ベンがケイジに聞いた。

「もちろんプレイヤーとして奴を移送する。」

「近々任務があるのはカミーユだな。」

「彼女に任せる。それまでは俺達が奴を管理しないとな。」

彼らはどんどん面接の通過者を決めて行く。

「カタリナ・ロペス。ジェイのファンの女性だ。」

「こんなセクシーな女に好かれるとはジェイが羨ましいな。」

「お前の頭は女のことばかりか。」

「お前は本当に恋愛に興味ないのか?ゲイでもないのか?」

「恋愛なんてくだらない。ここの仕事をしてるのが俺にとっての快感だな。」

「すごい性癖だな。」

「面接ではあまり分からなかったがジェイの話を聞いた時こと細かく奴の話をしてた。聞く限り観察力のある人間だ。俺はやつが面接通過しても良いと思ってる。実技試験でどんな実力を見せるのか楽しみなところだな。」

「俺もお前と同じで面接通過させても良い。」

そして面接の通過者は全員決まった。295人のうち187人が面接を通過した。実技試験へ行く応募者は例年と比べてかなり多い。

「今年の実技試験はすごいことになりそうだね。」

フエンがケイジに言った。

「実技試験も色んな種目がある全ての種目を通過できた者が合格者だ。」

さらにベンとケイジはモニターで実技試験の様子を確認する。どんな手段ではい上がろうとしてるかもしっかり確認するのもゲーム推進部の採用担当の仕事だ。

「射的の脱落者は20人か。」

「もっといると思っていたが今年は優秀な応募者ばかりだな。」

「応募の数が多ければその分優秀な人材もたくさん集まってくる。」

そして実技試験では数々の試験が行われた。

「脱落者は16人か。」

そして合格者はどんどん減っていく。

「最終試験を通過したのは30人だ。」

今回は予想外なことが起きた。合格枠が10に対して全試験合格者が30人になった。

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