果物収穫3
「これでもない。」
「こうじゃない。」
3人はルービックキューブが揃えられず苦戦していた。
「ルービックキューブには公式がある。メトロ表記に従って揃えていけ。まずはRの動きだ。」
「この声はスティーブンか!」
「そうだ。」
「お前、幻覚の中だろ。」
「幻覚の中でも現実世界にテレパシーが遅れる。どうなってるか知らんけどな。」
スティーブンは3人に口頭でやり方を教えた。
「お前らのルービックキューブがどうなってるか確認出来ないが、面を揃えるんじゃなくて指をどの方向に動かすかが成功のカギだ。」
彼はアルファベットの表記を詳しく説明した。
「次はUだ。」
スティーブンはアルファベットで指示を出した。彼は子供の時からルービックキューブが好きでよく極めて遊んでいた。
「すごい!本当に揃った!お前すごいな!」
ジャクソンは全面をそろえた。
「幻覚を解除する。」
するとプレイヤーは幻覚から解放された。
「あれは幻覚だったのか。」
プレイヤー達は果物の収穫を再開した。
ジェイはイザベルが軟禁されてる部屋に入った。
「ずいぶん面白いゲームね。時間がかかって手こずってるようね。」
「奴らがこんなに時間かかってるのは黄金のリンゴと言う目先の利益と他責思考がこのような結果をうんでしまったようだな。」
「賢いプレイヤーが少ないようね。あとトラップは最初はなかったんでしょ?」
「トラップは少ししかなかった。プレイヤー達はトラップやモンスターがいないと油断したようだな。」
「あのリンゴのモンスター見ない奴ね。そんなプログラムあったかしら?」
「あのモンスターは俺が作り出した。それにブドウのモンスターも俺が作った。」
「どんなゲームが行われるか知らずその場で作ったのは中々の腕前ね。あんたも少しは成長したようね。」
「俺が相手にするのは昔の俺じゃない。実力のある同期たちだ。今回のゲーム運営で高成績を叩き出す。」
「あんたを採用する時どこか野心にあふれる存在だと思ってたわ。あんたも雇って正解ね。」
「そんな風に見えてたのか?」
「あのことがなければ今頃パティシエになれたとまだ思ってそうだから。」
「俺は前だけを見て生きる。昔の野心より今の野心に向かって生きる。この会社でしっかり業績を残すことだけを。」
「そろそろ戻りなさい。」
ジェイは操作室に戻った。
「このカゴ大容量だ。」
ロバートは200個のブドウを抱えながら歩いていた。
「これで順調だ。」
ウィルはクレーン車で果物をかき集め、集めたものをどんどん車に乗せた。
「これでボックスに行けば。」
プレイヤー達はいっせいにボックスに向かった。
「開かない。」
「リックどうした?」
「ボックスの蓋が開かなくて果物が入れられない。」
「こっちは鍵が施錠されてる。」
「何か来るぞ。」
視界に先にはゴブリンとリンゴのモンスターが向かっている。プレイヤー達は偶然集合していた。
「武器はあるか。」
「さっきのステージの水鉄砲を貸していた。3人分は使える。」
「くらえ。」
「そんなんで倒せると思ってるのか?」
「ゴブリンが喋ったぞ。」
「本当だ。ゴブリンって喋るんだな。」
「俺達を下等生物かなんかだと思ってるのか?」
「まあ良い戦ってやろう。」
プレイヤー達は武器を使ったり、パンチやキックを使ってゴブリンと戦った。
「くらえ。」
「まだまだだ。」
ウィルは力技でゴブリンを黙らせる。
「これでどうだ。」
水鉄砲を持ってるプレイヤー達はリンゴのモンスターを狙っていた。
「こいつ素早い。」
「この蓋びくともしない。」
「こっちもだ。」
モンスター達は開けっぱなしのパインのボックスを狙っていた。
「しまった。ゴブリンがボックスを漁ってる。」
「始末するぞ。」
プレイヤー達はどんどん倒して行く。
「良いぞ。あと1体だ。」
ウィルは馬鹿力でゴブリンを投げ飛ばした。
「流石ウィルだ。」
ザックは言った。
「調子に乗るな。」
彼はウィルをぶっ飛ばした。
「裏切り者!」
「そう言う所だ。」
ジャクソンが言った。
「何だ?動物虐待うんこ野郎!」
「もうそれはたくさん言われた。だけどお前が信用されないのは表ではゲームマスターのような強い者に良い顔をして弱そうな奴には力でねじ伏せる。そんな奴が信頼されるわけない。力で得た主従関係は本当の信用など得られない。いずれこうなる運命だったんだ。」
「お前なんかに俺の何が分かるんだ。」
「ジャクソン、お前がキツネに囲まれてる時見捨てたのに何でだ!何でかばうんだ?」
「かばう?まさか。俺はゲームを通してこいつが気に食わなかっただけだ。他にもそんなプレイヤーがいるな。」
「誰なんだ?」
「それは言わない。だけどここに集められてるのは全員悪人。俺も動物の愛し方をかなり間違ったようだったな。悪人を主従関係でコントロールした所でいずれ裏切られる。悪人ほど自分の過ちより都合の悪い現実をよく覚えてるからな。」
「悔しいけどそれもそうだな。俺はコイツのことは嫌いだが。」
ロバートがジャクソンの言ったことに納得した。
「よし開いたぞ。」
サーマンとリックはボックスの蓋を何とかして開けた。
「一件落着か。収穫に戻るか。」
ザックが言った。
「待て!」
スティーブンが止めた。
「スティーブン!何でだ!」
「このまま強行突破してもただ時間を先延ばしにするだけだ。いつまで経ってもこのゲームは終わらない。」
「もう俺達はモンスターとかを全て倒したんだぞ。」
「いいか、よく考えろ。あのゲームマスターがまた同じ仕掛けをしないと言う保証はあるのか?」
「それもそうだな。」
リックが言った。
「あのゲームマスターなら次の手を打つに違いない。」
「そう。だからこそ今ここで戦略を練らないといけないようだな。」
スティーブンは言った。
「それでお前からは戦略はあるのか?」
「これから考えれば良い。」
「何だよ。ないのかよ。役立たずだな。」
ザックが言った。
「言い出しっぺなのにな。」
「それなら俺が思いついたことがある。」
サーマンが口を開いた。
「まずボックス付近には2人監視役兼ボックスを守る奴がいたほうが良い。いつボックスの果物が盗まれるか分からないし、さっきのゴブリンのようにボックスを壊そうとするやつもいる。」
「それで誰が適任なんだ?」
「ウィルとロバートだ。」
「待った。それならもう1人いた方が良い。」
ウィルが言った。
「ジャクソンだ。」
彼はウィルの方に近づいた。
「武器があるものは全員3人に渡してくれ。」
水鉄砲が渡された。
「それと誰もいないとさっきのように蓋のような小細工を入れられる。よく監視してくれ。」
スティーブンが珍しく指示をした。
「分かった。」
「残りは収穫ってわけだな。」
「全員の持ってる収穫道具は?俺はロープを持ってる。」
サーマンはロープを見せた。
「クレーン車もある。」
「カゴがある。大容量だ。」
収穫アイテムはたくさんあった。
「これだけあれば便利だ。それなら収穫のチームを2つに分けたほうが良さそうだな。」
「そうだな。」
プレイヤーの一部はこのステージで何が必要なのか少しずつ理解した者が何人かいた。
「俺とザックとスティーブン、リックとジョージとディーンに分けよう。」
サーマンが言った。
「それなら収穫開始だ。」
プレイヤー達は各自の持ち場についた。
「こっちの道の方がブドウがたくさんある。」
「いやこっちだ!」
「パインはあっち側だ。」
「こっちのほうがたくさんある無駄なことをするな。」
プレイヤーの間でかなりにもめることになった。
「落ち着け。もめてるなら全員で新しい答えをアップデートして行けば良い。」
サーマンが言った。
「こっちにたくさんリンゴがなってるぞ。」
「まずはリンゴを集めた方が良い。」
サーマン達はリンゴをどんどん集めていく。
「スティーブン、こっちにリンゴを投げてくれ。」
「分かった。」
「ザック、パインの収穫はこのナイフを使ったほうが良い。性能が良いぞ。」
サーマン達はどんどん果物を収穫した。
「おい、ロバート、果物収穫したからボックスに入れてくれ!」
一方リック達は集めた果物をボックスを守ってるプレイヤー達に渡した。
「このブルーシートの上にのせる。」
「待て!ボックスに果物いれるのもお前達の仕事だから。俺達はボックスを敵から守るだけだ。」
「そんなこと言うが敵が来る確率はそんなにない。頼んだぞ!」
「おい、リック!」
リック達は収穫に戻った。しばらくするとサーマン達がボックスの方に向かう。
「ウィル、この果物の山は何なんだ?」
サーマンは聞いた。
「これはリックとジョージとディーンが俺達に押しつけて来たものだ。何で俺達がこんなことまでやらないといけないのか。」
「何ていうことをしてくれたんだ。」
「少しは俺達に同情するだろ!」
ジョージは言った。
「お前達の気苦労はどうでも良い。しかし敵が来るのにリンゴやブドウをカゴに入れずにブルーシートにのせるなんてリスクそのものだ!まるで食べてくださいと言ってるようなものだ。」
リックとディーンはどんどんボックスに果物を入れた。
「それなら俺達もこの果物を入れる。」
「何で俺まで。」
リック達の果物を代わりに入れた。収穫するプレイヤーの間で意見が別れた。
「ヤバい危ないぞ。」
「あいつら反撃しに来たぞ。」
「あのボックスを壊すぞ!」
さっきプレイヤー達が倒したゴブリン達がボックスを壊すために反撃に来た。
「あいつらボックスを壊す気だぞ。どうする?」
「戦うしかないだろ。ウォーターガンの威力を上げるボタンがある。プレイヤーは俺達3人だけ。威力は最大のマックスにしろ。」
ウィルが行った。
「分かった。」
ウォーターガンでどんどんゴブリンを倒して行く。
「こっちに雷オオカミまで来てる。」
「不味い状況だ。」
「こっちは水を使ってるから雷を放たれたら危険すぎる。」
「どうするんだ?」
「俺達が打てる手は今はない…」
「このままあいつらに負けると言うことか?」
ロバートが言った。
「うるさい!今考えてるんだ。」
雷オオカミは何匹もいたし、彼らもゴブリン達と同じ陣営だ。
「敵に囲まれた。」
「今だ!」
ゴブリンと雷オオカミに囲まれた。そして一斉に彼らが襲いかかる。
「どうするんだよ!」
「知らねーよ!」
「もう終わりだ。これ以上どうすることもできない。このゲーム脱落だ。」
彼らは目を閉じた。
「ん?あれ?傷一つない。」
ウィルは目を開けるとリックやサーマンが銃を持っているのを見た。
「リック!サーマン!お前ら助けに来てくれたんだな!」
「お前らだけには任せられないからな!残りの奴らには収穫を続けて貰ってる。」
「これを使え!」
サーマンは盾を投げた。そしてロバートが受け取った。
「これはいったい何なんだ?」
「ミラーシールドだ。どんな攻撃を跳ね返すことも出来る。」
「これはまた便利なものを持って来たな。雷オオカミ、どっからでもかかってこい!」
オオカミ達は電撃を放った。そしてロバートはその電気をゴブリン達にぶつけた。
「うわー!」
「跳ね返してるすきにウォーターガンを!」
ウィルとジャクソンはウォーマーガンを使ってオオカミ達を攻撃して行く。
「よし、どんどん逃げて行くぞ!」
「逃がすかよ!」
ロバートがオオカミを追いかけた。
「やめろ!」
ジャクソンが止めに入った。
「オオカミを攻撃しても何も変わらない。俺達の目標は復讐じゃなくてこのゲームを終わらせることだ。」
「ふん!そうか!分かったよ。従えば良いんだろ。動物愛護家さん。」
ロバートは少し聞き分けが良くなった。
「今からでも本当の「動物愛護家」になれると思うからな。それにこれ以上復讐しても悪人の度合いを上げてしまうだけだ。俺は何処かで間違ったようだったな。」
「また懺悔か。」
ジャクソンは父親からの愛情不足や暴力と依存していたペットの死からペットを所有して支配することで心の寂しさを埋めようとしていた。一生同じ動物に囲まれたいから去勢などをさせずどんどん増やして数の多さで自分の心を満たしていた。たとえその動物が劣悪な環境下で命を落としていても。彼は結局最初に失った動物の死と向き合うことすら出来てなかった。
「せめてもの償いと言うやつか。」
プレイヤー達は着実に果物を集めていく。
「もう少しでブドウが全部揃う。あと14個だ。」
「リンゴは?」
「51個だ。」
プレイヤー達は果物をどんどん集めた。トラップに遭うことはあったがその都度対処した。
「これで最後だ。」
パインを一つ入れた。
「やっと揃ったな。」
「よしこれで全部だな。」
「プレイヤー諸君。果物が指定の数揃ったため第4ゲームクリアだ。第4ゲーム、果物収穫を終了する。そしてこのゲームで見つけたミラーシールドは没収だ。」
ロバートの手から勝手にミラーシールドが動いて行く。
「あっ!せっかくのアイテムが!」
「こんなアイテム、君達に使わせるのはだいぶもったいないアイテムだからな。そしてロープも没収する。」
ジェイの視界に入るアイテムは全て没収対象となった。
「何はともあれ第5ゲームの参加資格がある。2日後にゲームを再開とする。」
プレイヤー達にとってもジェイにとっても長いゲームが終わり、プレイヤー達は新しいゲームへの切符を手に入れた。