果物収穫2
プレイヤー達は果物を収穫しつつ黄金のリンゴも探していた。
「黄金のリンゴはウィルに渡さない。」
「あいつから理不尽な仕打ちを受けるのはもうこりごりだからな。」
「そう言うことだったんだな。」
「お前は!」
ザックとジョージの後にいたのはスティーブンだった。
「あんなに反抗してたお前らがウィルに忠実になってたからおかしいと思ってんだよ。逆らえない状況なんだろ?」
「そうだ。だからあいつが食べるはずのリンゴを俺達が食べてあいつに今までのことをやり返すんだ。」
ザックもジョージも同じで権力で相手をコントロールしたい人間だ。
「聞いてたのが俺で良かったな。あいつがこの会話聞いてたらアウトだ。」
「それくらい分かってる。」
「作戦を練る時はウィルのやつがいないかのく確認したほうが良い。それと黄金のリンゴを探せてないフリをすることだ。あいつは頭の回転がはやい奴だ。怪しいことが一つでもあればすぐに見抜かれてしまう。気をつけろ。」
「そうか。あいつも侮れない奴と言うわけだな。」
サーマンは一つの宝箱を見つけた。
「こんな所に良いものが。」
彼は周りに人がいないか確認した。
「これは。」
中に入っていたのはロープだった。
「投げ縄ロープ。」
説明書も一緒に入っていた。このロープを投げるとロープの先は直径2mの円になって同時にものを取れるかなり便利なアイテムだ。
「これは良いものを見つけたな。」
彼はロープでたくさんのフルーツを取っては必要なものだけ分類した。
「あとはボックスに入れるだけか。」
ロープをカゴのように使ってボックスに向かった。
「ブドウがたくさんあるな。ボックスも近いからちょうど良い。」
ジャクソンはたくさんなってるブドウを見つけた。
「ジャクソン、そいつは不味い!」
ロバートが彼を呼び止めた。
「何が問題なんだ?」
「とにかく逃げるぞ!」
そう言った習慣にブドウの果実が落ちて来て彼らを追った。
「ロバート、あいつは何なんだ?」
「さっき追いかけられたがブドウの形をしたスーパーボールだ。」
「スーパーボールごときで何で逃げるんだよ?」
「ただのスーパーボールじゃない。あいつらは標的が視界から消えない限り延々と増え続けるんだ。最終的には俺達があいつらに押しつぶされて全員に死ぬことになるかもな。」
「それなら何でそんな物騒なブドウがここにあるんだよ。」
「俺もよく分からん。ゲームマスターがこう言うのはいっぱい知ってるだろ。聞いた所で俺達の質問を全て答えるわけじゃない。とにかくこのステージも侮れないようだ。面倒臭いことに。」
リックはカゴを見つけて収穫したリンゴをどんどん入れて行く。
「何だ。よく見たら梨だ。」
中には離れて見るとリンゴに見えるような作りの果物も配置してある。
「このステージは見たかぎり動物みたいなのはいないな。虫も一匹もいない。」
リックは幸いにもトラップに遭遇していない。
「これからが本番だ。プレイヤー諸君。」
ジェイはリックの様子を見ながらプレイヤー達のいるステージに何かを送り込んだ。
「リンゴの多いエリアだった。」
彼はリンゴを山のように入れてボックスまで向かう。カゴは重かったが走ってボックスの方まで彼は向かった。そしてボックスにリンゴを入れようとした。
「嘘だ!何でこんな減ってるんだ!」
いつの間にかカゴの中のリンゴは半分以上無くなっていた。
「ん?」
カゴの中で何かが動いていた。そして彼はリンゴを一つ一つボックスに入れて確認した。
「こいつは何だ?」
見てみるとボックスの中にはリンゴがリンゴを食べていた。そしてしっぽだけがついていた。
「待て!」
残りのリンゴを入れてしとめようとしたがすごいスピードでいなくなってしまった。
「こいつを追っても意味はないか。」
さらに何かが近づく音がした。
「モンスターか?」
音の方を見た。
「こっちに来るな!」
彼はそこら辺に落ちてる果物を投げた。
「やめろ!俺だ!」
彼の視界の先にはサーマンがいた。
「お前か。モンスターどうか確認しただけだ。」
「相手をよく見てから攻撃しろ!」
「そう言えばリンゴのモンスターを見なかったか?」
「リンゴのモンスター?知らんな。」
「ネズミのようなしっぽがついてるやつだ。」
「知らんと言ってるだろ。」
「やっぱり逃げ足が速いやつだ。そいつはリンゴの姿をしてるが俺が収穫したリンゴの半分を食べたんだ。」
「リンゴがリンゴを食べる?そんな馬鹿な話あるわけないだろ。」
「それはここの外にいたらその反応は当たり前だ。だけどここは何でも揃えてるゲームマスターが支配する所だ。ここで俺のようなことを言うやつはおかしくない。今までのステージでおかしな仕掛けやモンスターばかりだ。とにかくあいつは何をしでかすか分からない。」
「何か通る音が聞こえたぞ。」
「距離的にあいつだ。どっちの方向?」
「あっち側だ。」
サーマンの指さした方向はボックスのあるところだった。二人はそっちの方に向かった。するとリンゴのモンスターがボックスの中に入るのを見た。
「あいつ何する気だ!」
「プレイヤー諸君、今ボックスの中にいるモンスターによってリンゴが8個に減った。」
ジェイの声がステージ中に響き渡る。
「あいつをボックスから出さないと。」
リックはずっとボックスの中を確認した。すると中には動くリンゴがいた。
「こいつか!」
ロバートはそのモンスターを掴んだ。
「俺の動体視力はどうだ?」
「そんなのは良い。そいつをケージが何かに入れろ。こんなのが果樹園でウロウロされたら困る。」
「ケージ?そんなものない。とりあえずこいつを遠くに飛ばしてやる。」
「やめろ!何やってるんだ!」
「暴れてウザいから投げたんだ。」
リンゴのモンスターはどこか分からない遠くに投げ飛ばされた。
「お前は馬鹿かよ。」
「大丈夫だろ。そいつはこのフィールド外に投げたつもりだからな。」
「そんな単純じゃない。とにかく近くに布がないか探せ。」
「それなら俺がある倉庫で見つけたジャケットがある。」
ロバートはジャケットをボックスの投入口に覆いかぶせた。
「これでしばらくはあいつは入って来れない。」
ウィルはブドウを集めていた。
「これなら楽だな。あのゴブリン雑魚だったな。」
ゴブリンがフィールド内で使用していた小型のクレーン車で果物を集めていた。ゴブリンに対して目で威嚇したら戦うこともなくすぐに去っていった。
「これならパインの収穫も楽勝だ。」
何とパインもきれいに収穫する画期的なクレーン車だ。
「おっ!良いもの見つけたぞ。」
目線の先には黄金のリンゴがなっていた。そして彼はゆっくりと狙いを定めていく。
「あと少しだ。」
どんどん目標に近づいていく。ゆっくりと、徐々に。そしてついに黄金のリンゴを取った。
「誰だ!」
たくさんのパインが彼の顔に当たる。
「お前の悪事はここまでだ!」
そこにいたのはジョージとザックだった。
「まだまだだ!」
二人は容赦なくパインを当てていく。連続で飛んでくるので流石のウィルもやり返すこともできない状態だった。
「お前ら裏切ったな!どうなるか分かってるのか?」
「この状態でも強がるつもりか?力がお前より無くても勝てば良いんだよ!」
ザックは声を出しながら笑った。
「こう言う勝負の仕方も嫌いではないだろ?」
「クソ、雑魚ども、やり方が卑怯だろ。」
「逃亡犯の君がよく言うよ。あのゲームマスターは俺達が人の物を盗んではいけないとは言ってない。」
「そうだ。あのゲームマスターの中では窃盗は不正行為にはならない。」
「それにしても俺達がお前にヘコヘコし続けると本気で思ってたのか?お前の馬鹿力は認めるが人を良いように使ったからすきができたんだよ。」
「優等生のお前が詰めの甘い一面があってこれは驚いたな。」
二人はウィルを見て笑い続けた。
「そういうことだ。もう俺らはお前の言いなりではない。このリンゴさえ手に入れればお前の言いなりじゃない。このリンゴはもらっておく。」
ザックは黄金のリンゴを持って遠くまで行こうとした。
「ザック!独り占めする気か!」
ジョージが叫んだ。
「そうだ。誰もお前と協力するとは言ってないがな。お前が勝手にリンゴを入手する作戦をたてただけだ。」
「この野郎!」
ジョージは怒ってザックの画面にパンチを当てた。
「殴ったな!」
そして黄金のリンゴはジョージの手元に渡る。
「この泥棒返せ!」
ザックは取り返した。
「これは俺のなんだよ!」
「いや、俺が食べる!」
「俺のだ!」
「大人しく俺に食わせろ!」
「それはさせない!」
二人は取っ組み合いの争いに発展してお互いの顔をボコボコに殴る。
「リンゴの話は最初に俺が持ちかけたんだぞ!」
「作戦を実行したのは俺の方だ。」
「馬鹿は無駄な争いをするんだな。勝ったと思ったら大間違いだな。」
ウィルは黄金のリンゴを取り返した。
「しまった!」
「返せ!」
「返すも何もこれは俺が最初に見つけたリンゴだ。言葉はちゃんと使わないとな。」
「せっかくとったのに!そもそもお前が喧嘩持ちかけなければウィルに取られることはなかった!」
「何だと俺のせいにするのか。」
「お前ら本当に馬鹿だな。」
ウィルはリンゴを食べようとした。
「うっ…」
3人は突然気絶した。
「3人まとめて退治だ。」
彼らを気絶させたのはスティーブンだった。
「これは俺が頂く。」
スティーブンは黄金のリンゴをひとかじりした。
「これが権力のリンゴか。これでやっと俺に特権が与えられる時か。」
彼はリンゴをどんどん食べていく。
「最高な味だ。勝者しか味わえない味だな。」
彼は全てリンゴを食べ終えた。
「気絶玉が役立ったな。」
彼が使ったのは気絶玉。命中するとすぐに気絶してしまう。彼はパインアップルの収穫途中で一つ重さの違うものに疑問を感じていた。気になって皮をむくと気絶玉が3つ入っていたのだ。彼の性格がアイテム獲得の道をたどった。
「これで俺の勝ちだ。」
ディーンは特に果物を収穫出来ない状態だった。
「誰か!助けてくれ!」
彼は一人で助けを求めていた。なぜなら彼の手と足はパイナップル型の手錠と足かせがかけられているからだ。
「もうどれくらい経つことだか。」
数日間拘束されてた状態だった。数日間の食事はロボットによって無理やり美味しくないパンを食べさせられていた。その為飢えで苦しむことはなかった。
「あの時あんなパイナップルを収穫してなければ。」
ディーンは最初に見つけた果物がパイナップルだった。それを収穫しようとしたが手錠トラップがついた特殊なパイナップルだった。
「おーい、誰か!数日経つのに誰も来ないな。」
「おい、こんな所で何してるんだ?」
「サーマン!良いから助けてくれ!」
彼はディーンの手錠を解除した。
「いったい何があってこうなったんだ?」
「わけの分からないパイナップル触ったらこの有り様だった。」
彼はことの経緯を詳しく説明した。
「そんな面倒臭いトラップがあるんだな。」
「おかげでずっとここにいる状態だったんだ。」
「俺もさっき果物そっくりなモンスターを見た。ボックスにある果物までも食べてしまうモンスターだ。」
「プレイヤー諸君に報告だ。只今の果物の数だ。リンゴが262個、パイナップルが150個、ブドウが303個だ。せいぜい頑張ることだな。」
ジェイの声はまた響き渡った。
「数日経つと言うのにこの数かよ。」
ジェイはプレイヤー達の様子を観察していた。
「この感じなら時間かかりそうだな。どんどんトラップを設置するか。」
彼はステージを思うように操作した。機械の操作も入社時より正確で迅速だった。
「トラップ発動だ。」
サーマンとディーンはロープを使って着実に果物を収穫した。
「何だか歩いても歩いてもボックスにたどり着かない。」
リックは数日間も記憶通りに来た道を歩いているが目的にたどり着かない状態だった。
「おかしい!」
リックだけじゃなかった。
「変だ。歩いても全然ボックスにつけない。」
ジャクソンも道に迷っていた。
「ジャクソン!何突っ立てるんだ!」
サーマンとディーンが彼と鉢合わせた。明らか目が変で不審な動きをしていた。
「こいつは催眠にかかってるかもしれない。」
「そんな!」
「プレイヤー諸君、気がついたようだな。だけどこれは催眠じゃない。幻覚の泡を浴びて幻覚にかかったままだ。他にたくさんのプレイヤーが幻覚にかかっている。」
ウィル、スティーブン、ジョージも幻覚の泡を浴びていた。
「救済方法は一つだ。」
幻覚にかかってないロバートも耳を澄ませて聞いた。
「今からルービックキューブを渡す。一人でも全面を揃えれば幻覚は解除される。」
3人はルービックキューブを手に持ち揃えるようにした。